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【完全無料】薬の価格.comであるGoodRX Holdings Inc.(GDRX)を徹底調査!


 本日は米国で新規上場したGoodRX Holdings Inc.(GDRX)についてS-1からの情報を元にまとめていきたいと思います。Unityを調査していた時に、nekoさんの分析記事を見て、この人すげー!分かりやすい!こんなふうに分析したい!と思ったので、様式を丸パクリさせていただき、GoodRxの分析をさせてもらおうと思います(笑)
 私はしっかり投げ銭(購入?)させてもらいましたが、無料でも読めます。

米国上場企業分析|Unity Software Inc.(U)
https://note.com/2020kk/n/ne6efb4e6418a

ぜひご一読ください。 
 本記事は私はまともに書くのは初めてですし、nekoさんの様式を丸パクリですので、購入はしていただかなくて結構ですが、役に立ったと思っていただけたら、いいねやコメント、リツイートいただけたら今後の励みになりますのでぜひお願いします。

 さて、話はGoodRXに戻りますが、この会社は既に黒字ということもあり、かなり注目度の高いIPOとなっています。9/22に上場し、既に取引されていますが、9/24引けの値は、46.70ドル/株となっており、取引開始価格(46.89ドル/株)から若干下落しています。(本日なんと11.43%上昇してしまい、取引開始価格を上回って新高値へ突入してしまいました。笑)

 Sー1の冒頭部分に大きくこの会社のミッションが掲載されています。

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(我々のミッション:アメリカ人が余裕を持った価格でヘルスケアを受けられるようにすること)

 これの意味することは、この会社のビジネスモデルを分解していくと理解できるのですが、一言で言えば、「価格.comのお薬版」ということです。

 日本とは少し状況が違うのでアメリカの処方箋の背景を説明します。
アメリカでは、日本と違い、国民皆保険制度はありません。
ある程度のお金を持っている層は、健康保険に加入しており、医薬品を保険で賄うことが来ますが、金銭的に余裕のない層は保険に加入しておりません。
その場合は、医薬品の値段が家計に与える影響は絶大です。
また、日本の場合、保険が適用される医療用医薬品の価格は厚生労働省によって決められています。一方、アメリカでは政府が薬価を決めることができないため、製薬会社が自由に薬価を設定できるようになっています。それにより、薬局により価格に大きなばらつきがあるんですね。
そのため、たまたま行った薬局が割高の薬を提供していれば、それこそ死活問題になるわけです。
以下はSー1に記載されているのですが、

医療費が手ごろでないため、処方箋の20%から30%が薬局のカウンターに置き去りにされています。
また、American Journal of Health-System Pharmacy誌の報告書によると、処方された薬を全く飲まなかったり、指示通りに飲まなかったりすることで、米国では4分に1人が死亡しています。
救急部門の受診の推定30%は、プライマリーケアやその他のケアの場で治療できたはずの健康上の問題が原因で発生しています。
そして、Lab42 Research LLCに委託した2020年7月の調査では、調査対象となった医療従事者の68%が患者にGoodRxを推奨していることがわかりました。

 また、ここは日本でも同じですが、病院で診療を受けた後、処方箋は基本的にどの薬局でも受け取ることができます。しかし、お薬の値段は、薬局によってかなり差があります。
 これは、薬局側が薬を大量に購入することで薬を割り引いて手に入れたり、薬局の立地によって薬の値段を安く提供することができていたりするためです。
しかし、これまでは、どこの薬局で、どの種類の薬が、いくらで買えるのか?というのは比較することは困難でした。1件、1件電話して薬の値段を確認するのも非常に手間です。

 そこで登場したのが、Good Rxというアプリです。
 地図上で、処方箋の価格を比較することができます。
こちらの写真は、S-1ではなく会社ホームページからですが、以下のように地図で分かりやすく値段を比べられるわけですね。

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(右横のボックス和訳):
薬価は薬局により大きく異なります。GoodRXは、最も低価格で割引かれているものを探します。どのようにして?
1.70,000以上ある米国の薬局で、FDA(米国食品医薬品局)から承認を受けている処方箋の価格を比較する。
2.薬局で使用可能な無料クーポンを探します。
3.あなたの近くにある薬局で、最低価格を示します。

