結局、インスタグラムキャンペーンは何をどうやれば正解なのか?
おはようございます。
テオです。
今回はインスタグラム運用において大切な要素である「キャンペーン企画」について話をしていきたいと思います。
キャンペーン企画は上手く活用すれば、企業にとって大きなメリットをもたらしてくれます。
私たちのチームはここ1年間で、100を超えるインスタグラムキャンペーン企画を実施していきました。
数字を大きく伸ばしたものも、全く数字が伸びなかったものも、両方を経験しました。
成功と失敗を繰り返しながら、企画設計のヒントが少しだけ見えてきた気がしています。
この記事では、現時点で体系化されてきたキャンペーン企画の設計方法をまとめていこうと思います。
なぜキャンペーン企画が必要なのか?
キャンペーン企画の設計方法の前に、そもそもなぜキャンペーン企画は必要なのかを考えてみようと思います。
キャンペーン企画はなぜやる必要があるのか?
答えは簡単です。
「フォロワーにフォローメリットを提供し続け、新たなフォロワーを増やすため」
これがインスタグラムにおいて、キャンペーン企画を行う理由です。
少し遠いところから、この理由を解説していきます。
ビジネスを拡大していくためには「数」は大事です。
より多くの人に情報を届けられれば、より多くのものが売れるチャンスが増えます。
インスタグラムにおける数とは「フォロワー」です。
たくさんの人にフォローされれば、何度も何度も情報を無料で届けることができます。
顧客との関係性がものを言う時代において、これほどありがたい話はありません。
しかしながら、ここにはひとつ落とし穴があります。
それは、「フォロワーが多くても情報が届かないことがある」ということです。
以下の資料をみてみましょう。
1349人のフォロワーと9.2万人のフォロワーのアカウントを比較した図です。
1349人フォロワーのアカウントの1投稿あたりの平均いいね数は339、平均コメント数は28。
対して9.2万人フォロワーのアカウントは、1投稿あたりの平均いいね数が81、平均コメント数が0.1です。
影響力の高いアカウントがどちらであるかは明らかです。
このようなことが実際起こり得るのがインスタグラムです。
フォロワー数を多くしてドヤ顔をすることが目的であれば、9.2万人のアカウントでも価値があると思います。
でも、商品やサービスの口コミを増やして売上を上げることが目的であれば、1349人のアカウントの方が価値が高いです。
もちろん、フォロワーが大事では無いと言いません。
ベストなのは高いエンゲージメントを保ちながら、フォロワーが増え続けることです。
そのようなアカウントを運用するためには、どうしたら良いか?
フォロワーさんに価値を提供し続け、フォロワーさんが新たなフォロワーさんを連れてくるようか仕組みを作る。
これこそがキャンペーン企画を行うべき理由であり、キャンペーン企画が貢献できる価値なのです。
(もちろん通常の投稿が最も大事なので、そこは前提として)
キャンペーン企画は、「お祭り」と似ているところがあります。
「なんかやっているみたいだから行ってみるか」
なんてことを言いながら、人だかりの方へ引き寄せられた経験は誰しもあるものです。
インスタグラムにおいて、その体験は「キャンペーン企画」により再現可能です。
フォロワーの方とガヤガヤ盛り上がることで、フォロー外の人が「なんだか面白そう」と引き寄せられていく。
インスタグラムには、フォロワーとにている人に投稿を届けてくれるという便利なアルゴリズムがあります。
キャンペーン企画(=お祭り)が盛り上がれば、その様子を多くの人に届けてくれる仕掛けが最初から組み込まれているのです。
以上、「なぜキャンペーン企画が必要なのか?」についての考察でした。
