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僕、優勝したよ

このたび、いぬうた市の、きゅん君が、
ノーズワークの大会で優勝しました。
ノーズワークとは、嗅覚を使って、
箱の中に隠してあるモノの場所を探し当てる競技です。
箱はいっぱい置いてあって、
その中のいくつか入っているモノを、
全て探さなくてはなりません。
それを、きゅん君は持ち時間5分のところ、
わずか1分でクリアしたのです。
これはなかなかの好成績で、この日の競技会のトップとなり、
めてたく優勝となったのでした。
ぐーちゃんは家で飼い主と留守番していて、
きゅん君はママと参加しました。
なので、今すぐにも家に帰って、いの一番で、
ぐーちゃんに報告したい、きゅん君です。
帰りの車の中で、きゅん君は、にやにやしながら思います。
「ぐー、僕が優勝したって聞いたら、さぞビックリするだろうな。どうゆう言い方したら、よりビックリするだろう?何て言うか?ちょっと考えてみようかな」
そして、きゅん君、色々なパターンを、
シュミレーションしてみます。
「パターン1、ぐーに会うなり、いきなり、これから僕のことは、チャンピオンと呼んどくれ。と言う。うーん、いいけど、もうちょっとインパクトが欲しいかなあ。一応キープで、パターン2 、は、いっそ何も言わずに、さっと、もらった賞状と賞品のオヤツとウサギのぬいぐるみを全部、ぐーに渡して、それで一言、これ、やるよ。と言うとか。うんうん。いいんじゃない。これにしようかな。で、ぐーが、これ、どうしたの?って、聞いてきたら、えっ、別に大したことないよ。ただちょっと優勝しただけさ。とか言ったりして。いいんじゃない。いいんじゃない。あとはもうちょっとひねりを入れてみよう」
なんてことを、あれやこれや、
考えては練習する、きゅん君でありました。
それでもって、
「こんなシュミレーション競技があっても、きっと僕がチャンピオンだな。結局、僕は何をやってもチャンピオンになる星の下に生まれてきたんだな。全く、僕ったら憎い男さ」
と、完全に天狗になって、ひとり想像しては笑っている、
帰りの車中の、きゅん君ですが、で、いざ家に着いて、
「さて、いよいよだ。ぐーをビックリさせてやる!」
と、意気込んで、ママが玄関ドアを開けたタイミングで、
サッと入って、早速、ぐーちゃんに散々練習したことを、
実践しようとする、きゅん君です。
しかし、そうは上手くはいきませんでした。
何故ならすぐに、ぐーちゃんが目の前に現れて、
けたたましく、喋り始めたからです。
「きゅん、やったわね!すごいじゃない!ノーズワーク、優勝したんだってね。タイムは1分で、賞状と賞品でオヤツとウサギさんのぬいぐるみもらって、それで、それで」
と、話は全部筒抜けで、
ぐーちゃんにはそれが全て伝わっていて、
というのも、ママが飼い主にメールで、既に伝えていて、
それを、ぐーちゃんに飼い主が教えていたので、
ぐーちゃんは何もかも知っていたのです。
それで、ぐーちゃんは、きゅん君が全く口を挟むヒマがない程、
マシンガントークを炸裂させて、
すっかり圧倒された、きゅん君は、茫然自失と、
ぐーちゃんの話を、聞いているしかなくて、
マシンガントークの競技があったら、
ぐーちゃんが、ぶっちぎりで優勝だと、
ただただ思う、きゅん君なのでありました。

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