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スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』千秋楽で、大人の礼装をウォッチング

あれもこれも、初めてづくしの新橋演舞場。千秋楽なので、客席へ挨拶をして回る礼装姿の女性を幾人も見かけた。この日は札止めだったそうだ。1回目のカーテンコールは花道から、團子丈が登場。2回目は米吉丈とおふたり。米吉丈の手を取り、團子丈からの「お疲れ様でした」の仕草があって「ああ! 大阪では壱太郎丈とやるんだもんね」と客席の観客は思ったに違いない。スタンディングオベーションも初めて、見たけど、かかげた掌がヒラヒラと揺れて綺麗だった。舞台役者はこういう光景を見てるんだもん。辞められないよね。

さて、後のヤマトタケル=小碓命(おうすのみこと)には毒親(帝)がいて、彼を何度も、死ぬような目に遭わせる。

テレビで観た時(二世市川猿翁・追悼番組)は「私は父上の愛が欲しかった」と繰り返す様がストレート過ぎて怖かったんだけど、今回、生の舞台で見て、作品の解釈が変わった。棘のようにヤマトを苦しめてきた気持ちが、つっかえ棒になって、死の危険から、ヤマトを守って来たんだね。劇中では「おごり」と言っていたけれど、帝の理不尽に腹をたてなくなった時から、ヤマトは流されてしまう人になった。帝の冷たさが、ヤマトの強い人格をつくっていた。嫌な気持ちも何かの役に立つと考えたら、嬉しかった。

ラストの場面で米吉丈の妻には威厳があり、説得力を感じた。同席している従者のタケヒコも、大事な役だと思うので、頑張って欲しい。


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