香炉天佑(てんころ)

某政令指定都市で働く公務員。 精神保健福祉士、公認心理士の資格を持っています。 精神保…

香炉天佑(てんころ)

某政令指定都市で働く公務員。 精神保健福祉士、公認心理士の資格を持っています。 精神保健福祉業務、児童福祉業務に携わり、現在は教育相談センターに勤務。 年1回ある、大学時代の研究室(N研)の集まりに向けたネタ帳代わりにノートを始めてみました。 駄文、乱文ですがご容赦ください。

最近の記事

N研向け 不登校の考察③〜学校におけるリモートの功罪

 斎藤環氏は、人と人が出会うこと。その場に居合わせること。ライブであること。Face-to-faceで話すことを「臨場性」と呼び、臨場性は「暴力」「欲望」「関係」であると考察している。(齋藤環『コロナ・アンビバレンスの憂鬱―健やかにひきこもるために』晶文社、2021より)  人と接することは、大なり小なり肉体的/精神的に他者に侵襲されるということで、生物学的にも他者に侵入されると不快感を感じるパーソナルスペースがあることは自明である。  斉藤氏は、人と接した後に、無感情でいる

    • N研向け 不登校の考察②〜接点の少なさが与える影響

      筆者が実際に相談を受けたケースをいくつか紹介したいと思う。 ※個人情報に配慮し、学年と性別以外の情報は極力特定されないよう注意したつもりである。個別の事例としてではなく、代表的な事例として汎化された事例と捉えてほしい。 ①中3女子。中2までは人間関係の頂点側だったと本人は語る。修学旅行後にそれまで仲の良かった女子に「臭い」「キモイ」等の悪口や、トイレに閉じ込められる等のいじめを受ける立場に。これまで不登校や別室登校の子を下に見る立場だったため、そこを利用することは周りにどう

      • N研向け 不登校の考察①〜コロナ禍の影響を考える

        これまで、筆者の勤務する某市教育相談センターでは、学年別の不登校を主訴とする相談件数グラフ化すると、中2を頂点とするやや尖った山形を示していた。 しかし、コロナ禍の一斉休校や陽性あるいは濃厚接触による登校停止、外出の自粛、三密を避けたソーシャルディスタンス等を経た令和4年は、相談件数の頂点こそ変わらないが小5〜中3まで一様に件数が増加した。 もちろん、コロナ禍が直接の不登校の増加につながったと言うつもりはない。 令和元年の文科省通知(「不登校児童生徒への支援の在り方について

      N研向け 不登校の考察③〜学校におけるリモートの功罪