今日が秋だね

本当はこの日記を、9月25日に上げたかったけどすっかり忘れてた。
みんなが毎年「今年は秋なかったね〜」と口々に言うのが違和感なので、私がここに宣言する。
みなさん、今日みたいなのが、秋ですよ。
軽い長袖を着てでかけて、軽い風の匂いを嗅ぎながら歩いてみてね。


こんなふうに秋を告げる私だけれど、移ろうものが苦手だ。
季節、気持ち、年齢、時間、関係、時代。そんな目に見えないものが刻一刻と変化していって、ある瞬間ぱっと肌で変わったことに気づくのが苦手。あーーあ、変わっちゃった。まだここに居たかったのに。まだ夏でいたかったのに。まだ子供でいたかったのに。って。
「私、きほん、変化、いやなんだよね」
と言ったら恋人が「そうかなあ」とだけ言った。

秋は少ししかないのに、たくさん秋服を買ってしまった。ときめく出会いは探しても出てこないけど、外を歩くと見つかる。そんなふうに出会った洋服たちが家でゴロゴロしていてまるで自分自身を見ているようだ。私は洋服が好きだ。着飾ることも選ぶこともみせることもみられることも、好き。それを毎日手軽にできるのが洋服だと思う。
別にこだわりのブランドとか、独自の感性とかそういうのはないけれど、最近はできるだけ「一生お気に入りの服」と「飽きたら売れる服」を買うように心がけ、それから「可愛いけど部屋着になりそうな服」と「激安通販の服」は買わないように心がけている。
秋になったからと言うよりいつでもおしゃれしてなるべく楽しく暖かく涼しく心地よく暮らしたいものだ。

寒くなってくるともっぱら辛い気持ちになってしまう私だけれど、今年は平年より少し大丈夫そうだ。
なんたって少し将来が見えたんだから。
振り返ると4年も進路に悩んでいたことに、最近気づいた。
そりゃあ毎年、たのしい夏が過ぎ去る度、冷え込んで年の瀬が近づく度「来年の今頃あたしは何してんのかしら」なんて不安に苛まれていちゃ、心がカチコチになってしまうのも仕方がない。
やっと手にした未来をこぼさないように、私のほかほかの手のひらの上であたためていたい。


「私たちは他人に対して品行方正でいようとしすぎてるよ」
と私とよく似た友人が私に言った。
本当にその通りだと思う。
その品行方正さを他人にも求めてしまうので、辛かった時に助けてくれなくて、そのまま離れていった旧友のことを未だに恨んでいる。
そんな風に醜くも誠実であろうとする私たちの星座占いはいつも同じになる。
他人の痛みに鈍感で保身的な生き方は、ラクそうに見えるけれど、こんなふうに一生恨まれるくらいならば、守りたい人に誠実でいて、自分が傷つくくらいのこと引き受けるよね、と気持ちが通じ会えて嬉しかった。
いつか離れていった大好きだった人たちの事、また出会えたり出会えなかったりする人生でありますように。


「いいなぁ2人は、これから好きぴに会えるんでしょ」
と友人が口をとがらせた。
え、なんのこと、と私は思った。
どうやら私ともうひとりが、恋人の家に帰ることについてうらやましく思ったようだった。
正確に言えば私は自分ちに帰れば恋人がいて、友人は恋人が暮らす部屋に泊まりにいく。
恋人と暮らすことが当たり前になっていたので、家に帰れば好きな人がいる、という視点から喜ぶことは私にとって新鮮だった。
私にとって結婚は、好きな人がずっと一生一緒に居てくれる契約でしかなかったけど、最近はこの結婚関わった人全てを悲しませたり傷つけたり裏切ったりしてはならないという責任になった。
でもやっぱ難しいかも。ほんとは浮気がバレたり変なことしたり捕まったりして、全部ダメダメにしちゃうかも。という破滅的な自分が子どもの姿で私の周りを駆け回る。そいつを抱きしめて寝かしつけ、やっとの思いで頬を撫でたら、私の平穏は保たれる。
とりあえず私は、ゲームをする好きぴの横で、今もこうしてしこしこ日記をしたためている。
秋って何にもなくて、からっぽで空きだったけど、結婚するおかげで秋がほんの少しだけ好きになれそうである。

もうすこしながーーーく、秋、してくれたっていいんですよ。

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