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セミーン登場

みーん!みーん!みーん!っと、
朝から何ですか?誰ですか?
外がとてもうるさいですね。
いぬうた市の朝は静かでのどかなんですから、
ちょっと静かにして下さいな。
「それは無理な相談ってものだよ。だってやっとこの季節が来るのを待ち焦がれていたんだから」
とは、きゅん君の発言です。
あら、きゅん君、この鳴き声にずいぶんと同情的ですね?
そのココロは一体何ですか?
「それは、何てったって、いぬうた市に本格的に夏が来たって証拠だよ。それを伝えてくれてるんじゃないか。いわば彼らの仕事なんだから、それをあーだこーだいうもんじゃないよ」
そういうものですかね。
まあ、きゅん君がそこまで言うんだったら、分かりましたよ。
あれ、でも、ということは、いぬうた市の、
梅雨はもう明けたんですかね?
すると、今度は、ぐーちゃんが答えてくれました。
「そうよ。梅雨さんはどこかに行かれたわ」
そうなんですね。
でも、ぐーちゃん、何でそれが分かるのですか?
「だって最近、ぐー、梅雨さんをお見かけしないし、それにあの今鳴いていらっしゃる方たちが、そう、おっしゃってるじゃない。見ーん!見ーん!見ーん!って」
あら、そうだったんですか?ぐーちゃん。
彼らは梅雨を見てないよ。って言ってたんですか?
「そうよ。知らなかったの?それは不勉強さんね。あの方たちは夏さんがいらっしゃったそのお証拠をちゃんとおっしゃっているのよ。だって梅雨さんを最近見んからって」
それは知らなかったです。
だいぶ無理があるような気もしますが。
でその梅雨の代わりに来たのって誰でしたっけ?
誰が来たんでしたっけ?
きゅん君、お答え下さいな。
「えーと、アレだよ。アレ。今もうるさく、みーん!みーん!と鳴いてるアイツ?あっ、何て名前だっけな?ついど忘れしちゃったよ」
何だあ。きゅん君たら。
忘れちゃったんですか?
じゃあ、ぐーちゃんはどうですか?
今、鳴いている、あの方たちの名前は分かりますか?
「バカにしないでよ。それくらい、きゅんと違って知ってるもん。最初のお字はズバリンゴ、
セよ」
おおー!で、次の字は?
「えーと、えーと、あら何でしたっけ?セマさん?セムさん?セメさん?それともセモさん?たぶん、これの中のどれかだと、ぐー、思ったけど」
もうひとつ忘れてやしないですかね。
肝心の言葉を、ぐーちゃん。
「そんな感じだっけ?ちょっと違うような気がするなあ。あっ、こんな感じじゃない?ツミとか、セユとかじゃなかった?」
それは、きゅん君、いなくなった梅雨に、
一文字、引っ張られてやしませんか?
ほら、自分たちでちょっと名前を言ってるじゃないですか。
みーん!みーん!って。
それで最初の字が、ぐーちゃんの言った、
セだとしたら、
「分かったー!」
ようやく分かってくれましたか。
ではおふたり声を揃えてどうぞ!
「正解はセミーンでーす!」
えー、まあ、いいとしましょうか。
ちょっとロボットみたいでカッコいいですし。
と、いう訳で、いぬうた市ではこれから、
セミーンが大活躍しますので、お楽しみに。

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