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漫画「SUPER COMPOSERS」プロット

次回作のプロットです。前回は文字プロットに忠実すぎるとのご意見を頂いたので、これをたたき台にして、実際にネームを切るときははしょったり、付け足したり、絵で見せたりすると思います。

■キャラクター設定

・主人公(左)
山岡 岡山(やまおか おかやま)

陰キャのオタク
キモい
見栄っ張り
かっこつけたがる
むっつり
ピッコロの口調

・ヒロイン(右)
片喰 蓮(かたばみ れん)

陽キャのオタク
けっこう世話好き
好きなことを語り始めると饒舌になってしまう
心が読める

■シナリオ

ゲームセンターで山岡が格ゲー「リーゼントファイター6」をやっている。

ゲームのBGMが流れている。

山岡「ふっ…また勝った。これで36連勝だ」
山岡「もう1回!」

隣に知らない女性が座る。

山岡「ん?」

リーゼントファイター2のBGMを鼻歌で歌っている。

山岡「リーゼントファイター6のBGMか?しかし、何か違うような」

1発でKO負け。

山岡「くっそぉぉぉぉぉ!5秒で負けた!」
女性が去る。

山岡「もう1回勝負だ!」

悔しがる山岡。

振り返る女性。

女性「片喰(かたばみ)」
山岡「何のことだ?」
片喰「私の名前よ。あんたは?」
山岡「なぜ名を聞く?」
片喰「負かした相手の名前を名簿につけてんのよ。で、名前は?」
山岡「岡山」
片喰「岡山?ふーん、パッとしない名前ね」
山岡「…もじもじ」
片喰「どうしたの?」
山岡「下の名前呼びされると、その…」
山岡「照れるな」
片喰「キモッ」
片喰「岡山って苗字じゃないの?」
山岡「下の名前だ」
片喰「えっ…変な名前。じゃあ苗字は?」
山岡「山岡。山岡岡山だ」
片喰「何よ、その冗談みたいな名前!」
山岡「両親には恨みしかない」
片喰「でしょうね。…じゃ」

片喰が立ち去ろうとする。

山岡「ちょっと待て」
片喰「何?」
山岡「なぜそんなにゲームが強い?」
片喰「ああ、ゲーム音楽を口ずさんでるだけ。そうすると気分が上がって勝てるのよ」
山岡「ゲーム音楽?ああ、ゲームのBGMのことか?」
片喰「そう。さっきのはリー2のトラのステージの曲。知ってるでしょ?」
山岡「知らん」
片喰「(ガクッ)」
片喰「あんた、知らないの?30年前に日本中で大ヒットしたリー2の曲」
片喰「元はアーケードゲームだったんだけど、スーファミに移植されて爆発的な人気を…あっ」
(つい興奮して饒舌になってしまい、恥ずかしがる)

片喰「…」(恥ずかしそうに視線をそらす)
山岡「貴様、オタクなのか」
片喰「そうだけど。いいじゃんオタ活」
山岡「ギャルじゃないのか?」
片喰「は?」
山岡「くそ…オタクに優しいギャルかと思ったのに」
片喰「優しくしてないでしょ。キモ…」

また去ろうとする片喰。

山岡「美人だな」
頬を赤らめる山岡。

山岡「ちょっと待て!」
片喰「何よ、何回も?」
山岡「俺も興味がある。その…ゲーム音楽に」
片喰「私に近づこうとしてもムダよ」
山岡「なっ…貴様、心が読めるのか?」
片喰「全部顔に出てんのよ」
山岡「…仕方ない。じゃあ、単刀直入に言おう」
山岡「貴様に惚れた。俺にゲーム音楽のことを教えろ」
片喰「げっ」
動揺する片喰。
山岡「ダメか?」
片喰「…」
片喰「少しだけだからね」
山岡「感謝する」
片喰「外に出るわよ。ここじゃ音楽が聴こえないから」