キャンペーン企画の設計はこう考える
ここからは「キャンペーン企画の設計」の話です。
この記事は、売りたい商品やサービスを持っている事業会社を対象にしています。
事業会社は商品販売に繋げていくため、キャンペーン企画から商品の興味を誘発する必要があります。
どれだけキャンペーン企画(=お祭り)が盛り上がったとしても、誰一人として商品に興味を持たない状況では意味がありません。
そのため、事業会社のキャンペーン企画は練られた設計が必要です。
今回は「型」となるキャンペーン企画の設計方法をお伝えします。
以下の図をご覧ください。
これがキャンペーン企画設計の型となるものです。
「シーソー」のようなものだと思ってください。
このイメージを頭に思い浮かべながら、キャンペーン企画を設計していきます。
おそらくほとんどの方が「なぜシーソーなんだ?」と疑問に思ったはずなので、説明をしていきます。
まず前提として、キャンペーン企画を行う企業は「伝えたいこと」を持っています。
新発売の商品、インスグラムのアカウント開設、10周年記念などなど。
企業はこれらの「伝えたいこと」を理想の顧客に伝えることで、直接的および間接的に売上に繋がるきっかけを作りたいと考えています。
でも、多くの企業は「伝えたいこと」をなかなか上手く伝えられません。
膨大な情報量が飛び交う現代において、企業の伝えたいことにわざわざ足を止めて耳を傾ける人はいないからです。
そんな時に、「シーソー」をイメージして「キャンペーン企画」を考えると役立ちます。
シーソーはテコの原理を使って、ぎっこんばったんするやつです。
キャンペーン企画もまさにこのシーソーと同じで、「テコの原理」で考えると上手くいきやすくなります。
「伝えたいこと」をシーソーに片方に置き、上から落とした「企画の力(=企画力)」で「伝えたいこと」を遠くに飛ばす。
これが、私が思うキャンペーン企画のイメージです。
企画力は「共感性・話題性・参加しやすさ・特典の魅力」などいくつかの要素によって構成をされます。(後で話します)
この企画の力が強ければ、「伝えたいこと」を遠くに飛ばすことはできます。
フォロワーが多ければこの企画を高い位置から落とすことができるため、「伝えたいこと」をフォロワー以外に伝えるための大きな手助けになります。
このイメージがキャンペーン企画を考える上での簡易的な設計図になるんじゃないかなと思っています。
もちろんこれはただの概念であり、概念はそのままでは役に立ちません。
ただ、概念を理解すると仕組み化ができます。
仕組み化ができるとクオリティのボトムアップと、失敗のリスク回避に繋がります。
次の章からはこの「シーソーの原理」を軸にして具体例を紐解きながら、インスタグラムのキャンペーン企画について言語化をしていきます。
シーソーの端に乗せる「伝えたいこと」と上から落とす「企画」を決めれば、設計は終わりです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
シーソーの左端に乗せる「伝えたいこと」を決めよう
さて、まずはシーソーの左端に載せる「伝えたいこと」を決めていきますす。
話が抽象的にならないように、ここからは具体例を用いてキャンペーン企画を実際に考えていきます。
今回、私たちは化粧品メーカーのマーケティング担当者になりました。来月から新商品として「オールインワンジェル化粧品」を販売します。
化粧水、乳液、美容液の機能を併せ持った利便性の高さが売りです。
販売計画も全て整い終わり、新発売の発表と同時にインスタグラムでキャンペーン企画を行うことが決まりました。
では、インスタグラムでどのようなキャンペーン企画を考えていけば良いでしょうか?