 価格比較サイトという点においては、目立った競合らしい競合もいなさそうです。このサイトを入り口として、GoodRxは医療業界の様々な分野(遠隔診療など)へ進出を目論んでいるようなので、後々はTeladoc Health, Inc. (TDOC)やLivongo Helthcareの競合になれる可能性を秘めています。

 発行株式総数は3,846万株で、現在の時価総額は179.3億ドルとなっています。
2016年以降、年平均成長率(CAGR)57%、純利益は2020年上半期に5500万ドルとなり、2019年上半期の3100万ドルから77%増加しています。
IPOで既に黒字です。
 PSRはTTMで38.02倍ということなので、成長率や黒字化を達成していることを勘案すれば直近のIPO銘柄群と比較してむしろ割安ではないか?と考えてしまいます。(Snow:156倍、FROG:50.27倍、U34.22倍となっています。)
ちなみに、以前ジムクレイマーがホストを務めるマッドマネー(Unityを分析した回)で紹介されていた投資基準で、

売上高成長率+営業利益率>40%

という指標があり、Unityはこれを満たしていなかったのですが、GoodRXについては、

55%(売上高成長率)+33%(営業利益率)=88%

となっており、しっかりと基準値を満たしております。
私はUnityにも期待し株を保有していますが、こちらの方が期待値は高いのでは?と既に思ってきました。
それではもう少し詳しくS-1を見ていきたいと思います。

1.会社概要

1-1会社の歴史

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基本的にはこの図が全てを表しています。2011年の9月に創業してから順調に成長を続けています。縦軸は先ほど紹介したアプリなどを使って、節約できた金額とのことです。
年表には、様々なサブスクリプションの機能を追加した経緯が書いてあります。後ほどビジネスモデルでまとめて紹介したいと思います。
というわけで、右肩上がりで節約できる額が上昇しているわけですね。
この数字を指標にしているというのは、「どれだけ社会の役に立っているか?」を分かりやすく表しているので、良い指標だと思います。

サブスクリプションモデルのサービスを積極的に提供していることから、安定性を重視したビジネスモデルを模索している印象を受けます。
 2019年にヘイドクターというテレヘルス会社を買収しています。これにより、今後遠隔診療についても伸びていく可能性を感じます。
ビジネスの種類で右往左往することはなく、予想通りの成長を遂げたと言っていい内容だと思います。

1-2アプリを作った背景
 冒頭でも述べましたが、アメリカ人が必要な医療を手頃な価格で受けられるように支援することを使命としています。
この使命を達成するために、消費者に焦点を当てたデジタルヘルスケアプラットフォームを構築しています。
お医者さんからのアプローチをしているTeladoc Health, Inc. (TDOC)やLivongo Helthcareとは若干異なりますね。
米国のヘルスケア消費者は、多くの課題に直面しています。このアプリが広まった背景には、米国の処方箋市場で、手頃な価格、透明性、ケアへのアクセスの欠如が含まれています。
さらに、医療従事者でさえも最新の処方箋価格や消費者のコスト情報にアクセスできないことが、医療従事者が直面する課題を悪化させています。

GoodRxはこれらの課題を解決するために設立されています。
処方箋の価格比較ツールからスタートし、消費者がより安い価格で薬を購入できるように無料でアクセスできるようになっています。
このプラットフォームでは、ブランド薬の節約プログラムや、テレヘルスサービス、HeyDoctor、GoodRx Telehealth Marketplace、その他のヘルスケア関連コンテンツを介して、手頃な価格で便利な医療機関の診察や検査を受けることができるようにもなっています。
保険に加入しているか加入していないか、若いか高齢者か、急性の病気か慢性の病気かにかかわらず、消費者の側にいるように努めているとのことです。

1-3現在の実績
 
大きく成長しておりまして、490万人の月間アクティブユーザーがいるとのことです。ちなみにこちらが様々なアプリの月間アクティブユーザー数ですが、他の大手に引けを取っていない。。。というか、このアプリ既に多くの利用者を獲得していることがわかります。

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(【2020年8月更新】人気ソーシャルメディアの国内&世界のユーザー数まとめ:https://blog.comnico.jp/we-love-social/sns-users)

