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アンダルシアの外へ2~Mérida

エストレマドゥーラで迎える朝。


日曜日、夜型の夫が珍しくもう起きている。

ホテルの前より。
遠くに馬が2頭見える。


この人はまだチーズを忘れていなかった。

日曜日でも開いているお店が2軒見つかったと喜んでいる。
昨夜遅くまで携帯を見ていたのはそのためか。

ホテルをチェックアウトする前に、散歩がてらお店に行きませんかと提案があった。
今日これから向かう町には件のチーズがないかもしれないので、何としても今のうちに手に入れたいらしい。

ひとつめのお店。
ドアは閉まっている。


ホテルから車で5分ほどのところにそのお店はあった。


大きい倉庫のようにも見える。
さあ、チーズがあるだろうか。


反対側にまわってみる。

入口がわからない。


「こういうところこそ地元らしいじゃないですか!面白いものが売っているかもしれませんし!」

夫は寒さに震えながら、自分を奮い立たせている。
人はチーズのためなら早起きだって、寒さ我慢だってできるようだ。

こちら側も閉まっている。
やはり今日は休みだろうか。


うろうろしていると、地元の人が出てきた。

果たして、入り口は思ってもいないところににあった。


こちらが入口だった。
お邪魔します。

個人商店のような雰囲気のお店には、生活用品が所狭しと並んでいた。
地元の人がよく来る場所なのだろう。

水やお菓子やキャットフードはたくさんあったが、チーズはなかった。


しばらくすると、夫は水を購入した。

本人が納得したのかしていないのかわからないが、もう10時だ。
一旦ホテルに戻り、チェックアウトすることにした。

さあ、本日の目的地メリダへ!

本日の行き先はメリダ!


「その前に、もう一軒行きたいんです」

ちょっと上目遣いみたいなことをして夫が言う。
いつの間にこんなことを覚えたんだろう。

ナビに従うこと10分。
たどり着いたのは、La Huerta De Anaというお店だった。


La Huerta De Ana

八百屋さんだろうか。
店内をぐるっと一周したところ、チーズはなさそうだ。

夫も諦めて引き返すだろうかと思っていたら、当人は足元にあった5キロのオレンジに目が釘付けになっていた。

「見てください!こんなに大きなオレンジ。5キロで3.99ユーロです」


確かにものすごく安い。
5キロもどうやって食べるのかと思ったが、夫はもう買うことにしたようだ。

見てわかるこの大きさ!

とんでもなく大きいその果物は、人の顔ぐらいある。
アンダルシア田舎では、オレンジでサッカーをする子どもたちを見かけたが、エストレマドゥーラではオレンジでドッヂボールができそうだ。

「こんなに大きなオレンジは初めて見ました。どんな味でしょうか?」

この村の特産品のひとつだとは知らず、私はついいつものアンダルシアの癖でお店の人に話しかけてしまった。

「おいしいよ。ここらへんで、オレンジといったらこれだよ」

ぼそぼそ声でお店のお兄さんが教えてくれる。

後ろにいたセニョーラが「そのオレンジ、買っときなさい」と言った。

あくまでもこの2日間での経験だが、エストレマドゥーラの人たちは、アンダルシアの人たちとは少し違うように思った。話し方、訛り、身振り手振りが異なるのはもちろんだが、アンダルシアにいるときによく聞くような冗談やだじゃれを初対面で言う人はほとんどいなかった。とても実直な感じがする(アンダルシアの人が年がら年中ふざけている、という意味ではありません)。

お兄さんとセニョーラにお礼を言ったとき、右の棚の商品が目に入った。

大きなボトルにお酢が入っている。
真っ赤な酢だ。

2リットルで2.89センティモ。日本円だと400円ちょっとだ。

料理に使うのだろうか。

「僕たちはそのまま飲むんだよ」

私の視線の先にあるものに気づいたのか、お兄さんが教えてくれた。

日本でいう「飲むお酢」みたいな感じか。

「そのまま飲むというと、グラスに入れて飲む形でよろしいですか?」

「そうそう、ショットグラスとかでいいかな!さっぱりしたのどごしで、きりっとしてる。口当たりも軽いよ」

「へえ、喉が痛くなりませんか?」

「そんなことはないよ。すっきりするよ逆に」

「それは是非試してみたいものです。すごいですねえ!」

エストレマドゥーラの人はそんな風にお酢を飲むのだなあと思いながら、プラスチックのボトルを手に取りラベルを見たら、ワインだった。
私は目が悪いので、遠くにあるものはあまり見えていない。
何をやっているんだろう。お酢の棚にあったので、このプラスチックの入れ物もてっきりお酢だとばかり思っていた。自分でひとりでにエストレマドゥーラマジックにかかってしまった。