早速考えていきましょう。
まず、今回販促を計画しているオールインワンジェル化粧品は、「伝えたいことが多すぎる」という問題に直面しています。
会社としても期待値が大きく、いくつかの長い会議の末、伝えたいことが多くリストアップされました。
【リストアップされた伝えたいこと】
・商品名が「超ズボラジェル」という商品が新発売された
・今年の冬から発売を開始する新商品である
・自社ECで先行発売を行う
・大容量でmlあたりの金額は他社より安い
・高価で質の高い「プレミアム」と安価でコスパの良い「レギュラー」が2つある
・子育てママさんなどの毎日忙しく働く女性にこそ使ってほしい
・順次全国の薬局で販売していく
・インスタグラムを新しく立ち上げた
こうやって並べてみると、どれも重要なことのように思えてきます。
しかしながら、インスタグラムのキャンペーンにおいては伝えたいことは1つに絞るのが鉄則です。
伝えたいことがたくさんあると、バラバラと思い思いの方向に散らばり、上手く伝えられることができません。
いつだって盛り込み過ぎは「無難であり、誰にも刺さらない」という残念な結果を生み出します。
インスタグラムのキャンペーン企画においてはその傾向は特に顕著です。
例えば、伝えたいことを複数盛り込んだ悪いキャンペーン企画はこんなイメージです。
この手のキャンペーン企画は多いです。
主張したいことがお互いを打ち消しあって、文字も小さく何も伝わない見た目になってしまっています。
情報の優先順位も分かりませんし、結果として何にも記憶に残らない可能性を高めてしまいます。
インスタグラム上では一瞬で勝負が決まります。ユーザーが1つのコンテンツに身を通す時間は0.3〜0.5秒くらいと言われています。
そもそも文字が小さいと全く何も伝わりません。そういった意味でもひとつに絞り込むことが大事なのです。
また、伝えたいことを1つに絞る理由はもう一つあります。
それは、頻度を多く情報を発信するためです。
インスタグラムにおいて、更新頻度は重要な要素です。
伝えたいことがたくさんある場合、決して一度に詰め込まず、小出しにして発信の機会を増やすことを意識しましょう。
その中でも優先順位が高いものはキャンペーン企画とし、そこまで高く無いものはフィード投稿やストーリーズで発信する。というふうに分けて考えるのが良いでしょう。
今回は、「商品名が『超ズボラジェル』という商品が新発売された」ということを最も伝えたいこととして設定します。
特殊な商品名を意識的に考案したことと、「何はともあれ商品名の認知が重要でしょう」という偉い人の一言が決定打になりました。
ということでまずはシーソーの一番端に乗せるものが決まりました。
拡散される企画アイデアを決める
次に考えるべきことは、企画です。
企画の力(=企画力)が強ければ強いほど、「伝えたいこと」はより遠くに飛んでいきます。
企画力は次の3つによって構成されます。
どれもが重要な要素であり、大事な家具のネジを締めるようにひとつひとつを丁寧に設計していきましょう。
「参加しやすさ」は、そのままの意味です。
どれだけ簡単に参加できるかは、企画を設計する上で重要な要素です。
①ハイライトからフォームに飛んで個人情報を入力
②コメントで一言
これだと②の方が参加ハードルが低く、参加しやすいです。
めんどくささと参加者数は基本的に反比例します。
特に「少しだけ興味ある」というライトな層は、めんどくささの壁にことごとく阻まれてしまいます。
企画を設計する上で、「めんどくさくなっていないか?」と常に問い続けてブラッシュアップしていきましょう。
次が「話題性」です。
話題性とは、「自分が話をしたい(意見をしたい)事柄であるかどうか」ということ。
私は、Netflixオリジナルの「ストレンジャー・シングス 未知の世界」が大好きです。
もしも、「ストレンジャー・シングスで一番好きなキャラは誰?人気投票企画開催!」という企画を目にしたら思わず参加してしまうと思います。
・過去に考えたことがある
・誰かに伝えたい(誰かと話したい)と思ったことがある
・話すだけでテンションが上がる事柄である
というような要素が揃えば「話題性がある」という定義になると思います。
例えば、「季節性のあるイベント」なども普遍的に話題性のあるテーマです。
花火大会が近くなってきた時には、花火大会に絡めたキャンペーン企画を考えると良いでしょう。
※「驚き・喜び・楽しさ」などの感情を刺激する話題性もありますが、今回はスコープから外します。
また、大事なことは「誰にとっての話題となりたいか?」を考えることです。
今回、このキャンペーン企画を届けたい人はどんなことを話題にしたいと思っているか?何を話せればテンションが上がるか?
そのような問いかけを行いながら、話題の中身と話題を届けたい人の両面からアプローチをしていきましょう。
最後に「特典」です。
簡単に言うと「何がもらえるか?」ということです。
顧客(フォロワー)からみて以下の要素を満たしていけば、特典は魅力的になっていきます。
・もらえる確率が高いか
・欲しかったものがもらえるか
・豪華なものがもらえるか
・すぐに結果がわかるか(もらえるかもらえないか)
ただし、特典の魅力は「モノだけが欲しい人」という特定のマーケットを刺激するスパイスとして働いてしまいます。
理想の顧客像がそのような層と明確に乖離してしまう場合は注意が必要でしょう。
出来上がったキャンペーン企画
さて、ここまで企画力を構成する3つの要素を説明してきました。
「超ズボラジェル」のキャンペーン企画はどうなったのか?
