TENTO十年の大ベテラン、後藤先生
横浜からさいたまへの遠征
TENTOは子ども向けプログラミングスクールの老舗であり、長い歴史を持っています。後藤先生はそのほとんどを経験し、草創期からTENTOをささえてきた大ベテランです。日本のプログラミング教育をそのはじまりから知っている方と言いかえることも可能でしょう。
はじめてコンピュータにふれたのはいつですか。
「小学生のときMSXをいじっていました。ただ、それはプログラムを書いて動かしていたわけではありません。自分でプログラムを書いて、コンピュータを動かすという経験をしたのは、学生時代にロボットをつくったときだと思います。アセンブラを書いてモーターを駆動させました。その後に就職して、しばらくはプログラミングとは遠ざかることになります」
「長く自動車の部品を設計する部署にいたのですが、異動があって、新人教育の部署に配属になりました。主に新入社員に、電気・電子回路の基礎と、プログラミングについて教えるのが仕事です。TENTOにかかわりはじめたのも同じころだと思います」
そのころは今のようにオンライン講義が主軸ではなく、リアルの教室を運営していましたよね。
「そうです。さいたま新都心にも教室があって、お手伝いしていました」
そのころどちらにお住まいだったのですか。
「横浜です」
えっ! 神奈川県から埼玉県って、東京縦断ではないですか。いかに当時の後藤先生が若かったとはいえ、早朝の講座は苦しかったんじゃないですか? 毎週だし!
「今思い返せばそうですね(笑)。……ただ、当時は今とちがって、『子どもにプログラミングを教える』という活動をしている団体はほとんどなかったんですよ。それで横浜からさいたまに通うということをしていたんだと思います。今はたぶん、できないでしょうけど(笑)」
TENTOで知った大事なこと
どうしてTENTOに参加しようと考えたのでしょうか。
「本職のほうで、若い人にプログラミングを教えはじめた、というのが大きかったと思います。そのころ、小さい子にプログラミングを教えるような活動をしてみたいな、とぼんやり思っていました。当時はそういう機関がほとんどありませんでしたから、自分でやることもすこしは考えたかと思います。TENTO代表の竹林さんの講演を聞いたのはそのころです。もうやってる人がいるんなら手伝おうと思いました」
「それからTENTOの授業の様子を見学させていただいたんですが、竹林さんと子どもたちの関係もよかったですよね。呼び捨てだったし、ぜんぜん先生ぽくない(笑)。そこもよかったんだと思います」
TENTOにかかわって良かったのはどういうところですか。
「『自分は大したことない』と知ることができたことだと思います」
どういうことでしょうか。
「TENTOにはすごい人がいるでしょう。若い先生にもいますし、子どもたちにもたくさんいます。そういう人たちって、自分には絶対にできないことを軽々とやってのけるんですよ。どういうアタマしてたらそういうこと思いつくんだよ、と感じることもしばしばありますし、知識量もすごい。そういう人が多くいるということを知る機会があるのは、自分にとってはとても大切なことなんです」
「以前、そこで悩んでいたこともあったんです。自分は電気・電子回路とプログラミングを若い人に伝える仕事をしていましたが、広く浅くですから、知識に深みがありません。その深みを得る機会もないんです。それでいいんだろうか」
「TENTOに加わることによって、いろんな人と出会って、『世の中にはすごい人がいる』と知ることができました。それが当たり前なんだ、とも思いました。でも、『だから自分には価値がない』ではなくって、そういうところで活かせる自分があると知りました。それは、TENTOにかかわらなければ得られなかった感覚だと思います」
国際色ゆたかなオンライン
現在、TENTOはnoizをもちいたオンライン講義が主になっています。オンラインであることの大きなメリットはなんだと思いますか。
「距離がないことだと思います。たまたまなんですけど、私が受け持っているクラスには、海外からの参加者が二人いるんですよ。どちらも日本人ですが、ひとりは現地のコミュニティにはあまりかかわらず、まわりは日本人ばっかりの環境にいる子。もうひとりは会話してると、ところどころ英語がまざっちゃうような子です。それぞれにキャラクターのちがいがあるのはとても興味深いですね。そういう子たちも、TENTOにかかわらなければ出会えなかったでしょう」
「先日も、widthとはどう発音するのか聞いたりしました。widthってHTMLにもあって、プログラミングでは基礎的な言葉のひとつなんですが、カタカナ表記はワイズやらウィズスやら、統一されてないんです。そういうことを日常的な会話の中で聞けるのは、すごくいいですね」
プログラミングで思うこと
「ゼロからプログラムを組み上げる感覚を与えてくれたのは『プログラムはこうして作られる』という本と学習用言語Sunabaでした。
Sunabaは新人教育でもC言語の準備講座に利用させてもらっています。著者の平山尚さんには感謝しきれないですね」
「仕事でアプリを制作することはあるのですが、以前からやりたかったゲーム制作ができていませんでした。構想したゲーム用の開発ツールを作成していましたが、数ヶ月前にGodot Engineと出会い、これを使えばより良いものに出来そうだと考えました。今はGodot Engineの使い方を覚えています。いくつかのチュートリアルを終えて、練習用に小さな作品を作っているところです。いずれ完成品をリリースできるように頑張りたいと思っています」
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