それにしても、ワイン2リットルで2.89ユーロというのは、信じられない価格設定だ。

地元のオレンジとワインを手に取ったからか、お店のお兄さんのぼそぼそ声がだんだん普通のボリュームに変わってきた。

「プラスチックに入っているけど、味は保証するよ」

お兄さんの口元に軽い微笑みが見える。

チーズは買えなかったが、地元の特産品を入手するという意味では目的を果たせそうだ。
いつの間にか隣に夫が立っていた。大満足なのだろう、にこにこしている。
よかった。


お酢ではなくワインだった。
ロボン産


もう10時半を過ぎている。

さて、そろそろ本日の目的地、メリダへ向かおう。
今日こそイベリコ豚が待っているはずだ。


「はい、じゃあ3.88ユーロね」

お兄さんが言う。

はい、と言って4ユーロを渡す。


ちょっと待てよ。
オレンジ3.99ユーロとワイン2.89ユーロで、3.88ユーロ?

オレンジの値段よりも安くなっている。そして、レシートにある0.99ユーロとは何だろうか。

計算が得意ではない私だが、いくらなんでもこれは違う。
エストレマドゥーラは私を試しているんだろうか。

「え?」

お兄さんは私たちの顔を見ている。

「え?」

お兄さんが首をかしげた。

「ええと、オレンジが3.99ユーロとワインが2.89ユーロなので、3.88ユーロですとオレンジの値段にもなりませんが大丈夫なんでしょうか…?」

夫が申し訳なさそうに聞いている。


ちょうどそのとき、お兄さんの奥さんがカウンターに出てきた。
違うじゃないのとお兄さんは怒られている。

「あははははは…、間違えちゃったなあ」

恥ずかしそうに笑ったお兄さんは、改めて計算しなおしてくれた。

無事正式な代金を払い、お礼を言ってお店を後にする。

5キロのオレンジと2リットルのワインを車のトランクに詰めて。

オレンジ5キロとワイン2リットルで、3.88ユーロ?

帰ってから調べてみると、人口約2700人のこの村の特産品としてオレンジとPitarraワインが紹介されていて興奮した。

公式ウェブサイトには、太字でこんな風に書いてあった。

"Excelente vino de pitarra" 
"Magnificas naranjas" 

「エクセレンテ」なワインに「マグニフィカ」なオレンジ!

日曜日に唯一開いていた2軒のお店をまわって満足したのか、夫はようやくメリダに向かう気になったようだ。

1時間半ほどのドライブで、メリダに到着した。

これぞ旅行日和、という青空だ。

しかし、特に何も調べずに来てしまったので、車を停めてからどこに歩いて行っていいかわからない。

犬の散歩をしていたセニョーラに、道を尋ねる。

「とりあえず、あっちへ歩いていくといい。にぎやかになるから」


私たちは「あっち」に足を進める。

セニョーラの言ったとおりだ。
10分程歩くと、あたりはにぎやかになってきた。


電車の中から手を振ってくれる人達もいた。


歴史に疎い私がメリダを説明する必要などないのだが、あえてほんの少しだけ書いてみる。
メリダの歴史は紀元前25年にさかのぼるらしい。初代ローマ皇帝のアウグストゥスにより退役軍人の居住地として築かれたローマ都市で、メリダという名前は「エメリタ(退役軍人)・アウグスタ」からきている。
古代ローマ時代の遺跡が街のいたるところに存在する。昨日のカセレスと同様、メリダの遺跡群も世界遺産に登録されている。

さあ、何から見ようかと夫に相談する。

「そうですねえ」

いまひとつ気のない返事だ。
彼は遺跡も見たいが、チーズも探したいようだ。

街中がこんなのばかりだ!


メインストリートに着いたのだろうか。
レストランをはじめ、お洒落な洋服、小物、陶芸品などが並んだお店が見える。
活気のある町の様子に興奮していたら、写真を撮り忘れた。

陶器屋さんに入る。

夫はピンク色のマグカップが気に入ったようだ。
私へのプレゼントにすると言い、100ユーロのお小遣いから出している。優しいじゃないか。


大学院シリーズに使っている写真。
Meridaにて購入したものだった。
気に入って毎日使っている。


私はというと、朝が早かったせいか、まだお昼じゃないのにお腹が空いてきてしまった。

昨日からビスケットを何枚も食べている。
今日はお菓子でごまかすのではなく、ご飯が食べたい。
しかし、レストランはまだ開いていない。


どうしようかと思っていると、生ハムの写真が目に入った。

吸い込まれるようにお店に入る。

そのお店には、生ハムやチーズを販売するセクションと、レストランがあった。時間的にレストランはまだ開いていなかったが、お店にある生ハムとチーズを使って、ボカディージョなら作ってあげられるよと優しい店員さんが言う。

これは願ってもいないことだ!

