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きもの本棚⑫『おしゃれきもの見立て帖』田園調布・秀やの帯と着物初心者の私が薦められた帯の柄を比べてみた。

サンローランのような着姿というのが、私の印象だ。くすみのない地色のお着物に、明度・彩度を合わせた帯を組み合わせ、帯の柄はワンポイントなら、お太鼓からはみ出す程に自由で…。連続した柄ならば若松菱・七宝繋ぎ・華文も三列と…。年齢や家庭環境によっては必要不可欠なフォーマル着物に、軽やかさを演出している。

この本の見所は二章の「秀やの見立て」だ。秀や流の見立ての手順と選んだお着物の着姿のお写真が、自然なポーズで載せられている。よくよく見ると、見たことのないようなものばかりなのに、個性的と呼ぶには控えめで、気恥ずかしさに誇らしさの混じった笑顔込みで、成立する感じなのだ。

似合うって、いいなぁ。私が薦められて、買えなかった帯は私に似合っていたんだろうか?  そこで、どんな帯があったかを振り返ると…

①アンティーク・リユースのお店で
紺地の更紗。更紗の品揃えに定評のあるお店だった。洋風のクッキリ柄が苦手と気付かされ…。

②駅ビルの呉服屋さんで
モダンな色合わせの格子柄の名古屋帯。他に銀のジャガード織の無地八寸を見せて貰った。半年待って、ジャガードの別な色を購入。

③ネットショップの催事で
歌舞伎の隈取を染めた、白地の塩瀬。もう一点、濃い鼠地に大根の輪切りを並べたような柄の染め帯を見せて貰い、そちらを気に入ったのだけれど、高級品(BURAタク、ブラジル産のシルク)で購入に至らず。

④紬の店で
白地に疋田の雪輪柄を大きく染めた帯。お店のオリジナルだそう。

⑤セレクトショップ風の呉服屋さんで
お太鼓の半分に散らした「むじな菊」風の柄が雪の結晶のように見える紫地の染め帯。何点か見せて貰ったうち、蔓に連なる葉を白で染め抜いた濃い鼠色を購入。山帰来とのこと。お太鼓柄だが、はみ出しているのもグッド👌 BURAタクに似ていなくもない。

どこもお店のイチ推しor季節性のない柄(染め帯なら、植物でないモチーフ)の中から、薦めてくれている。もしや、最初に薦められる帯というのは、落語の「まくら」のようなもので、会話のキッカケに過ぎないのか? ちゃんと、自分の好みを伝えられるように、がんばろう。


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