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ぐーちゃん、夢の夢

さあ、今日も早くも、いぬうた市は夜を迎え、
意気揚々と、ぐーちゃん、やって来たのは夢の国。
しかも今日は何やら思うところがあるようで、
ぐーちゃん、いつもより気合いバッチリなのでした。
「早速、今日の夢のオーダーをいいかしら?支配人」
夢の国の入り口カウンターに来るや否や、ぐーちゃん、
そこにいた支配人にすぐさま声をかけました。
支配人はそのちょっと、ぐーちゃんのいきなりぶりに、
ビックリしましたが、
「あら、これは、これは、ぐーちゃん、今日はお早いお着きで。で、オーダーとは如何に?」
と冷静に聞きました。
ぐーちゃんは相変わらずマイペースで答えます。
「よく聞いてくれたわ。支配人さん。ぐー、実はとても面白いアイデアを思いついたの。それをぜひ試みたくって」
「ほほう。それは興味深いですな。で、そのアイデアとは如何な?」
「それはね。ぐー、ふと夢の中でまた夢を見たらどうなるか?と思ったのよ。具体的に言うと、夢の中でも眠って、そこでまたその夢の国の支配人さんに会いに行くの。そこで更に同じオーダーをして、それを繰り返していくの。一体どこまで繰り返すことが出来るか?それをやってみたいのよね。ぐーは」
その、ぐーちゃんの奇妙奇天烈なオーダーを聞いて、
支配人はしばらく絶句してしまいました。
それでもがんばって声を出しました。
「そ、それは確かに興味深いですな。で、私はそ、そこで何をすればいいんでしょう?」
「別に支配人さんは、ぐーをここで寝させてくれればいいわ。そうしたら、ぐーは勝手に夢を見るから、そこで、またそこの支配人さんに寝かせてくれるようお願いして、それの繰り返しね」
と、戸惑う支配人に対して、
実にあっけらかんと答える、ぐーちゃんです。
でも全然出来ないことではなく、それどころか、
簡単なことなので、ぐーちゃんの要望を、
叶えることにした支配人です。
それから支配人は、テキパキと、
ぐーちゃんにソファを用意して、
ぐーちゃんはすぐにそのソファに寝転んで、
あっという間に、眠りに落ちました。
さて、このあと一体、ぐーちゃんはどうなったでしょう?
ぐーちゃんの目論み通り、ここでもまた夢を見て、
夢の国の支配人にオーダー出来たのでしょうか?
結論を言うと、ぐーちゃん、夢を見れなかったのです。
というのも、支配人が用意してくれたソファの寝心地が、
とても良くて、すっかり熟睡して、
夢も見なかったという訳です。
しかし、ぐーちゃん、夢を見なくて残念だったことより、
とても気持ち良く寝れて感激したようで、
起きて、開口一番、
「このソファさん、大変素晴らしいわ!何処で購入されたのか教えて下さらない?今度、ママに買ってもらうから」
と、支配人に購入先を尋ねる始末で、
ぐーちゃんの当初の目論みは、まさしく、
夢の夢で終わったのでした。

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