好きなハムとチーズを選んでいいよと言われたので、エストレマドゥーラ産のイベリコ豚の生ハムと羊のチーズを選ぶ。

私たちはついに聖地で生ハムとチーズを食べる機会に恵まれた!

生ハムとチーズの高級なボカディージョをひとつずつ作ってもらい、テラス席で食べることにした。


持ち歩き用にしてもらったが、
やはりここはひとつ
テラス席でゆっくり食べることにした。


パンには生ハムがこれでもかというぐらい敷き詰められている。
材料はパンと生ハムのみ。
これぞスペイン!
贅沢だなあ。

一口食べて、これはおいしいとわかる生ハムだった。


もうひとつのボカディージョには、山羊のチーズがたっぷり入っている。
食べていると、道をゆく人たちが、おっという顔をして通り過ぎる。
瞬間的にお店に吸い込まれていく人もいる。
今日は私たちがちょっとした客寄せになったようだ。


そして、なんと。
このお店には「あのチーズ」があったのだ!!

もはや私たちにとっては存在するかしないかわからない、幻かのようになっていた「トルタ・デル・カサール」だ。

夫に知らせる。

幻のチーズを見た夫はだまっていたが、しばらくすると、うつむき加減でつぶやいた。


「ああ、これは私の負けです…」


昨日カセレスで11ユーロだったチーズは、翌日のメリダでは11.90ユーロだった。

負けというのは90センティモのことだろうか。

そんなことを言うなら、その90センティモよりも、前日に雨の中行ったスーパーや、あぜ道から泥道の運転、今朝の2軒の寄り道に費やした時間とガソリン代を考えた方がいい。そっちの方が大負けだ。でも、私は大変に優しいのでそんなことは言わないことにした。

さあ、チーズを買って、遺跡を見に行こう!
私なりに元気づけてみるが、本人はチーズの箱を手にとろうとしない。

「これは買うなということでしょうね、きっと」

ここでもまさかの買わない選択をしそうになっている夫がいた。
また変な上目遣いをしている。

私は日本語でまくしたてる。

控えめにいっても、昨日の途中から旅のテーマが「チーズを探せ!」に変わっていること、負けといっても90センティモの違いであること、この機会を逃したらもう出会えないかもしれないこと、あなたが買わないなら、私が買う!

そう言って、私はチーズをレジに持って行った。

夫は自分のお小遣いで私にマグカップを買い、私は自分の財布を出して夫にチーズを買った。なんだかなあ。

ともかく、一件落着。

かくして夫のチーズ探しの旅は終わった。

チーズも買ったし、お腹がいっぱいになったところで、散歩を開始した。

天気がいいせいか、何を見ても楽しい。

「今、チーズの重みを肩に感じています。うふふ、やっぱり買ってよかったですね!」

夫も機嫌がいい。


1軒のお店の前に行列ができている。
お菓子屋さんだろうか。

スペイン人が並ぶのだから、おいしいに違いない。

外から店内の様子が見える。

私たちも並んでみた。
地元の人もたくさん買いに来ていた。


地元の人も並んでいるようだ。

「よくいらっしゃるんですか」

「ええもうそれは。毎日のように!」

犬を連れているお姉さんは常連のようだ。

とりあえずこれを買っておけば間違いない、というものを彼女とお店の人に見繕ってもらった。


とてもおいしかった。
日向ぼっこをしながら食べた。


青空が広がっているが、そうはいってもまだ2月だ。
外は凍えるように寒い。
頭が痛くなってきた。

この時期のアンダルシアの暖かさは、やはり普通ではないのだなとエストレマドゥーラにて思う。

昭和な雰囲気のポスターがいい


観光案内所で地図をもらう。

今の時間なら、あっちの方向に行ってみろ、というので、あっちへと向かう。

「あっち」とか「こっち」という大体の感じで案内されるのは、アンダルシアと似ている。


なんだこれは!

そんなことを思っていたら、
遺跡が目の前に突然現れ驚いた!

普通の建物の前にこんなものが出てくるとは、誰が予想するだろうか。


正面から見るとこうなる。
見よ、この存在感。

ディアナ神殿という古代ローマ時代の遺跡だった。

この迫力。
2023年の今も青空に映えまくっている。


遺跡にも草花が。


旅行をしなれていない私たちだったが、2日目にもなると、自分たちのペースがわかってきて少しずつ楽しくなってきた。それとも、夫のペースに私が慣れたのだろうか。そして、楽しくなったころには帰らなければならないのも旅行のお約束。


こうなったら歩く

帰るまでもう少し時間があったので、積極的に町を散策することにした。

広場を抜けると、教会や要塞が見える。
この町もとてもきれいで、ごみひとつ落ちていない。

アルカサバ(要塞)

要塞の前には、狼の乳を吸うロムルスとレムス像がある。
ローマからメリダに贈られたのであろう像を前に、ローマ建国神話の世界に思いを馳せる。

狼の乳を吸うロムルスとレムス像


そして、像の先にはローマ橋が!

