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【せたがや図鑑】世田谷区立郷土資料館

1.はじめに

 せたがや図鑑で歴史に関連する仕事について調べているおぐまと申します。今回は「世田谷区立郷土資料館」へ行き、学芸員の仕事内容について調べました。

2. 世田谷区立郷土資料館とは

 まずは学芸員の仕事内容について触れる前に、世田谷区立郷土資料館ついて簡単にご紹介したいと思います。

世田谷区立郷土資料館には世田谷区の歴史にまつわる資料があり、土器をはじめとした古代から近現代までにわたる様々な資料が保存・展示されています。さらに世田谷区立郷土資料館の敷地内には、重要文化財に指定されている「世田谷代官屋敷」があり、実際に中を見ることもできます。このような様々な時代の資料を見ることで、世田谷の歴史の移り変わりを知ることができます。

世田谷区立郷土資料館 代官屋敷


3. 仕事内容

 学芸員の仕事と聞くと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
今回は、世田谷区立郷土資料館で学芸員として勤めておられる松浦瑛士さんにお話をお伺いしました。

——1日の仕事内容

 毎日固定された仕事があるわけではありませんが、午前中に社会科見学の対応を行うこともあります。また、特別展ミニ展示などのイベントのために、企画の立案や原稿執筆などの準備を行います。
午後は区民の方から寄贈していただいた資料の整理を行い、調書やクリーニングを経て保管を行っています。また、最近では民俗調査をしており、昭和から現代にかけての人々の生活を調べるために区民の方から聞き取りをして原稿をまとめています。

 以上が松浦さんの一日の仕事の流れになります。特別展の準備は数か月から一年以上かかるものもあり、非常に大掛かりなイベントであることがうかがえます。また、民俗調査についても時間をかけて必要な資料の整理から聞き取り調査などを行っており、特にこの仕事は一日の仕事量の中でも大きい割合を占めているようです。
学芸員の仕事には歴史解説や資料の保管などもありますが、加えて民俗調査といった研究活動や資料収集も行っていることが分かりました。

4. 世田谷区立郷土資料館に勤めるまでの経緯

 学芸員として世田谷区立郷土資料館に勤めるまでの経緯についても、松浦さんからお話を伺うことができました。


——専攻の古代史から民俗学へ

 もともと学芸員を志望しており、大学では古代史を専攻していました。大学院でも古代史を学んでいましたが、所属していた大学が民俗学に強かったこと、また学芸員になるための進路における必要性から、民具整理や民俗調査を通じて民俗学を学んでいきました。大学院を卒業した後は「民家園」で働いていましたが、ちょうど世田谷区の学芸員に空きができ、採用試験を経て現在の仕事に就いています。

 学芸員を目指すために古代史を研究されていましたが、大学院で民俗学を学ぶようになった背景には、古代史分野の学芸員の募集が少なかったこともあったようです。
民家園に勤めていた時には明治時代の「消防組」や「やすり鍛冶」などに関する研究紀要を書いていたこともあり、現在は、専門分野であった古代史の枠を超えて、民俗に関する資料整理から調査研究をされています。

世田谷区立郷土資料館 館内の様子


5.仕事のやりがい

 ここまで松浦さんへの取材を通じて、学芸員の仕事内容について学ぶことができました。最後に学芸員の魅力とは何か、また学芸員の仕事のやりがいとは何かについて松浦さんに質問してみました。

——新しい発見と教育の普及

 学芸員の仕事は、大きく二つ。調査研究と教育普及です。皆さまから頂いた資料をもとに世田谷の歴史を調査研究していきます。学芸員としての醍醐味は、新しい史料を最初に研究し、調査を進めることができることでしょう。だいたいは先行研究があり、研究の第一人者になれるというわけではありませんが、新しい発見があったときは嬉しいです。
また、講座などを通じて世田谷について新しい発見や知識を深めてもらえると嬉しいです。

 調査研究と教育普及の観点から学芸員の仕事のやりがいについて教えていただきました。新しい発見があるのは歴史や民俗に限らず、他分野の研究においても嬉しいことですよね。教育の普及については、例えば社会科見学などがありますが、調査もしくは研究している分野に関心を示してもらえた時の喜びは非常に大きいものではないでしょうか。

6. おわりに

 今回は世田谷区立郷土資料館に勤めている松浦さんにインタビューさせていただきました。大変お忙しい中ご協力いただきありがとうございました。

私は、もともと日本史が得意だったこともあり、興味本位で学芸員の仕事について取材させていただきましたが、仕事内容だけでなく民俗学の奥深さについて学ぶことができました。民俗学と言えば様々な時代の文化や風習などを指すことがありますが、一つの文化でも衣食住や冠婚葬祭など多岐にわたり、様々な分野の調査研究をされていることが分かりました。

普段は民俗について意識する機会は少ないかと思いますが、お近くの郷土資料館などに立ち寄った際に、少しでもこの記事の内容を思い出していただけたならば幸いです。

最後までこの記事を読んでくださり、ありがとうございました。

掲載している写真は世田谷区立郷土資料館から許可を得て撮影したものです。当記事にある写真の転載はご遠慮ください。

施設情報
世田谷区立郷土資料館
改修工事のため、令和4年4月1日~令和5年3月31日まで休館
所在地   :〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目29番18号 
電話番号  :03-3429-4237
ファクシミリ:03-3429-4925
開館時間  :午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)
休館日   :毎週土曜日、日曜日
       国民の祝日、年末年始(12月29日から1月3日)
       館運営・工事等の都合により、休館日を変更するこ
       とがあります。
アクセス  :東急世田谷線「上町」駅下車徒歩約5分。                                   
       バスは(渋谷駅~上町、渋谷駅~用賀駅、
           渋谷駅~祖師谷ヶ大蔵駅、
           渋谷駅~成城学園前駅西口、
           渋谷駅~調布駅南口)の「上町」バス停か
           ら徒歩約5分。




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