「伝えたいこと」と「企画=3つの要素」を踏まえて考えた企画がこちらです。
解説をしていきます。
まず今回伝えたいことは「商品名が「超ズボラジェル」という商品が新発売された」という事実です。
「超ズボラ」という名前を多くの人の視界に入れたいし、記憶して欲しいわけです。
そのため、タイトルとしてぼーんと「超ズボラ」を挿れる以外ありません。
ただし、「超ズボラジェル新発売」と押し出すだけではただの宣伝に終わってしまいます。
そこで、「今回キャンペーンを実施するに至った理由」に「超ズボラジェルが新発売したから」を掲げてサブタイトルとしました。
また、私はキャンペーン企画とは「ファンとの共同プロジェクト」になるのが理想だと考えています。
可能であれば、ファンが2次創作として加われる企画から考えるようにしています。
ファンが創作にか関わる方法は、「コメント・ストーリーシェア・ハッシュタグ投稿」があります。
今回は新規で立ち上げたアカウントのため、「コメント」参加を選びます。
コメント参加はハードルが低く、キャンペーン企画を行うのにおすすめの方法です。
特典に関しても「1年分」をドーンと出すことで、豪華さを演出しました。
もらえる確率を上げるために「1年分を10名様」とし、強調しています。
「話題性」はどうか?
私は「自分はズボラである」というテーマは話題性としてニーズの高いものだと考えました。
その証拠に「ズボラ」で検索をすると、たくさんのアカウントが出てきます。
インフルエンサーにとって、アカウント名に入れるワードはとても大切です。
「私をこう思ってほしい!」という気持ちを表現して伝える看板になるからです。
「私のことをズボラだと思ってほしい」という人がこれだけ多くいる中で、「1番のズボラを決めるキャンペーン企画」というのは話題性を作るテーマとして悪くないと思います。
また、画像にあるような「ズボラアカウント」のフォロワーの方もまた「自分もズボラだから情報を参考にしたい」というニーズがある人たちです。
全ズボラアカウントのフォロワーを合計するとかなりの数になります。
このような事実から「自分はズボラであるし、それを人に伝える(話題にする)機会があれば関わりたい」というニーズは高いものだと仮説を立てました。
もちろんこのような仮説は外れることもあります。
しかしながら、「型」として携えておくことで外す確率をグッと抑えることに繋がると考えています。
最後にどうしても伝えたいこと
「インスタグラムのキャンペーン企画」となると、
「フォロワーを増やすために豪華プレゼントを用意して、いいね&フォローキャンペーンをしよう」と鼻息荒く考える人がいます。
そのような人たちの多くは、インスタグラムのキャンペーン企画を「企業→新規顧客」の一方方向の企画として捉えてしまっています。
私はそのような思想のもとに進めるキャンペーン企画はあまりおすすめしません。
記事の中でも一部書きましたが、その理由をあらためてあげてみます。
私は「キャンペーン企画」をファンとの共同クリエイティブの機会と考えています。
それはつまり「キャンペーン企画はファンの方のために行うべきである」という意味でもあります。
キャンペーン企画の目的を「新規のお客様との出会い」とすること自体は問題ではありません。
しかしながら、ベクトルを間違えてはダメです。
「企業⇄フォロワー⇨新規顧客」というベクトルで考えることで、より優れたアイデアが生まれると、私は考えています。
実はこの考えは、インスタグラムのアルゴリズム的にも理に適った考え方なのです。
インスタグラムは、反応してくれたフォロワーと同じ好みを持つ人にコンテンツをレコメンドしてくれるというアルゴリズムがあります。
つまり商品やサービスに興味がある人がキャンペーン企画に反応をする事で、同じように商品に興味を持つ人を集客してくれる機能が備わっているということです。
商品やサービスに興味がある人というのは、「フォロワー」であり「ファン」である方です。
ここまで読んでくれた方はもう道に迷うことはないでしょう。
短期的な数字の追求に踊らされて本質的な目的を見失わないようにしましょう。
サポートいただけましたら、活動費として使わせていただきます。