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もし、マーケティングに携わる人の中で「妥協=諦め」と思っている人がいたら読んでほしいメッセージ

「妥協」と聞くと、何だか「諦める」「手を抜く」というような印象を抱いてしまいがちです。

でも、実は上手い妥協案を考えることができる人は戦略的でクリエイティブ能力が高い。

私はそのように感じています。

妥協を「諦め」と捉える人が勘違いしてしまっていること

チームで仕事をする上で「妥協案を探る」という場面は少なくありません。

例えば、「できれば芸能人を採用したテレビCMをやりたいけど、予算がないからインフルエンサーを活用したSNSキャンペーンで検討する」というのも妥協案のひとつです。

理想のアイデア(=芸能人を採用したテレビCM)を思いついているものの、予算という現実を見たときに妥協案(=インフルエンサーによるSNSキャンペーン)を採用した、というかたちです。

このような筋道で考えると、一見「今このブランドにとって最も理想なアイデアは、芸能人を採用したテレビCMである」という前提があるような気がしています。

しかしよくよく考えてみれば、おかしな話です。

なぜなら、本当にそれが理想の方法ならば、諦めたりなんかせずにチームとして絶対にそれに取り組んだほうが良いからです。

このようなことを言うと、恐らく反論する人が出てくるでしょう。

「本当はやりたいけど、現実問題お金がないからできないのだ。お金があったらそれが一番理想の方法であることは間違いない。だから、理想ではない方法で妥協案を探っているのだ」と。

このように考える人は、ひとつ明確な勘違いをしている可能性があります。

その勘違いというのはこういうものです。

「必要十分なお金」というのは、本来チームに与えられるべき正当な権利である

妥協=諦めだと考える人の勘違い


リソース(ヒト・モノ・カネ)を確保できるかどうかは、経営にとって非常に重要なテーマです。

しかし、リソースに「本来あって然るべきものである」という前提はありません。

さらにいうと、事業運営というのは常に「今あるリソースの中で、最も効率的な方法を見出して実行する」というものだと私は考えています。

そのように考えると、芸能人を採用したテレビCMを諦めたチームにとって、「今、芸能人を採用したテレビCMを打つ」というのは理想なアイデアとなっていない可能性が高いです。

なけなしの予算をかき集めてTVCMを打ったとして、経営資源が枯渇してしまったら事業はそこでクローズして終わりです。

TVCMを打つことで事業運営に支障が出る状態にある企業の理想が、「芸能人を採用したテレビCMを打つ」ということになるはずがないのです。

「その時」の戦略の最適解を導き出す行為こそが「妥協」であり、それは非常に戦略的でクリエイティブな行為である

何事もコンセプトを考える段階というのは、発想を際限なく自由に広げることができます。

マーケティング戦略についてチームで議論するときも、チームのアイデアは方々に広がっていきます。

バイアスを打ち崩して革新的なアイデアを見出すために、この段階は非常に大事です。

しかし、際限がなく考えるということは、実際に使えるリソース(例:スケジュール、予算、能力)に見合わないアイデアをたくさん出していくという行為でもあります。

場合によっては、それが実現している場面を考えるだけで心躍るアイデアもたくさん出てくるでしょう。

しかし、企業が持つリソースの中で実現できないアイデアが「理想のアイデア」になることは決してありません。

チームで出したバイアスを崩した革新的なアイデアと、企業が持つリソースと繋ぎ合わせてはじめて「理想のアイデア」を実現できるのです。

この繋ぎ合わせの行為が「妥協」です。

それは決して「諦め」的な行為ではありません。

妥協は「その時」の戦略の最適解を導き出す、非常に戦略的でクリエイティブな行為だと言えるでしょう。

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