以下が主要数字のまとめですね。


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・2020年第2四半期の月間アクティブ消費者数440万人(図は2020年7月のみ)
・2020年第2四半期の月間訪問者数1,500万人、
・2020年6月30日までのGoodRx消費者の累積消費者節約額約200億ドル、
・2020年2月時点での消費者および医療従事者のNPSスコア(ネットプロモー
 タースコアーの略で顧客の満足度を測る指標)がそれぞれ90点と86点。
・過去3年間平均、Apple App StoreとGoogle Play App Storeで最もダウンロ
 ードされた医療アプリ。
・GoodRxアプリは、Apple App Storeでは5.0個の星のうち4.8個
・Google Play App Storeでは5.0個の星のうち4.7個の評価
・2020年6月30日時点で70万件以上のレビュー
・両アプリストアでは、HeyDoctorアプリ(遠隔診療)の評価は5.0つ星のうち5.0
・2020年6月30日時点で8,000件以上のレビュー
(図の150Bn daily pricing data pointというのは薬価が迅速にデータに反映されていることを意味しています。)

 かなり消費者の満足度が高いことが伺えます。顧客満足度が高いようなので、主要アプリがサブスクモデルではないにしても、それに近い、積み上げ型の売上の上昇が見込めそうです。

2.ビジネスモデル

 ビジネスモデルは主に4つに分けることができます。処方箋モデルとサブスクリプションモデル、製薬メーカー向けソリューション、テレヘルスです。それではそれぞれの中身を見ていきましょう。

2-1処方箋モデル
 簡単に言うと、薬価の情報を提供することで対価を得ています。
 ①消費者側の視点
 ②薬局側の視点
 ③PBM(Pharmacy Benefit Manager)の視点
 ④Good Rx側の視点
 です。
 ①消費者側の視点
  消費者は、病院で診断を受けた後、処方箋を受け取れる薬局を探します。
 その際にGood Rxのアプリを使えば、クーポンを使って安い薬を手に入れる
 ことができます。
  消費者は、近くの薬局の選択から最安値を選択し、GoodRxコードをモバ
 イルデバイスに無料で保存し、薬局でそのコードを提示することで、その低
 価格にアクセスすることができます。要はクーポンが表示されているわけ
 です。
  2019年と2020年上半期には、消費者に70%以上の定価に対する平均的な割
 引を提供しているようです。

  ②薬局側の視点
  薬局はまずお薬を仕入れるところから考えていきます。薬局単体で製薬会社
 から薬をロットが大きすぎるため、間にPBM(Pharmacy Benefit Manager)
 という卸が入るのが一般的です。
  このPBMというのはアメリカでは、薬の値段が下がらない諸悪の根元のよう
 に言われるようですが、ジェネリック医薬品を普及させたりと、色々と役に立
 ってはいるようです。
  しかし、これまで価格の不透明さもあり、PBMの中ぬきが大きかったため、
 ジェネリックでも患者に届く頃には、薬価格が思ったより下がっていなかった
 ようです。
  薬局は、このPBMから卸された薬を販売することで手数料を得ますので、
 あくまで販売所で手数料をもらう立場です。

③PBM(Pharmacy Benefit Manager)の視点
  先ほども登場しましたが、製薬会社と薬局と保険会社の中間に位置します。
 例えば、とあるPBMがある錠剤の薬を1粒1,000円で10,000粒を1,000万円で
 購入したとしましょう。
  薬局5店舗に2,000粒ずつを置き、1粒1,500円で販売するとします。
  全部売れれば、1,500万円の売上げになり、500万円の儲けを出すことにな
 りますが、GoodRxが登場し、顧客は安くて近い薬局が一目瞭然になります。
  となると、クーポンを発行して、顧客の購買を促さなければ、1万粒が捌け
 なくなります。そのため、PBMは仕方なくクーポンの発行をGoodRxに依
 頼し、お客を引っ張ってきてもらうことになります。
  お客が全然来なくなってしまったので、今回のクーポンでは、1粒100円割
 引して、1粒1,400円に割引するクーポンを発行します。
  そうすると、安さに釣られたお客が当然やってきて、1,000粒捌くことがで
 きました。儲けとしては400万円です。
  この時に、GoodRxにはクーポンを発行し、顧客を誘導したお礼として
 売上げの数%を支払います。PBMとしては、薬の価格競争にさらされて、売
 り上げは400万円に下がるは、GoodRxにお金を払わなければいけなくなるわで
 踏んだり蹴ったりな部分があります。

