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カレンダーは映画だ!

いぬうた市の、きゅん君と、ぐーちゃんの家の、
新年の恒例行事のひとつに、
その年の、きゅん君と、ぐーちゃんの、
オリジナルカレンダーを作るというのがあります。
オリジナルと言っても、もちろん手作りとかでは全然なく、
ネットで好きな写真を選んで注文するといったものですが。
カレンダーも色んな種類があり、きゅん君と、
ぐーちゃんの家では卓上カレンダーを毎年選んでいます。
ちなみに写真をセレクトするのは、
お正月でお休みの飼い主の役目です。
「これはおウチでの飼い主の唯一と言っていい仕事なんだから、ここはバチっと、いい、ぐーの写真を選んで欲しいわね。と、言っても、ぐーは写真を撮られる時は、このカレンダーさんに使われることを常日頃から意識して撮られていたから、ぐーの写っているのは、いい写真ばかりで、選ぶのには相当苦労するだろうけど」
1階のダイニングルームのテーブルで、
スマホで写真を選ぶ、飼い主を見ながら、
ぐーちゃんが言いました。
横にいる、きゅん君は、その、ぐーちゃんに、
「写真は表紙を加えて、全部で13枚選べるんだよね。去年の内訳は、僕単独で3枚、ぐーも3枚、てん姉も3枚で、僕と、ぐー、ふたりの写真が4枚で計13枚だったから、今年もそれは同じだろうね」
そんな解説をしてくれました。
飼い主は、今は写真の中にいる先代の、てん姉も、
必ず入れることにしています。
「ぐーが今まで見たことない、てん姉の写真も見れるのね!いつ出来上がるのかしら?ぐー、楽しみー!」
お待たせしました。
時はちょっと巡って、きゅん君、ぐーちゃん、
どうやら待望のカレンダーが届いたようですよ。
「うわあ。いいじゃない!いいじゃない!飼い主にしては、いい仕事したんじゃない!」
ぺらぺらと一枚一枚ゆっくりと、飼い主がめくるたびに、
喜んだり、笑ったりする、ふたりです。
飼い主、何とか合格点を頂いたようですね。
「こうして13枚の写真を連続してみると、1本の映画を観てるみたいだね」
「ホントーね。じゃあ、ぐー、ストーリー考えてみるー!」
「僕はセリフを当ててみようかな」
「うんとね。うんとね。じゃあ、ストーリーはこうよ。カレンダー王国の女刑事が今年を盗もうとするある秘密組織のボスと対決する話。秘密組織のボスの狙いは、今年を去年に戻して、去年亡くした姉を蘇らそうとしてるのよ。女刑事はその話を聞いて、同情して、その犯行を見逃して、時は去年に戻って、姉は甦るの。でもボスは女刑事に捕まえられて、超永久的に刑務所に入ることになって、時はすぐに今年に戻って、女刑事と姉は楽しく暮らしましたとさ。っていうのは、どうかしら?きゅん」
「よくすぐにそんな話思いついたな」
ぐーちゃんが咄嗟に考えた、この作り話に、
きゅん君はびっくりするばかりです。
「分かっていると思うけど、配役は、ぐーが女刑事。きゅんが秘密組織のボス。そして、てん姉が、きゅんの姉役ね」
「ラストが納得いかないけど、まあ、いいや。じゃあセリフを当てていくよ。1月は僕とぐー、ふたりの写真だから、敵対する同士が初めて対面してボスが女刑事を説得しようとする僕からのセリフでスタートだ」
そう言って、きゅん君はセリフを当てていきます。
「分かってくれ!私はただ姉にもう一度会いたいだけなんだ!」
「いいんじゃない!きゅん。それは女刑事ぐーの心を打つわ!」
「そう、じゃあ続けて、それを受けて、ぐーのセリフ。お姉さんを愛しているのね」
「いいわね!いいわね!それで女刑事ぐーはボスをワザと見逃すのね。女刑事は過去に妹と生き別れた経験があるから、きっとボスの気持ちが痛い程分かるんだわ」
こんな風にどんどんバックボーンの設定も膨らんでいって、
今年のカレンダーの写真を見立てた、
きゅん君と、ぐーちゃんの物語作りは、
まだまだと続いたのでした。

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