見出し画像

眠れないトゥナイト

現在、いぬうた市は真夜中であります。
さぞかし皆さん、夢の中にいることでしょうね。
しかしここに、ぽつんとひとり残されている方がおります。
それは、ぐーちゃんです。
特に理由はないと思われますが、ぐーちゃん、
今晩、眠れずにいるのです。
ずっと、自宅の2階の寝室のベッドの上で、
今、眠れるか?今、眠れるか?と思っていますが、
思いとは裏腹に全然眠れずにいます。
そんな、ぐーちゃんの気持ちも知らずに、
横では、きゅん君がマヌケづらで、
ごーごー爆睡しています。
その、きゅん君の顔を時折、憎たらしくちらちら見ながら、
ぐーちゃんは長い夜を過ごしています。
「このままだとお今晩は、ぐーの夢の国さんの支配人さんにお会いできないわ。ぐー、今日、お話したいことがたくさんあったのに。こんな日に限って、おねんね出来ないなんて。早くしないと朝さんがお迎えに来てしまう」
と、思えば思うほど、焦れば焦るほど、
眠気は遠のいていくのを感じる、ぐーちゃんです。
「どうすればおねんね出来るのかしら?っていうことを考えちゃうから、きっとダメなのよね。分かってはいるんだけど、やっぱり、ぐー考えちゃうわ。早く支配人さんに会いたいから。でもそれがよくないのよね」
と、その時、ぐーちゃんは思いつきました。
「そうだわ。じゃあ、逆に無理矢理さんにでも、支配人さんと会いたくないと思えば、ぐー、おねんね出来るんじゃない?おウソでも会いたくないと、思い込めば、お絶対会いたくない。と思い込んだら、きっとお眠り出来るのよ」
なんて、ぐーちゃんは、こんなアイデアが、
浮かんだのですが、果たしてそんなに上手くいきますかね。
「支配人さん会いたくない。絶対会いたくない。何故ならお嫌いだから。お顔見たくないから」
心で、ぐーちゃん、そう唱えているうちに、
すっかり自己暗示にかかったのか、
これがビックリする程、本当に思えてきたのです。
当の、ぐーちゃんもビックリです。
「あらま。ぐー、言っている間に本当に支配人さんと会いたくなくなったわ。むしろもう大嫌いさんかも」
すると、焦りもいつの間にか消え去って、
どんどんリラックスしてきた、ぐーちゃんです。
これは、ぐーちゃんの狙い通りではないですか。
しかし、この、ぐーちゃんの心の動きに、
勘づいた者がいました。
そうです。それは、ぐーちゃんに嫌われかかっている、
当の支配人さんでありました。
今晩はなかなか、ぐーちゃんが来てくれないなあ。
と、思っていた矢先に、ぐーちゃんの、
支配人さんを無理矢理あいたくない、
という魂胆が、夢の国までに染み込んできたので、
慌てて、支配人さん、ぐーちゃんのところまで、
本心を確かめに行ったのでありました。
「ぐーちゃん!ぐーちゃん!本当にワタクシに会いたくないんですか?それはワタクシをお嫌いになったからですか?」
と、叫びながら。
おや、支配人さんが、迎えに来たということは、
夢の国に足を踏み入れられたということですから、
もしかして寝れたのではありませんか。
よかったですね。ぐーちゃん。
「やったわー!ぐー、おねんね出来たわー!
と、夢の中でバンザイする、ぐーちゃんなのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?