④Good Rx側の視点
  Good Rxとしては提携PBMが多くなればなるほど、より広範囲な薬価が手
 に入り、正確なデータベースが提供できる上、売上げ増加の可能性が高まる
 ので、 積極的にPBMと提携を模索します。
 利用者としてはどう考えてもGoodRxを使った方がお得ですので、積極的に使うようになると思います。また、PBMとしても薬が捌けなくなるので、クーポン発行を続けなければいけません。Good Rxは黙っていても顧客が増えていくような仕組みになっていますね。ちなみに

2-2サブスクリプションモデル
 この記事を書いていて思ったのですが、サブスクリプションモデルは一定の額を払う代わりに、薬を安価で提供するというものです。こうなってくると、健康保険とほぼ同じ役割というか、もはや違いが分からなくなってきます。
 GoodRxのライバルは、医療保険業界でもあるということです。

【GoodRx ゴールド】:加入者が個人の場合は5.99ドル、5人までの家族の場合は9.99ドルの月額料金を支払うことで、一部の参加薬局でさらに低価格で利用できる。標準リスト価格から最大90%オフの節約が可能です。最近、GoodRx Goldプランに通販機能を追加しました。これにより、Gold加入者は追加の加入費用なしで、通販を利用できます。

【Kroger Rx Savings Club powered by GoodRx】:米国第4位の小売薬局であるクローガーと提携し、クローガーの消費者に合わせた定期購読商品を、個人では36ドル、6人までの家族では72ドルの年会費で提供しています。
 加入者は、100種類以上の一般的なジェネリック医薬品を無料、3.00ドル、6.00ドルの価格帯で購入でき、その他1,000種類以上のジェネリック医薬品をお得に購入できるなど、クロージャーの薬局でより安い処方箋価格を利用することができます。
 

2-3製薬メーカー向けソリューション
 GoodRxのプラットフォーム上での検索の約20%は、ブランド薬(ジェネリックでないもの)を対象としたものです。ブランド薬は高価な傾向があり、ジェネリック薬品は保険の適用範囲が複雑で制限されている場合があります。その結果、多くの消費者がジェネリック薬にアクセスできなくなっています。
 Good Rxは(ジェネリック)製薬メーカーと提携し、手頃な価格の薬を広告します。例えば、Good Rxのプラットフォームでブランド薬を検索する消費者に、ジェネリック薬を案内したり、最適なオプションを提供することができます。

2-4テレヘルス
 GoodRxのデータによれば、GoodRxで薬を検索する消費者の約20%は、検索時に処方箋を持っていないそうです。
 HeyDoctorを通じて、GoodRxは、オンラインで診断と処方箋を受け取る便利で手頃な方法を消費者に提供しています。
 GoodRxのテレヘルスへの拡大は、プライマリーケアの医師へのアクセスがない、あるいは不十分な約6,200万人のアメリカ人へのアクセスを通じて、さらなる成長の機会をもたらしました。

2-5市場規模
 3億882万ドルの売上げのGoodRxですが、TAM(Total Addressable Market)は8,000億ドルとのことですね。

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 処方箋が5,240億ドル、製薬メーカー向けソリューションが30億ドル、テレヘルスが2,500億ドルとなっています。処方箋がやはり市場規模としては大きいですね。各市場のTAMの計算を少し説明します。
TAMというのはTotal Addressable Marketの略で、そのまま和訳すると「手をかけることが可能な市場の合計」という意味になります。
 言い方を変えると、シェア100%になった場合の売上とも言えます。


①処方箋市場
 米国では年間約58億件の30日分相当の処方箋が調剤されていると推定されています。2020年には約3,600億ドルに達すると予想される米国処方箋市場に着目して事業を開始したとのことです。
 年間58億件の処方箋が出ており、TAMを3,600億ドルに設定したということは、1回の処方箋でGoodRxが62ドルの売上げを上げるということになります。
 1回の処方箋ってそもそもいくらなんだ?と考えていくと、医者に行って薬局で3,000円くらい払うことは頻繁にあります。
 日本では、普通3割負担ですので、3000÷0.3=10,000円くらいの売上げを上げるということになり、そこから62ドル(6,200円)をとることになります。

 え。。。?取りすぎじゃ無い??笑
なんか変だぞ??と思い、処方箋の国別平均価格を調査していたのですが、こんな論文を発見しました。

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International comparisons of health care prices from the 2017 iFHP surveyより
https://healthcostinstitute.org/in-the-news/international-comparisons-of-health-care-prices-2017-ifhp-survey

