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ゴミが荒らされている

「ありゃー!これはひどいなー!カラスのやつ、全くしょうがないなー!僕たちの、いぬうた市を荒らすなんて」
と、冒頭から、きゅん君が、
ちょっと怒り気味の呆れた声が聞こえてきましたよ。
これはママと、ぐーちゃんと朝の散歩に出た早々、
近くの道路がゴミにまみれていたからです。
なるほど。今日は生ゴミなどが含まれた、
可燃ゴミを出す日なんですね。
そのゴミをカラスが荒らしたという訳ですか。
何かカラスにとって、美味しそうなモノでも、
含まれていたんですかね。
「まあ、そうなんだろうな。でもだからといって荒らすだけ荒らして片づけもしないなんて、本当どうしようもないよ」
それはそうかもしれませんが、
では逆にお聞きしたいのですが、
きゅん君は片付けなんてしたことあるんですか?
さぞ自分は片付けを、
いつもしてるようなことをおっしゃいますが。
「えっ、あはは。いやあ、どうだっけなあ。全くしたことないことはないんじゃないかな。あはははは」
と、最後は笑ってゴマカす、きゅん君です。
「でもカラスのやつ、ちょっとやり過ぎなんだよなあ。いくらなんでもこんな散らかすことないのにねえ。これじゃ車も通れやしないよ」
あら、きゅん君、先程よりだいぶトーンダウンしましたね。
自分の胸に手を当てて考えたようですね。
「まあ、僕の場合は足だけどね」
そんなしょうもないことを言っている、
きゅん君の隣で、今まで黙っていた、
ぐーちゃんが口を開きました。
「でもこれはカラスさんだけが悪いんじゃないわ。だってネットさんの中にちゃんとおゴミが入っていれば、いくらカラスでも取り出すことは出来ないんですもの。だからネットさんにおゴミをしっかり入れない方々もいけないと思うわ」
これは、ぐーちゃんの言う通りですね。
でもなかなかこれも難しい話ですね。
いろんな方がゴミを入れたりするでしょうし、
ちゃんと入れたつもりが入ってなかったりと、
さまざまなパターンがあるでしょうから。
「そうだよな。カラスだって荒らしたくて荒らしているのでなく、ただお腹が空いているだけかもしれないしね」
あら、きゅん君、先程の態度を反省したのか、
だいぶカラスよりのコメントになりましたね。
「そうだね。僕だってお腹が空いて空いてしょうがなかったら、こうゆうことするかもしれないしね。今はママが美味しいフードを毎日くれているけど、さすがにカラスにまでママはフードあげないもんな」
と、一転すっかりカラスに同情的になった、
きゅん君であります。
そんな、きゅん君の発言を聞いたのか、
何処かでカラスが、カーカー!と鳴きました。
「今の、きゅんの言うこと聞いたカラスさん、きっと嬉しかったのよ。だって、ぐーには、カラスさんが、ありがとう!って言ったように聞こえたわ」
そう、ぐーちゃんが、空を見上げて、きゅん君に言うと、
きゅん君、コクッとうなずいたあと、
ぐーちゃんが見ている同じ方向を見て、
「おい、カラス!がんばれよー!」
と、カラスにエールを送るのでした。

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