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本日わんわんギフトの日

「さて、この、いぬうた市では、11月1日の犬の日の時を更に経て、本日は11日であります!そしてこの日は、犬の日よりもある意味スーパー犬の日とも言える、わんわんギフトの日であるのであります!なので、わたくし若輩者の、不肖、きゅんではございますが、本日、飼い主より、ささやかながら粗品のおこぼれでも授かれたらと存じます。さて、一体何が頂けるんでしょう?それは後ほどのお楽しみに」
いきなり、きゅん君のこんな挨拶から入りました、
今日のお話ですが、きゅん君の言う通り、本日は、
11月11日で、わんわんギフトの日です。
この日は、どうやら愛するわんこに贈り物を贈る日だそうで、
きゅん君と、ぐーちゃんは、それはそれは、
待ち望んでいた一日であります。
「とうとういらっしゃったわね。この日が、いぬうた市に。ぐー、あんまりいらっしゃらないから、何処か別の場所に行かれちゃったかと思ったわ。まずは本当にお越しになられて、めでたい。めでたい」
そう言って、胸を撫で下ろしている、ぐーちゃんです。
そうして早速、ふたりは飼い主から、
こんな贈り物をもらいました。
それは先日、みんなで陶器市に行った時、
出店している陶芸家のママの友達から、
ふたりにバレないよう、こっそり買った水飲みの皿の陶器です。
ふたりの胴の高さに合わせ、器の高台がより高くなっていて、
更に水が飲みやすいようにと、
ちょっと口縁が傾いたデザインになっています。
その皿がふたつあり、きゅん君のは、ブルーで、
ぐーちゃんのはピンクです。
それを見たふたりは、大変喜びました。
「内心、飼い主のことだから、どうせロクなものをくれないと思っていたけど、これは実に素晴らしいじゃないか!」
きゅん君は目を真ん丸にして言いました。
「本当!これはステキね!きっとママが選んだんだわ!このセンスはそうに決まっているわね。だって飼い主はその辺に落ちている石ころと陶器の区別もできないはずよ」
ぐーちゃんの推理は大方当たっていて、実は事前に、
ママが陶芸家の友達にリクエストしていた品でありました。
「でもさ?」
そこで、きゅん君にひとつの疑問が生まれました。
「これって何をするものかな?」
「そう言えばそうね」
まだ水が入っていなかったので、ふたりには、
この器が水飲み皿とは分かりませんでした。
「でも、ぐーにくれるものだから、当然食べ物なんじゃない」
「そうだね。じゃあちょっと噛んでみようか」
ふたりは水飲み皿の口縁を恐る恐る噛んでみました。
「硬いわ」
「硬いね。このままでは到底食べられたもんじゃないね」
そんな風に、どうしていいか分からない、
ふたりの姿を見たママが、お皿ふたつそれぞれに、
水を入れてくれました。
それを見た、きゅん君が何か閃いたようです。
「分かった!まだ硬いから、水を入れて、ふやかしているんだ!」
それを聞いた、ぐーちゃんも、その通りだと思いました。
「じゃあ、しばらく待っていましょ!じきに美味しく頂けるわ!」
ぐーちゃんがそう言って、
ふたり、しばらく大人しく時を待ちます。
しかし案の定、待ちきれなかった、ぐーちゃんが、
フライングして、ピンクの皿の方の水を、
ちょっと舐めてみました。
すると、ぐーちゃんはびっくりした声をあげます。
「甘い!甘いわ!この水!甘くて美味しいー!」
それを聞いた、きゅん君もすぐに、
ブルーの皿の水を飲みました。
「冷たい!こっちは冷たいよ!すごく冷たくてひんやりして美味しいよ!」
色のイメージ効果とでも言うんでしょうか?
きゅん君の、ブルーの色の皿は、寒色の落ち着いた感じが、
冷たいイメージにつながって、ひんやり美味しく感じ、
ぐーちゃんの、ピンク色の皿は、優しくて柔らかい感じが、
甘いイメージにつながって、ほんのり美味しく感じたのです。
本当はただの水道水なのですが。
ですが、ふたりはこの皿に大満足のようで、
それから、ごくごくと水道水を平らげて、
それはそれは、とても良い、わんわんギフトの日になった、
きゅん君と、ぐーちゃんです。

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