 アメリカの処方箋価格を100%とした時の他の国の価格なのですが、大体どの国もアメリカの20%〜40%な訳です。
 この調査に日本はいないわけですが、イギリスが大体20%を下回っています。
さっきの私のざっくりした感覚で言えば、1万円が5倍の5万円になっているというわけです。5万円のうちから6,200円をとるということであれば、そんなもんかもしれないという感覚になります。売上げの12.4%ですね。
 それにしてもアメリカって。。。怖いですね(笑)

 ここら辺のことは、日本に住んでいる私よりも、アメリカに在住の方々の感覚の方が正しいと思いますので、ぜひ聞いてみたいですね。海外旅行でアメリカに行く際は、必ず保険に入っておきましょうね。


 GoodRxの顧客は、
商業保険:約36%
メディケア:約34%
無保険約:約26%
メディケイド:約4%

となっているようでして、保険をちゃんと使っている方もGoodRxを使っているようですね。そういう意味でもやはり、TAMは大きくなりそうです。無保険者のみへのサービスでは無いことを数字が物語っていますね。
 
②製薬メーカー向けソリューション市場
 こちらの市場は、ジェネリック医薬品の製造メーカーがジャネリック薬品を販売する際の広告費から成り立つ市場です。GoodRxのプラットフォーム上での検索の約20%は、ブランド薬を対象としたものです。そのブランド薬を検索してきた消費者に対して、
 「こっちのジェネリック薬のが割り安ですよ?」
と、広告するわけです。

 まさに「お薬版の価格.com」ですね。

 TAMが小さいのでこの市場を軽視したくなるのですが、2019年の同時期と比較して、2020年上半期に4倍以上に増加しているとのことです。
成長率300%の市場ですので軽視できません。
 また、このTAMの額についても、製薬メーカーは2016年に米国だけで約300億ドルを医療マーケティングと広告に費やしています。この金額には、2018年に製薬メーカーが米国の消費者に提供した130億ドルの値下げや、製薬メーカーが市場アクセスのために支出したその他の別個の支出など、当社の製薬メーカーソリューションが取り組む他の分野は含まれておらず、GoodRxのTAMの推定値はさらに上昇すると考えているそうです。

③テレヘルス市場
 マッキンゼーの報告書によると、米国では年間8億人の医師の診察があり、2020年には外来診療所と在宅医療の診察に推定1.25兆ドルが費やされることになりそうなのですが、そのうち0.25兆ドル(全診療の1/5)はテレヘルスで対応できると推定されています。
 これは、GoodRxのサービスを利用し出した顧客をHey Doctorへと流すことで、遠隔診療の顧客にすることを狙っているわけですね。個人的にはTeladoc Health, Inc. (TDOC.MX)などにも投資をしていたのですが、正直、処方箋のお得感で釣られてそのままHeyDoctober を使った方が、利便性が高そうなので、こちらの診療サービスを使ってしまいそうですね。
 実は、こちらの市場もかなり期待できそうでして、2020年の第2四半期には、COVID-19の影響もあって、1日平均1,000人以上の消費者がHeyDoctorを利用してオンライン訪問をしたそうです。
 さらに、2020年3月にGoodRx Telehealth Marketplaceを開始しています。こちらは、単一のプラットフォームで幅広いサービスを消費者に提供できるように、サードパーティのプロバイダーをエコシステムに参加させることを目的としたマーケットプレイスです。要は、提携した会社の薬がオンラインで買えるということです。約100万人の消費者がマーケットプレイスを訪れ、20万件以上の医療訪問や検査が開始されています。
 最近では、HeyDoctorの利用者が処方箋のためにHeyDoctorの処方箋サービスを利用することをオプトインできるサービスを開始し、また、処方箋が第三者の提携業者によって処理され、消費者が薬を郵送で受け取るHeyDoctorの通販サービスを開始したことで、処方箋を充填するためにHeyDoctorのプラットフォームを利用する消費者の数が増加することが期待されているとのことです。
 今思い返せば、Amazonも様々な業者の価格比較が簡単にできるということで、市場を席巻していました。このGoodRx Telehealth Marketplaceは、現状の薬局での処方箋だけでなくて、オンラインでの処方箋も取りに行ける可能性は高いですね。

