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きもの本棚⓳『浅草でそろう江戸着物』で、夏仕度!

江戸時代、芝居小屋の移転でスタートした「芸能の街・浅草」。今も和装とは縁が深い。そこで、伝法院通りにある履物屋『辻屋本店』の四代目女将が2018年に出した『浅草でそろう江戸着物』を頼りに浅草の和装品の店を周ってみた。

仲見世は平日でも、かなりの人出。大半が外国人だ。アーケードにあるレンタル着物の店は、行く度に数が増えている。そんな中でインバウンドの大波をどこ吹く風とかわし、浅草の老舗は力強く店の歴史を積み上げている。無くなった店もある。元気な店もある。但し、変わらない店は無い。

※辻屋本店 下駄TV(三年前)

パナマの夏草履には憧れるけど、急務のお買い物は夏用の裾よけとヘア・アクセサリーなのだ。四代目女将はクレープのキュロットと共に、絽の裾よけを愛用しているという。和装小物の店は仲見世にあるそうだが、混んでいそうなので、先に訪れたのは新中店通りにある『コマチヘア』。

なんとも昭和なコマチヘアのパッケージ

アーケード沿いに置いたワゴンの中身はシュシュやヘアゴムが中心だが、奥のガラスケースには『きものsalone』で見かけるドーム型のヘアピースを並べてある。カラーもボリュームも種類が豊富で、簡単に和装シニョンが作れる。「コマチヘア」はカツラの専門店なのだ。簪や七五三用の摘み細工の花もある。

私がやってるシニョンは『ゆりあの部屋』チャンネルのセルフヘアのやり方だ。私は前髪の束を後ろに流してゴムを隠しているが、チャンネルではバレッタを使っている。

バレッタを試してみたい。でも、陳列棚のべっ甲は、高くて手が出ない。ううむ。私は『浅草でそろう……』の平野恵理子さんのイラストに登場する「店の看板娘」岩崎有希子さんを捕まえて、相談してみた。

「バレッタは種類が少ないの」

一度は思案顔になったものの、有希子さんは素早く、外国人女性と舞台メイク用コスメを選んでいる貫禄のある女性客の間をすり抜けて店頭のワゴンから、ふたつみっつ、取って戻って来た。身のこなしが動物的で、先日、サバンナのチーターの親子がオーバーツーリズムで、観光用のジープにぐるりと囲まれている様子をテレビで観たが、そんな感じたった。そして、薦めて貰ったのがこちら。

クリップで止めるタイプ

プラスチックのバレッタは金具のない、昔ながらのタイプ。

もはや、貴重品!

有希子さんはシュシュを簪でアレンジするやり方も教えてくれた。簪を結び目にズブっと挿し抜き、先端と飾りの付いた側の双方にシュシュを引っ掛ける。この時、シュシュをひとねじりしておけば、結び目のゴムは隠れてしまう。普段はゴムの付いたヘアピースでこれをやっていて、人工毛で都はるみみたいなヘアが作れる。

ワンコイン(税別)で買える簪

ちなみに、シュシュも作ってみた。今でこそ、アップにしているけど、私はずっと、ボブだったから、この手の経験値が低いのよね。布地は大判のハンカチを使用。付けてみたら膨らみが出なかったので、自宅用。和装は色合いだけじゃなく、質感が大切!

見た目は、なかなかの出来?か?

こうして、一度に3タイプを揃えることができ、私は大型店にはない、専門店が持つ知恵に密かに感動していた。有希子さんも「今日で、ヘアアレンジが広がりましたね」と満足そうで、私も嬉しかった。

翡翠の簪は、夏向き!

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