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本が落ちている

いぬうた市、きゅん君と、ぐーちゃんは、
今日も元気にママと散歩中です。
今は、いぬうた公園に行く道すがらだと思われますが、
ふと、きゅん君が向かっているちょっと先の、
道の端っこに目をやると、
そこには本が一冊落ちていました。
「あっ、あっ、あやや!あやや!あそこに見えるあやつときたら、さては、さては、さては、本ではあるまいか?」
そう、きゅん君が言うと、隣を歩いている、
ぐーちゃんも反応しました。
「あっ、本当だわ!アレね。アレね。アレのことね。で、きゅん、本さん、て誰?」
と、ぐーちゃんは本を知りませんでした。
なので、きゅん君が答えます。
「では教えてやろう。ぐー、いいか、よく聞け。本、本、本とはな、いろんなことがいっぱい書いてあるモノであるぞなもし」
と、仰々しく言った割に、
答えは大したものではありませんでした。
まあ、間違ってはないですけど。
で、その答えにやっぱり、ぐーちゃんも納得いかないようで、
更に、きゅん君に聞きます。
「いろんなことがいっぱいって、具体的にどうゆうこと?」
「それはだな。主にいいことだ。いいことがいっぱい書いてあるモノであるぞなもし」
と、きゅん君、堂々と自信満々に、
悪びれることなく答えます。
きゅん君、やけに本について自信がありそうですけど、
本当は本のことなんて、何も知らないのではないですか?
だって、きゅん君は字が読めないでしょうから、
分かるハズないですもんね。ぷぷのぷ。
「誰だ!今、笑ったの?僕が字が読めないから、本のことは何も知らないんじゃないかって!バカを言うな!バカを!そんなの例え字が読めなくたって分かるわい!」
本、本当ですか?
何で、読めなくて内容が分かるというんですか?
「だってマンガかもしれないじゃないか!」
えーと、マンガだって、字が書いてありますけどね。
「そうなの?マンガって絵だけじゃないんだ?」
そんなことも知らなかったんですね。
確かに中にはそうゆうマンガもあるかもしれないですけど、
たぶん稀でしょうね。
「ふん!そんなの別にどうだっていいよ!いいよ!分かったよ!はい、はい、その通りですよ。その通り、僕は本の中身は全く知りませんよ。でも僕は本、本当に好きなんだよ!これは本、本当に事実なんだよ!」
と、ようやっと本についての本当を白状した、
きゅん君でありました。
えっ、では、きゅん君は何で本が好きなんですか?
すると、きゅん君、にっこり答えて、
その落ちている本に近づくべく、
きゅん君とリードでつながっている、ママを引っ張り、
したがって、ぐーちゃんも引っ張られて、
走り出しました。
「何となく遠目でも、僕、分かったんだ!あの本は僕の好みだって!」
はあ、どうゆうことでしょうか?
本が読めない、きゅん君の本の好みとは?
その本に辿り着いた、きゅん君がその答えを言いました。
「やっぱり、僕の勘はズバリ当たったよ!大きさと言い、形といい、硬さといい、本当、この本、僕の好みだよ!この本、僕の枕の好みにちょうどいい!」
なるほど。そうゆうことですか。
きゅん君は本を枕にして寝るのが好きなんですね。
その、きゅん君、その落ちている本に実際、
頭を乗せたりしながら、その心地を試したりして、
そして、この本、本当に持って帰りたい!と、
ママをじっと見て訴えるのでした。

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