見出し画像

特別でないこと

こうえんラジオというポッドキャストを始めました。

最新版は「おはなちゃんの回」

こうえんラジオとは
どこかの公園にとつぜん現れる
ラジオスタジオ
砂場で山をつくる様に 気軽に楽しく
ラジオ番組をつくってみよう

こうえんラジオ

その他のエピソードも随時公開中です。

マイクとPCとフラッグを持って、マーケットをやっている週末の商店街とか、イベントをやっている近所の公園に出没しています。

ON AIRのサインがいかす

話し手はラジオネームを決めて、匿名で出演します。こちらが用意したお題や、カードをめくって現れる言葉を元に好きなお話をしてもらいます。出演してくれる人はいったい何歳なのか、学生なのか、なにか仕事をしているのか、まったく聞かずに「いまハマっている事」「夏の思い出」「好きな色」など、テーマだけを頼りに会話を進めます。

なぜ、こんなことを始めたのか。「特別でないことを愛でたい」というのが一番の動機である気がします。

特別であること、とは、注目を集めることだと思います。めずらしいこと、なかなか手に入らないもの、誰もが簡単にはできないこと。それは、有名人や経営者の成功体験、高価なレアモノ、恵まれた容姿だとか。行きすぎると、業界の裏話や暴露話、眉唾の陰謀論、やってはいけないことを挑戦するチキンレースだったり。

その注目度は「いいね」の数で明らかな数字となって、点数のように誰の目にも見えています。スマホによって、いつでも「点数」を確認できます。

スマホを片手にSNSを通して世の中を見つめていると、誰もが特別な時間を過ごし、特別な情報を持っているように見えてきます。

でも、本当は、朝何度もスヌーズの音を聞きながらしぶしぶベッドから抜け出して、半分眠りながら朝ごはんを作り、バタバタと洗濯をして、掃除もそこそこに家を出て、仕事をする。仕事中はにこりともせずPCと向き合い、何のためかよくわからない会議に出席したり、初対面の人と中身のない会話をしたり。疲れ切って帰宅して、家族に愛想良くできなかったり、積まれた洗濯物を放置したり、本を読みたいのにしょうもないネットニュースを読み漁って寝落ちする。

そんな日も、よくあるじゃないですか。そんな中で、

朝昼晩、ごはんが食べられる。家族が健康で元気。仕事がちゃんと納期に間に合った。お客さんが喜んでくれた。洗濯物がしっかり乾いた。友達と偶然会った。おいしいコーヒーを飲めた。新鮮な野菜を買えた。

そんな、取るに足らない些細な、でもなんとなく「良い・わかる」がたくさん散らばっています。良いことだけでもないけれど。それは写真や文字だけで表現するとインパクトはないのですが、音声を通して、その人の語り口で聞くと、じんわり「わかる〜」となります。「なるほど〜」も。

ラジオは、録音後にすぐには確認できないのも良いですね。写真や文字だと、すぐに確認できるので、やっぱり違うとか、やり直したい、と思ってしまうけど、ラジオはかなりの情報量を発信するわりにはやり直しをしない。匿名だから多少誤解を生んでも本人に何か不都合があるわけでもない。

その、いい加減さと情報量の多さがとても良いと感じています。それに、出演者は公園にたまたまいた人、という一期一会感も好きです。出演してくれた人には、ポッドキャストのリンク先を書いたカードとステッカーを渡すだけで、お互い連絡先も交換しません。そのうちアップするので聞いてくださいね、で終わりです。

来週は、事務所がある通り沿いのお店や事務所の皆さんと合同イベントです。そこでまた、こうえんラジオを収録します。どこも徒歩5分圏内の場所ばかりです。どんな出会いや出来事が、あるのか、はたまた特にないのか。楽しみです。