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TOKYO JK

昼下がり 午前授業だったから友達と原宿に来た
デコったスクバにキティーちゃんをじゃらじゃらつけてルーズソックスはまだ早い気がしたから指定の紺の七分丈のソックスをピンと貼らせた
学校のトイレでバレないようにこそこそとキャンメイクのアイシャドウと友達にもらったジルスチュアートのグロスを塗る その輝きは虹色よりもっと多い色 プリズムでいくつもの光を拡散させて太陽がそれに反射した 今日は髪がぱさついてるのが気になって周りのJKを見ちゃうけど友達の方を見た瞬間全部吹き飛んじゃった いつもは香水なんてつけないのに今日は甘い香りがする この前誕プレでもらったって言ってたミスディオールかな ちょっとつけすぎな気もするけどきっとこれがあの子の正解
だから人が通り過ぎていく風と一緒に香りをのみこんだ 竹下通りで買ったクレープはいちごとチョコとたっぷりの胸焼けしそうなホイップクリームでそれを家でたべるよりも小さい一口でもぐもぐした 主人公になれたなんて大袈裟だけど かわいいものに囲まれながらクレープを食べてるなんてやっぱ夢みたいって思ってしまう ずっと遠いと思ってた原宿が 憧れだと思っていた東京は今この手の中にある 時間は歪んじゃってむらさきとピンクの渦にダイヤモンドがぐるぐるしながら吸い込まれていった こういうの似合うよなんておすすめされちゃったアクセサリーをつけたらそれが正解な気がしてお得でもなんでもなかったけどレジへと並んだ そんなこんなで今月はあと2000円しか使えないから今日はスタバやめとこっかななんて思ったけど新作の発売日だったから行っちゃった モデルみたいな女の人ばかりでちょっと緊張するけどほら私たちは無敵だったから何も怖くなかった 渋谷のビルから交差点を見下ろす人がうごめいている いつもよりも色が鮮烈に見えて息が浅くなる 戻らなきゃいけないからまた一歩歩く ゆらゆらと友達と手を繋いで歩く
わたしは一度も振り返らずにお家まで帰った オルゴールを開くようにしてそっと アクセサリーを大事に開けた つける手は震えてしまったけれど
やっぱり正解だって思ったんだ

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