―ゲームセンターの外

片喰がスマホを出す。
片喰「これがリー2の曲よ」

スマホからリー2の曲が流れる。

山岡「ふむ…リー6とはかなり違うな」
山岡「昔のゲーム音楽ってこんな感じだったのか?何というか、歌みたいな…」
片喰「昔はグラフィックがドット絵だったからね。はっきりしたメロディがゲーム画面に合ってたのよ」
片喰「それに、スーファミは同時発音数が8音までだったからね」
山岡「ドウジハツオンスウ…って何だ?」
片喰「一度に鳴らせる音の数」
山岡「それがハチオン…だとなぜこうなるんだ?」
片喰「スーファミは一度に8つまでしか音を鳴らせないから、メロディに1つ、ベースに1つ、リズムトラックに1つ、伴奏に3つくらいまでしか音を使えなかったのよ。リー2はこれにキャラクターの声と効果音も鳴るから。それにサウンドメモリも64KBまでしかなかったし…あっ」
(また饒舌になってしまい、恥ずかしがる片喰)
山岡「さっぱりわからん。貴様、ただのゲーム音楽オタクじゃないな?」
片喰「うっ…」
片喰「キモいくせに鋭いわね。そう。私、作曲家なんだ」(得意げに)
山岡「なっ…」
片喰「アマチュアだけどね。たまに仕事も受けてるけど」
(山岡の目の色が変わる)
山岡「仕事!?じゃあプロみたいなものじゃないか!作曲家に会うのは初めてだ!」
(テンションが上がる山岡)
片喰「フフ…」
片喰「あんたキモいけど、気に入ったわ」
山岡「お?」
片喰「一緒にゲーム音楽を作らない?」

―公園

山岡「こういう時は貴様の部屋に入れてくれるんじゃないのか…」
片喰「バカ。部屋に上げるわけないでしょ」
山岡「公園で作曲できるのか?」
片喰「スマホがあれば十分」
山岡「作曲の場に立ち会うのは初めてだ…」(ドキドキしながら)
片喰「キモ!」

山岡「こんなソフトがあるのか…」
片喰「言っとくけど、これじゃスーファミで鳴らせないからね。家に帰ったらスーファミ用に作り直すから」
山岡「やはり俺を部屋に上げるつもりだな?」
片喰「バカ。んなわけないでしょ」
片喰「はい」
山岡「何だ」
片喰「1曲作って」
山岡「なっ!!最初から作れるわけがないだろう!」
片喰「私が教えてあげるから」
山岡「手取り足取りか?」
片喰「うぇー…」

片喰「作曲はメロディ、コード、ベース、ドラムの4つのパートがあるのよ。順番はどれからでもイイけどね」
山岡「ふむ、難しそうだな」

片喰「まずはメロディから作ってみて」
山岡「何も思い浮かばんぞ」
片喰「ドレミファソラシド知ってるでしょ?最初はあれを適当に組み合わせるだけでイイよ」
山岡「適当に?簡単に言うがそれが難しいのだ」
片喰「どう並べてもそれなりに聴こえるのよ。やってみて」
山岡「うむ、じゃあミミミファソファ、とかどうだ?」
片喰「OK」

作曲ソフトでメロディを打ち込む片喰。
片喰「ほら、できた」
山岡「できた!俺にもできたぞ!」(興奮して画面をのぞき込む)
片喰「近い!近い!」
山岡「しかし、なんか微妙じゃないか?」
片喰「そう?」
山岡「さっきのリー2みたいな曲は作れないのか?」
片喰「最初はこんなもんよ」

片喰「次はコード」
山岡「あのCとかDとかいうやつか?」
片喰「そう。メロディを構成する音のコードを使うのがコツ」
山岡「難しそうだな」
片喰「最初はミミミから始まるから、CとEmとAmのどれかから選んで」
山岡「じゃあCで」(かっこつけながら)
片喰「げ…」
山岡「何がいけないんだ!」(怒りをあらわにする)
片喰「あーもー、Cにするから」
山岡「そう…それでいいんだ」
片喰「キショ…」

片喰「次はファソだからF」
山岡「なぜだ」
片喰「コード進行のお約束があってね。C→F→G→C、これが一番の基本なのよ。次はGにするから、ここはF」
山岡「よくわからんが、好きにしろ」
片喰「最後はさっき言った通りG」
山岡「実質貴様が作ってないか?」
片喰「あんたが作るとすっちゃかめっちゃかになりそうだから、補助」
山岡「共同作業だな」
片喰「キモッ!」
山岡「(けっこう面倒見が良いんだな。この女、やはりオタクに優しいギャル…)」
片喰「…」(山岡をゴミを見るような目で見る)
山岡「何も考えてないぞ!」


片喰「岡山」
山岡「また下の名前で…」(もじもじ)
片喰「あっ…もー、紛らわしい名前ね!」
片喰「山岡」
山岡「何だ」
片喰「お腹空かない?」
山岡「そうだな。じゃあそこの喫茶店で」
片喰「何勘違いしてんのよ。その隣のスーパーに行くわよ」
山岡「ぐぬぅ…」

