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『ONI展』(play museum!)

立川にあるplay museum!で、堤大介監督の『ONI』の展示を観てきました。
ちなみに、堤大介監督は、数年前、短編CGアニメ『ダムキーパー』でアメリカのアカデミー賞候補になって話題になった監督。『ONI』は、Netflixオリジナルアニメとして制作された作品です。

元々ストップモーションアニメとして作るはずだったとのことで…
動きは、ストップモーションアニメーションぽく、造形もストップモーションぽい感じの造形や質感でした。
ストップモーションぽいシンプルな造形のカクカクと動くキャラクターに、ファンタジー感溢れる背景、そして、工夫されたライティング…
そうした作品の制作過程やイメージボードなどが展示されていました。

お金は大作のアニメ作品ほどはかけていないとのことでしたが、作品のクオリティはバッチリと劇場公開クラスとそれもかなりハイクオリティな出来栄えだと感じました。
照明やエフェクトの付け方、音響、レイアウトなど、総合的にコントロールすることで、映像のルックがかなりの見え方しているのではないかと感じました。
ただ、それ程お金掛けずとも、このクラスのクオリティのものを作る作家が出てくると、後から制作する人はそれなりに厳しいものがあるのかもしれないなあとか感じたりしました。
大友克洋が監督した『AKIRA』を観た当時のアニメ関係者が、こんなもの作りやがって冗談じゃないとかって言ってたとのエピソードを思い出したりもしていました。

物語の世界観自体が『となりのトトロ』的で、造形も『となりのトトロ』的だなあと…
『平成たぬき合戦ぽんぽこ』的な舞台設定や、『もののけ姫』的な問題設定…
70〜80年代のアニメのことも研究して、作ったとのことでした。
わりと当初ジブリ作品に求められていた小さい子供も楽しめる、元気になるような作品だと感じたりしました。
宮崎駿や高畑勲も好きだったというユーリノルシュテインもストップーモーションアニメの作家だったりもしたし、わりとこの監督とかが、ジブリの作品の系譜の後継者的な存在になっていくのかなあ、と感じたりしました。
(お嫁さんが、宮崎駿の姪だったりして…)
わりとこうした子供が楽しめるといった路線のオリジナル作品で、ガッツリとハイクオリティのもの作っているものって、わりとないのかもなあと思ったりしました。

そもそも、虎柄の服を着たツノの生えた女の子…
それって『〇る星やつら』のあの人の感じがしたりとか…
色々と多重に日本のアニメや漫画のカルチャーとかディズニーアニメぽい要素とかが盛り込まれているような不思議なバランスの作品だなあと…

脚本に『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』などの岡田麿里が書いていたりもして…
ちゃんとエンタメ作品にしたいという意志を感じたりもしました。
感傷的とも言えるようなエモーションな脚本を書く脚本家を採用したのも、この作品、この監督にとっては凄く良い結果に結びついたのではないかと感じたりしました。
わりと世界系と言われた作品のような展開なのですが、そうしたものとは違った鑑賞感があったりしたのも、良いなあと感じたりもしました。
この監督と脚本家コンビで、また作品撮ったりするみたいな話は出てきていたりしないのかなあ、とか…

展示自体は太鼓を叩くと、音に反応してライトが点灯するアトラクションがあってりとかして、今の展覧会ぽいし、この美術館ならでは工夫だなあと感じたりしました。
ただ、この美術館の展示にしては、展示内容が多少薄いなあとも感じました。
監督のキャリアや作品の性質上、それ程の展示できるものなかったんでしょうが…

会場の終わりに作品上映するブースがあり、そこで『moon』という短編アニメと、『ONI』の4話目をやっていたので鑑賞。
特に照明によって、独自の演出をしていくというタイプの監督だということが伝わってくる作家なのだと感じたりしました。

https://play2020.jp/article/oni/

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