要塞、銅像、橋!

要塞、銅像、橋!

私たちの興奮は最高潮に達した。

橋の下を流れるのはグアディアナ川だ。
全長約800メートルの橋を渡ってみることにした。

世界遺産、ローマ橋。
日傘必須

橋を渡る前、いまいちど銅像を見ようと振り返ったときだった。

おや!

あなたこれは!

黄色の矢印。

言わずと知れたカミノデサンティアゴの印じゃないか。

左に行くとよいようです

橋を往復して、まだ体力があれば矢印の先まで行ってみよう!

黄色のサインに力をもらい、橋を歩く。
先ほどのボカディージョとお菓子で、お腹も心も満たされている。

橋の上から。
グアディアナ川を望む
かっこよすぎる
この川を見ていたら、
日本を感じて帰りたくなった。


橋の上は、日差しをさえぎるものがない。
日焼け止めは朝に塗ったきりだ。日傘もない。
暑いのとまぶしいのと喉が渇いたので多少無言になりながらも、なんとか往復して銅像の前まで戻ってこられた。

さあ、さっきの黄色の矢印の先に行ってみよう。

巡礼者のための宿泊施設がある
黄色い矢印の先
とてもきれいな建物
鍵がかかっていた。
事前に電話をする必要があるようだった。
反対側から見た宿泊施設

おそらく、巡礼中の人が泊っているのだろう。
スニーカーと靴下が外に干してあった。

よい旅になりますように!

皆さんと遭遇した。


そろそろ帰らなければいけない時間になってきた。

旅行ももうすぐ終わりかあとちょっとさみしくなりはじめたとき、この方たちに出会った。


今住んでいる町では、お目にかかったことがない

「こう見えて、彼らは結構攻撃的なんですよ。私は近くを歩きませんから、あなたよければどうぞ!」

夫は彼らの横を通りたくないという。
しかしこの道を通らないと、帰れない。

「仕方がありません。いいですか!彼らの隣を通るときは、音を立てずに早足ですよ!」

夫によると、
割と強めな方たち

そんなことを言う夫が一番うるさいのだが、まあ仕方がない。近づいて写真を撮りたかった私は、夫に引きずられるようにしながらも、子どもの頃に鍛えた忍者歩きのようなことをしながら写真を撮るという華麗なるマルチタスクぶりを発揮し、何とか彼らをカメラにおさめることができた。


「そろそろ休憩しませんか」

それもそうだ。今日はかなり歩いている。夫はこれから車の運転もあるので、休んでもらわないといけない。

カフェに入って、トニカを頼む。
ついてきたオリーブがとてもおいしかった。

ほとんど一気飲み
カフェからの眺め

オリーブをつまみながら、この2日間を振り返る。
どたばたとした、そして少なくともその三分の一をチーズ探しに費やしたような旅行だったが、日常から離れることで心も体もリフレッシュできた気がする。


後から考えると、このとき既に夫は結構疲れていたようだ。

この2日間のチーズ騒動ではりきりすぎたのだろう。


カフェで1時間ほど休憩した後、アンダルシアへ帰ることにした。


5キロのオレンジは、
そのほとんどを私が食べた。

また半日ほどかけてアンダルシアへ戻る。
途中、コーヒーを購入し、何度かの休憩をはさみながら。

もうすぐ家に着くよというとき、夫が上目遣いで言った。

「何だか喉が痛いんです」

それはどうしてかなと聞くと、わからないという。

彼にはわからないだけで、私には思い当たる節がたくさんある。

「もしかすると私、悪い子でしたか」


悪い子だったかどうかは微妙なラインだが、翌日、夫は熱を出し、2日寝込んで私に怒られていた。


熱が下がった後に食べたチーズは、とてもおいしかったようだ。私にはハードルが少し高かった。お酒を飲む人に合うのではないかと思う。夫は気に入ったようで、一人で全部食べてしまった。


そんなこんなで、2月下旬のエストレマドゥーラ旅の記録を終わる。

改めて振り返ってみれば、とても楽しい旅だった。
フライング気味の日焼けも懐かしい。

私のnoteを読んでくださる優しい皆さまはおわかりだと思うが、今回も観光案内とかお役立ち情報的なことはひとつも書いていない。あ、おいしい生ハムとチーズがあるということはかろうじて伝わっただろうか。そして、見つけたらその場で買った方がいいということも…。

オレンジは、これを買いに行くためだけにエストレマドゥーラに行きたいと思うぐらいのおいしさだった。絶対にリピートしたい。

ワインはまだ飲んでいない。
次に来客があったら、エストレマドゥーラの話とともに開けてみようかな。


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