3.業績

まずは損益計算書を見てみます。

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損益計算書では、処方箋とその他に分けられていますね。
直近四半期の売上げの割合は、
処方箋:88.86%
その他:11.14%
となっており、ほぼ処方箋の売上げとなっています。
テレヘルスでも処方箋に収益を誘導する形なので、どのビジネスがどの程度売り上げに影響しているかはなんとも言えませんが、相乗効果は出していることと思います。
 売上高成長率を見てみます。直近が2020June30なのですが、34.6%の成長率です。その一つ前の売上高成長率は、63%でしたので、
「あれ?減速している?」
と思ったのですが、これはコロナの影響で病院に行かなくなった人多くなり処方箋を受け取る人が少なくなったことによるものです。

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 こちらは、月間アクティブユーザーの数字ですが、前年同期比では上昇していますが、2020Q1からは下がっていることがわかりますね。
 2020年の4月と5月はCOVID-19の影響を最も大きく受けた時期であり、6月と7月には対面での医師の受診数が回復し始めたため、月次アクティブ消費者数に改善が見られましたが、今後の期間における継続的な改善は依然として不透明です。
 逆に、パンデミックや伝染病、流行病が発生した場合、テレヘルスサービスに対する需要が大幅かつ一時的に増加する可能性があります。COVID-19 は、HeyDoctor への需要や GoodRx Telehealth Marketplace の利用を加速させました。
 この会社は対面でも、オンラインでも需要を取りに行けるので、今回は売上げ減少になっていますが、長期的には感染症にも強い銘柄になると思います。

4.財務状況(BS)

こちらが財務諸表ですね。6ヶ月分の変動が記載されています。

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しかし、よくよく見てみるとcashが12月から6月の半年で、1億ドルも増加しています。なんだこれ?と思ってみてみると、普通に営業キャシュフローで増えているんですね。。。(一部は債務の増加です。)

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黒字企業というのは頼もしいですよね笑
 IPO資金は、約7億2500万ドル集まりますので、テレヘルス事業の拡大もできますし、最終的にはLivongoなんかと衝突すると思いますね。

今後のキャッシュの使い方に注目が集まります。
また、Goodwill(のれん)があります。これは直近のHeyDocterの買収によるものだと思います。相乗効果があるとともに、コロナ禍では大事な事業ですので、良い買収だったのではないでしょうか?

個人的には特筆指摘すべき部分はありません。

5.株主構成

 株主構成ですが、泣く子も黙るシルバーレイクが議決権の37%を握っています。笑 様々なテック企業に顔を出す大御所ですね。Unityもがっつり保有していましたね。その他のファンドも毛並みのいいファンドが揃っているようです。

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nekoさんはファンドの組成時期から、売り出し時期を予測していましたが、個人的には上手いことファンドが嵌め込みできてしまえば、市場では何も起こらなかったりもするので、ちょっとその点は良く分からないんですよね。
 決算が好調だったりすると、話が上手いこと行くみたいなのでここら辺は私は無視して突き進みたいと思っています。

(ファンドは売る必要があるので、関係ないというわけではありません。決算が好調であれば新たな需要も生まれやすいため無視というだけです。nekoさんの視点はすごい大事だと思います。)

6.IPO

クラスAの普通株式34,615,384株を1株あたり33.00ドルで公募価格を決定しています。
 募集株式のうち、23,422,727 株は GoodRx が、11,192,657 株は GoodRx の既存の売出株主の一部が募集しています。
 GoodRxは、引受割引や手数料、募集費用を差し引いた純収益約7億2500万ドルを受け取り、新規株式公開の純収益を事業の成長を支える資金に使います。

7.まとめ

 というわけで、長々とお付き合いいただきありがとうございました。
この記事を株価が噴き出す前にかければ良かったのですが、既に先日11.43%上昇していました。
 私はIPOには乗らず、昨日、途中で買ったので全ての恩恵は受けれていませんが、それでも引けにかけての上昇だったので、含み益はそこそこ出ています。
 PSRで42.37倍とそこそこ高くなっていますが、既に黒字企業であり、成長率も高いことを考えると、UnityがPSR36.95倍であることを考えると、そんなもんか。。。という気もします。
 もちろん、割安か割高かはご自身でご判断いただきたいと思います。本記事は投資を推奨するものではなく、企業への理解を深めることを目的としています。
 ご覧いただきありがとうざいました。



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