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なななななな、なななな。

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ままならぬ感情や個性を持て余す歯車たち。 ないならないで手持ち無沙汰、あったらあったで持て余す。 激しく、時に凪ぐ“感情”について描いた掌編、短編集。
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2021年4月の記事一覧

黒い羽根

黒い羽根

 黒い羽根が落ちていた。艶々としていて濡れているようにも見える。足早に皆が通りすぎている合間にも踏まれそうだが、手を伸ばした時は奇跡的に綺麗なままだった。指の先で羽根を拾った。烏の羽根のようだった。
 羽根を片手に空を見上げてみるが鳥はいない。もちろん烏もいない。いつ落ちたのだろうか。羽根をポケットに入れると、再び歩き出した。

 駅の階段を上がると、乾燥した風が吹き込んでくる。鼻先が一気に冷えて

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パステル

パステル

 パステルがどんどん溜まっていく。目をつぶろうとすると、水っぽい音がしてパステルで塗りつぶされていく。色とともにどんどん溜まっていく。とめられない。どぼどぼという音が鈍く頭に響いて、目の前が塗りつぶされていくのだ。
「起きて」
 可愛らしい声がする。愛しくて、懐かしい声。けれど、パステルはどんどん溜まっていく。声が呼ぶほど、パステルは塗られていくのだ。伸ばした手が届かず、吐く息がぶくぶくと音をたて

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都市伝説のホスト -零-

都市伝説のホスト -零-



 新宿歌舞伎町、眠らない町。街灯と電子看板の明かりに煌々と照らされた路地には、たとえ真夜中を過ぎても多くの人がいる。
 しかし少し奥まった路地に入ると突然薄暗くなり、人気がなくなる。メイン通りほどの賑やかさはない。雑居ビルの中にはそれでも無数の細かい店やスナックはあるが、どこかわびしい風情が漂う。
 そんなうらぶれた通りに不似合いなスーツの優男が通りかかった。
 上品に形よくセットされた髪、

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