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どっちが避ける?

現在の、いぬうた市の、きゅん君と、ぐーちゃんが、
何をしているか?というと、
飼い主と朝の散歩中でありまして、
いぬうた公園に向かう途中の川沿いの歩道のど真ん中を、
ずんずんと歩いているのでありました。
「ほっほっほ。今日は平日につき、人も犬もまばらで、この、いぬうた公園につながっている真っ直ぐな道は僕らの独占状態であーる。ということはこの道は僕らのモノといっても過言ではないのであーる」
なんて、きゅん君は鼻を若干膨らませて、
得意顔で歩いています。
では、ぐーちゃんはどうか?というと、
「あーる。あーる。そうなどであーる。なので、ぐーはこのまま真っ直ぐさんに歩くのであーる」
と、きゅん君の口調をマネながら、
やっぱり得意そうに歩いています。
いいですね。
いぬうた公園までの歩道をふたりじめという訳ですか。
あら、しかし前からやはり散歩中と思われる、
わんこが飼い主と一緒に歩いて来ますね。
それでもって、やはり道のど真ん中を歩いていますよ。
きゅん君と、ぐーちゃんと同じように。
ここままではお互いぶつかってしまうこと必須です。
早く避けた方がいいのではないですか?
あら、きゅん君、このアドバイスに不服なようですが。
「当たり前だろ。何で僕らが避けないといけないのさ。だって僕らは今、いぬうた公園に向かっている、行きなんだよ。一方あちらは帰りじゃないか。帰りが行きに道を譲るのは当然の常識じゃないか」
そんな常識やルールありましたっけな?きゅん君。
「僕が言うんだから、あるに決まっているじゃないか!」
と、口調の強さで乗り切ろうとする、きゅん君です。
「ぐーもそう思うわ」
あら、ぐーちゃんも同調ですか。
「もちのろんよ。それにお見受けするところ、あちらの方のほうが、ぐーたちより小さいわ。小さい方が、大きい、ぐーにお道を譲るのは当然さんね」
何だか、いじめっ子の論理みたいですよ。ぐーちゃん。
こんな感じの考えのふたりですから、
自分たちから避けるつもりは皆目なさそうです。
しかし、あちらの方も、ふたりと、
同じような考えをもっているのか、
退く気が今のところ見受けられません。
大変です!このままだと、あちらの方と、
正面衝突のごっつんこしてしまいますよ。
「上等だよ!これはチキンレースなんだから、退いた方が負けだ!この勝負、僕は絶対に負けない!」
「ぐーも、きゅんとおんなじ気持ちさんよ!このキッチンレースさん、絶対負けない!」
と、何が何でも譲る気がないふたりです。
ぐーちゃんはちょっと間違っていましたが。
何やら緊迫感まで漂ってきましたよ。
で、あと衝突まで数メートルというところ、
飼い主がぺこぺこ頭を下げながら、
スッと端っこに移動しました。
なので当然、飼い主とリードでつながれているふたりも、
一緒に避けた格好となって、
衝突は無事回避されたのでした。
考えてみればいくらふたりが避けたくなくても、
飼い主がふたりの行き先を、
決める権限を持っているのですから、
そりゃ無理ってもんです。
思いを遂げられずに、大層悔しがる、
きゅん君、ぐーちゃん、
すれ違いざまに、通り過ぎたわんこが、
ふたりを見て、ニヤッと笑ったように見えたのは、
果たして気のせいでしょうか。

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