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毛布に包まれて

最近の、いぬうた市といえば、
だいぶ暖かい日が増えてきて、
冬のシッポが見えてきた、ここのところですが、
まだまだ、夜や朝は寒くって、就寝中は、
毛布がかかせない昨今であります。
そこにきて、きゅん君の近頃のトレンドのひとつとして、
きゅん巻き。というのが、
ご自身の中で流行っているそうです。
この、きゅん巻き。とは一体何か?
その当の、きゅん君から説明して頂きましょう。
では、きゅん君、お願い致します。
「かしこまりー!の僕、きゅんです。で、ええと、この、きゅん巻きというのはですね、飼い主が布団の上にかけている毛布を、僕の身体にくるくると巻きつけて、僕が文字通りの、巻き物みたいになるということでありまーす」
なるほど。それは寒い夜などでも、
さぞかし温かいことでしょうね。
でも、要はこれは飼い主の毛布を、
横取りするということですよね。
飼い主はさぞかし寒いことでしょうね。
「そうだろうね。きっと。でもこの行為は、飼い主に対する嫌がらせの目的も、ひとつあるから、まあ、致し方ないことかなあ。所詮、世の中は、取ったり取られたりの弱肉強食だからねえ」
と、とっても嬉しそうに、ニヤニヤしながら、
言う、きゅん君です。
で、きゅん君、この、きゅん巻きの、
コツなどはあるんですかね?
「コツかあ。コツはね。とにかく最初は思い切り毛布の端っこを引っ張って、飼い主からなるべく毛布を剥ぎ取って、あとは全力で横に転がって、ころころと巻き取る感じかな」
そうなんですね。
確かに、ある日の毛布に包まれた、きゅん君のその姿は、
一寸の隙間もなく、これだと空気にも触れないから、
とても温かそうで、これは完璧なのではないでしょうか。
「そうでしょ。でしょ。でしょ。これこそが、きゅん巻きなんだよ。二重、三重と毛布に巻かれてこそが、きゅん巻きだね」
えっへん!と、とっても自慢げな顔で答える、
きゅん君なのでした。
飼い主はその分、災難でしょうけど、
気付かずに寝ているところを見ると、大丈夫そうですから、
これでいいのではないでしょうか。
そして、またその夜のこと、
すっかり、きゅん巻きにハマった、きゅん君は、
今日も、毛布を巻き巻きするべく、
気合いが入っております。
「よし!今晩は、初の四重にチャレンジだー!」
と、
まずはいつもの通り、飼い主の毛布の端っこを、
口でつかんで、その勢いで、引っ張りつつ、
同時に、くるくると回り始めました。
「おっ、いい調子だ!これならいけるかもー!」
と、回る、きゅん君、しかし、しかしです。
勢いあまって、くるくる回り過ぎて、
ベッドからころころと落ちた、きゅん君なのでした。
「どてっ!痛っ!」とな。

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