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ホコリだらけで無理

「いえーい!今日はドッグランだー!考えてみれば、ずいぶん久しぶりだー!その分ばかすか走ってやるー!」
と、いぬうた市の、きゅん君が大喜びで、そう言えば、
ぐーちゃんも負けずに大きな声で叫びます。
「やったわー!ぐーの大好きなドッグランさんだー!きゅんの言う通り、だいぶご無沙汰しちゃったわね。その分、今日は夕方まで遊ぶわー!」
などと、相当張り切っている、おふたりです。
今はまだドッグランに向かう車中ですが、
気分はもうドッグランにいる感じで、
今すぐにでも走る勢いの、
きゅん君と、ぐーちゃんなのでした。
なのでドッグランの駐車場につくやいなや、
車を飛び降りまして、ママや飼い主がリードを、
つけるのも待ちきれないようで、
やっと装着してもらうと、一目散にドッグランの入り口に向かいます。
「おお、やっと入り口に着いたあ。そうそう確かにこんな感じの入り口だったー!本当久しぶりだもんなあ。僕ちょっと忘れかけていたよ」
きゅん君が皮肉混じりにそんなこと言いました。
「ママ、早くお門を開けてくれないかしら。飼い主はダメよ。飼い主は。何せトロトロトロいからお門を開けるのにも1時間さんくらいかかってしまうから」
と、ぐーちゃん、自分のリードを持っているママを見上げます。
しかし、どうしたことでしょう。
ママが門の前に立ったまま、全然入る素振りを見せません。
それは飼い主も同様で、しばらく門の前に立っていて、
何やらぶつぶつママに言っています。
そして何ということでしょう。
次の瞬間、ママも飼い主もドッグランのフェンス沿いに、
歩き出したではないですか。
なので仕方なくリードでつながれている、ふたりも、
渋々ついて行きます。
「えっ、何で?何で?何でなの?ぐー、早く早くドッグランさんに入りたいのにー」
と、ぐーちゃんが、全く訳が分からないといった風に、
横の、きゅん君に訴えると、
当の、きゅん君何かを考えています。
「分かった!そうか!そうゆうことか!」
考えた末、何か分かったようですね。きゅん君。
「きゅん、何がどう分かったの?」
ぐーちゃんが、きゅん君に聞きました。
「これはママの焦らし作戦だよ。何日も来なかった上、最後にも焦らして、焦らして、ここだ!っていう時にやっとドッグランに入って、そこで僕らの喜びも頂点に達して、走りも爆発する、そんなママの作戦だよ」
と、きゅん君が全てはお見通しみたいな顔で、
答えましたが、本当ですかね?
でも、ぐーちゃんは納得したようで、
「なるほどー!ママも憎いこと考えるわー。じゃあ、ぐー、せっかくだからママの作戦さんに乗ってあげるー」
と、言って、そのあともドッグランの周囲を、
散歩するだけでなかなか中へ入ろうとしないママや飼い主に、
「本当、焦らすよねー」
などと、ふたり言い合って、その時は、
まだ余裕があった、きゅん君と、ぐーちゃんでしたが、
いよいよドッグランを離れて駐車場に戻って、
車に入れられ、その車が発車した時はさすがに、
「何でー?ホワーイ?焦らし作戦じゃなかったの?まさかのドッグランまで来てドッグランに入らないなんて、そんなことあるー?」
と、きゅん君は嘆きに嘆いて、
ぐーちゃんは、ぐーちゃんで、
「きゅん!全然違うじゃない!何がママの焦らし作戦よ!全く、きゅんの言うことは本当に当てにならないわ!きゅんのバカー!」
全て、きゅん君に八つ当たりして、この日はこのまま、
ドッグランをあとにしたのでした。
えっ?何故、ママと飼い主は、
ドッグランに実際入らなかったの?ですって。
それはドッグランの地面の土ぼこりが凄くて、
入ったら最後、きゅん君も、ぐーちゃんも、
ホコリだらけになること確実で、きのう、ふたりを、
シャンプーしたばっかりだったママとしては、
さすがに二日連チャンのシャンプーは無理!
ということでドッグラン入り口で引き返した、
とこれが事の真相でありまして、
でもそれを知らない、きゅん君と、ぐーちゃんには、
目の前で、ドッグランのお預けをくらって、
なんともはや、な、とほほな1日になったのでありました。

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