半額のサンドイッチを食べる。

片喰「岡や…いや山岡さぁ…」
山岡「何だ?」
片喰「ゲーム音楽作るの楽しい?」
山岡「うむ、最初は楽しいと思ったのだが、少々難しいな」
片喰「じゃあ、やめる?」
山岡「えっ、いやっ」(焦る)
山岡「(オタクに優しいギャルと仲良くなる千載一遇のチャンス。逃してたまるか)」
片喰「キモいこと考えてるでしょ?」(ゴミを見るような目)
山岡「違う!いや、ゲーム音楽というのはなかなか興味深いな」
山岡「貴様、仕事も受けていると言っていたな。話せ」
片喰「ああ、あれね」
片喰「受けたのはいいんだけど、ゲームの画面を見せてくれないのよ」
山岡「どういうことだ」
片喰「まだ完成してないのかな?どんなゲームなのかもよくわからないんだ」
山岡「曲を依頼する時はある程度ゲームが出来上がっているものだと思っていたが、違うのか」
片喰「うん…思ってたのと違う」


片喰「次はベース。初めはコードと同じ音を使えばイイよ。最初のコードは何だった?」
山岡「Cだったか?」
片喰「そう。Cだからベースの音はド」
山岡「意外とあっけないな」
片喰「慣れてきたらいろいろあるけど、基本はこんなもんよ」
片喰「FとGも同じ要領」
山岡「Fはファ、Gはソか?」
片喰「よくわかってるじゃない、岡山」
山岡「…もじもじ」
片喰「ああ、山岡!紛らわしい!」


片喰「最後はドラム。ドラムは基本のズンチャ、ズンチャがイイかな」
山岡「ズンチャ?」
片喰「バスドラムとスネアドラムを交互に鳴らすパターンっていうのかな」
片喰「打ち込むから、聴いてみればわかるよ」
(打ち込んだドラムパターンを聴く)
山岡「なるほど、これがズンチャか」
片喰「そう」
山岡「フフ…」
山岡「ゲーム音楽作り、意外と面白いぞ!」
片喰「でしょ?」


山岡「これで完成か?」
山岡「ちょっと待て、何でこの曲はずっと繰り返すんだ?終わりがないのか?」
片喰「ゲーム音楽だから、ループさせないと」
山岡「なぜだ?」
片喰「ゲーム音楽の場合、これがステージ1のBGMだとしたら、ステージ1にいる間、ずっとこの曲を聴いてないといけないんだ。1時間いたら1時間ずっと流れる。それがゲーム音楽。スト6の音楽もそれが緻密に作り込まれてて…あっ」
(また饒舌になってしまい、恥ずかしがる)
山岡「恥ずかしがる貴様も可愛いぞ」
片喰「キッモ!」

山岡「俺から提案があるのだが」
片喰「何よ?」
山岡「ラップを入れたらどうだ?」
片喰「ああ、それは無理」
山岡「何!?なぜだ!」
片喰「さっきも言ったかも知れないけど、スーファミは容量の制約が厳しいのよ。64KBに全部収めないといけないから、ラップなんて入れらんない」
山岡「キロバイトとは何だ?」
片喰「データサイズの単位。あんたのスマホの容量いくつ?」
山岡「64GBだ」
片喰「じゃあ、64KBっていうのはその100万分の1」
山岡「なっ…!そんなに少ないのか?」
片喰「少ないでしょ?昔のゲーム音楽は容量の制約との戦いだったのよ。まー、簡単に言うと、ほんの一言セリフを入れるだけでも数KB使っちゃうから、ラップになるとそれだけで64KBなんて余裕で超えちゃう」
山岡「そうなのか…残念だが、ラップは諦めよう」
片喰「昔のゲーム音楽の難しさがわかった?」
山岡「うむ、ゲーム音楽、なかなか奥が深いな」(目を輝かせている)


片喰「はい、これで今度こそ完成」
山岡「うむ」
片喰「リアクション薄…もっと喜んだら?」
山岡「いや、少々疲れてな」
(内心両手を挙げてバンザーイと喜んでいる)
片喰「これで終わりだからね、教えるの」
山岡「ど どういうことだ」(動揺している)
山岡「(嫌われたか?素直に喜べば良かったかな)」
片喰「蓮」
山岡「は?」
片喰「私の名前。片喰蓮よ」
片喰「今度は岡山が一人で作ってね、ゲーム音楽」
片喰「出来上がったら聴かせて」
山岡「(ほっ、嫌われてなかった)」
山岡「…山岡だ」(かっこつけながら)

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