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ハーネスがちゃんと付いてない

さてっとっと、いぬうた市在住の、きゅん君と、
ぐーちゃんはそろそろお散歩の時間のようです。
えっ、なぜ、それが分かるかって。
ようがす。ご説明致しましょう。
それは散歩に行くには準備が必要な訳で、
きゅん君と、ぐーちゃんの場合においてのそれは、
まずは胴輪といいますか、
ハーネスをを胴回りに装着をしまして、
そして、ハーネスに持ち紐ですね、リードを付けて、
それで首輪も付けて、そこにもリードを付けて、
やっと準備完了です。
と、今日の散歩のパートナーはどうやら飼い主のようですね。
まあ、ちょっとテンションは落ちますが、
ママは何でもお出かけ中みたいなので、
仕方ない。仕方ない。
そろそろ出発しましょうか。
あら、きゅん君、ずいぶん浮かぬ顔をされてますが、
どうしました?
そりゃ、飼い主がパートナーでは、
気が乗らないのも分かりますが。
「それ以前の問題だよ」
きゅん君がぽつりと言いました。
と、言うと、どうゆうことですか?
「僕を見て分からないかな。ハーネスだよ。飼い主が付けたハーネスがちゃんと付いてないんだよ」
確かによく見ると、紐が片方、ぶらん、とたれていますね。
「ぐーのハーネスさんもよ。ぐーのは紐さん付いてるには付いているけど、途中でねじ曲がっているのよ」
本当だ。紐がお腹の所でよじれてますね。
それでは、ぐーちゃん、お腹が痛いでしょう。
「痛いよりも、ぐー、悲しい気分さんよ。ママがハーネスさん付けてくれたら、こんなことにはならなかったし、それもこれも、今、ママがおウチにいないからだと思うと悲しい気分さん」
と、しょんぼりする、ぐーちゃんです。
一方の、きゅん君といえば、まだ怒りまくっています。
「この先、飼い主と行く散歩がこれじゃ思いやられるよ!もう確定だね!全く楽しくない散歩確定さ!」
と、言って、きゅん君、飼い主をにらみつけています。
それでも出発の時が来て、ふたり仕方なく、
玄関ホールまで行くと、鈍感極まりない飼い主も、
さすがにふたりのハーネスが、
ちゃんと付いてないことに気付いて、付け直した次第です。
「そんな、今更気付いても遅いよ。僕の下がったテンションはもう上がらないね」
と、相変わらず、ブータレる、きゅん君と、
「ママ、今すぐにでも帰って来ないかしら?ぐー、やっぱりママとお散歩行きたい」
と、こちらも、しょんぼりが止まらない、ぐーちゃんです。
しかし、しかしです。
いざ、散歩に出ると、今日はご陽気も良く、
でも、風はちょっとだけひんやりとしていて、
ふたりの気分は徐々にスッキリとリセットされていって、
結果、飼い主との散歩も案外悪くなかったと、
そんなことを一瞬頭をよぎった、
きゅん君と、ぐーちゃんでありました。

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