【せたがや図鑑】ベッカライ・ブロートハイム
はじめに
せたがや図鑑でパン屋さんを調べているうるみです🍞
今回は世田谷区弦巻にあるベッカライ・ブロートハイムについて紹介したいと思います。
1,名前の由来と込めた思い
ベッカライ・ブロートハイムとはドイツ語で「パンの家・ふるさと」という意味です。
——ブームに乗ったわけではない
開店当時、日本はパン屋さんブームでした。しかし私は、パンはブームという一過性のものではなく日々食べるもので素朴であるはずのものだと考えています。ですので「ブームに乗っているわけではない」という思いがありました。
——パンの原点を目指して
フランスにおけるパンとは、小麦粉・ライ麦(穀物)・パン酵母・塩・水を混ぜて醗酵をとって焼いたものです。砂糖・バター・卵・牛乳などを使用した甘くてソフトなものではありません。
また日本では間違った名前で表記されていることがあります。例えば「バケット」です。フランスでは「baguette」と書き、正しい日本語の表記にすると「バゲット」となります。
このような2点をしっかりした、パンの原点を目指すパン屋さんでありたいという思いを込めました。
——ドイツ語の店名があまりなかった
当時はフランス語でブーランジュリー○○という店名が多く、1店舗ぐらいドイツ語があってもいいんじゃないかと思い、ドイツ語にしました。
またドイツパンが好きだったことも理由です。
2,パンに込めている思い
——パンは子育てと同じ
似たパンは作れても、同じパンは作れません。
私は粉の温度・室温・水の温度データ取っていますが、毎回違います。同じ材料でも少なからず違いがあるので数値化し把握していますが、それでも同じパンを作ることは難しいです。
また「この生地は合わないな/この生地は合うな」と、いうことがあります。
先人が言っていましたが「パンは作るとは言わない、育てる」というのは本当にその通りです。
生地を混ぜて温度を測るときや発酵しているときも、温度は適正か生地がベタベタになっていないか乾きすぎていないかなどを常に気にしています。「子どもがくしゃみした!風邪かな?」みたいな感じです。
そのため子どもをみているような気持ちで日々パンと向き合っています。
——新しいパンを作るとき
新しいパンを作る時は「このようなパンを食べてみたいな」や「この料理とこのパン合うんじゃないか」ということを考えながら作っています。
しかし新しいパンは私がゼロから生み出しているわけではありません。何千年の歴史があり、先人達の知恵を借りて作っています。基礎があっての新しいパンと考えています。
3,やりがい
——直接パンの感想を伝えてもらえるとき
わからないことだらけのため常にやりがいはあります。ですが1番はお客様からの「美味しかったよ」など感謝の言葉を聞けたときです。
パンは完成するまでに時間がかかります。
例えばフランスパンは仕込んでから焼き上がるまで大体5時間半~6時間かかります。ですので、一生懸命やってお客様に評価された時はやりがいを感じます。
4, 弦巻という場所
——弦巻に店舗を開いた理由
当時バブル時代で、1個50とか80円という値段で商売をするパン屋では不動産を借りることが出来ませんでした。12~15坪の土地を探しており、立地は駅や商店街ではなく畑の真ん中にと考えていたのですが現実的に難しかったので諦めました。テナントはありましたが、地下や2階などパン屋に適していないものでした。
そこで父親の「駐車場と私の(父親)書斎を崩せばできるんじゃないの?」という言葉から改装してパン屋にしました。元々自分の家の一角も候補に入れており、駐車場と書斎を合わせてちょうど15坪だったため決定しました。
生まれ育ったよく知っている地域のため、ここでよかったと思っています。小学校時代の同級生がお店に訪れてくれることもありました。
5,お店について
——対面で取る方式
当店はお客様がトレーとトングでパンをとるセルフ販売ではありません。対面でお客様が欲しいパンを従業員に伝えていただき、従業員が取り揃えます。
お客様自身がパンをとる場合、潰れて見栄えが悪くなってしまうことがあります。またセルフは不衛生のため、従業員が取り揃えるようにしています。
開店当時はセルフ販売が当たり前だったので、お客様に「トングとトレーはどこですか?」とよく聞かれました。
——手動ドアの理由
当店は自動ドアではなく手動ドアです。
自動ドアは一定時間開きます。すると外のホコリがパンに降りかかるので不衛生な状態になってしまいます。
また長時間、そのような状況でパンを置いていると、トングで持った時ザクっという音がします。
せっかく時間をかけて作ったパンが可哀想なので、手動ドアとなっています。
6,今後挑戦したいこと
——再度カフェを開きたい
2005年から2018年までカフェをやっていましたが従業員が足りず、パンの精度が落ちるくらいなら閉めようと思い、閉じてしまいました。ですが私はパンを食べる場所のカフェがあって、トータルで完成だと思っているので再開させたいと考えています。
——支店を出す予定はない
よく支店は出さないのですかという質問をいただくのですが、出す予定はありません。元々支店は出さないつもりで始めました。1店舗を管理するだけでも大変だからです。また自分の目の届く範囲でやりたいと思っています。従業員とよく「このパンは売り場に出してはダメ」などのやり取りをすることがあり、支店を持つと自分が納得していないパンも店舗に並ぶ可能性があるのでそれは避けたいと思ったためです。
7,課題
——精度を上げてより美味しいパンをお客様のもとに届けたい
今までやってきたものを精度をあげてお客様が喜ぶ・自分が美味しいと思うパンを作ることが課題です。
最後に
今回、ベッカライ・ブロートハイム店主の明石さんにお話を伺いました。お忙しい中、インタビューのご協力ありがとうございました!
明石さんのお話を聞き「パンは作るのではなく育てる」という言葉に納得しました。また質問をする中で明石さんはよく「当たり前です」という言葉を仰っていたことが印象的でした。”当たり前のことを当たり前にやる”すごさを改めて実感したインタビューでした。
とても貴重なお話をありがとうございました!
みなさんも是非訪れて見てください!
~私が購入した商品紹介~
プチパン¥61(税別)
ヘルンヒェン(プレーン)¥109(税別)
🥨店舗情報🥨
東京都世田谷区弦巻4丁目1-17
東急田園都市線桜新町駅より徒歩6分
TEL 03-3439-9983
営業時間 7:30~18:00
定休日 毎週月曜日、毎月第1・第3火曜日
※その他季節により連休があります。
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