拗ねた日
日曜日の朝。なんだか無性に出かけたくなって、娘に
「ねえ、お弁当つくるから遊園地いこうよ!」
と誘った。
完全に在宅モードでまったりしたかったらしい娘は、嬉しそうな顔ひとつせず「え〜…」と言った。え、遊園地って子ども大好きなんじゃないの?
遊園地といっても、動物園の中にあるこじんまりとした遊園地だ。ちょっと高いレールを結構な速さで走るジェットコースター「マッドマウス」(名前がさいこう)を始め、色の褪せた、でも現役の乗り物が揃った趣深い遊園地。2年前に幼稚園の友達と一緒に連れて行ったときは1日フリーパスを買ってあんなにはしゃいでいたのに!
てっきり喜んでくれると思っていた私はひどく落胆した。おにぎり用のお米も炊いているのに。夫も、休みが少なくてこの日の朝はぐったり寝ていた。
こんな楽しい計画を喜んでくれないなんて!と謎の憤慨をした私は、なんだか色々嫌になって「お母さん、一人ででかけてくるよ。ごはん炊いてるから、お昼はお父さんと食べてね」なんて言い捨てて一人家を出た。
行きたかった美術館の催しに足を運ぶ。私も単純なので、すぐに作品に刺激されて、よーし水彩画セットでも揃えちゃおっかな!などと思いながらミュージアムショップを物色していた。すると、夫からLINEが一通。画像だ。
娘がおにぎりをにぎっている写真だった。「お昼食べた?」とメッセージ。なんか、ごめん…
すぐさま美術館を後にして、おにぎりと唐揚げくんとお茶を持った夫と娘を車で迎えに行き、そのまま動物園(遊園地)へ直行した。
到着すると、娘も私の様に単純なので、大興奮しながらお目当ての動物を探して走っていった。今朝の様子を夫から聞く。娘は
「お母さんが拗ねて出て行った」
と報告したらしい。夫と娘は相談して、お母さんがお昼ご飯を食べる前に急いでおにぎりをつくって連絡しなきゃと、用意したそうだ。ありがとう。
ついこないだ見たドラマでは、主人公の母親が、好き放題している父親についての文句を一度も言ったことがなく、「我慢、我慢」と笑顔で居続けたそうだ。とてもそうはなれない。遊園地に行けなくて拗ねてる場合ではない。
おにぎりを食べながら、二人が誇らしそうに、それぞれ自分が作ったおにぎりを教えてくれた。一個づつ食べて、また頑張ろうと思った。
フェニックス自然動物園