『エルマーのぼうけん展』(play!museum)
近くまで行く用事があり、立川にあるplay!museumで開催されていた『エルマーのぼうけん展』に行ってきました。
小さい頃に読んだ、というか読み聞かせて貰った『エルマーの冒険』、今の目で原画観てみるとどうなんだろうと思ってみてみたのですが…
子供の頃以来、改めてちゃんと観てみると、センスの塊のような絵だなあと感じました。
あと、とにかく原画が綺麗で繊細で驚きました。
絵本では印刷した時点で飛んでしまっている繊細な階調やニュアンス…
モノクロの絵も、すごく黒が綺麗でした。
綺麗な階調と、輪郭薄くした綺麗な形体…
本当に細心の注意を払いながら、鉛筆や筆を繊細に載せているなあと…
鉛筆画の所々、ちょっとした黒や白の絵の具が効いているし、この感じは原画観ないと伝わってきました。
鉛筆の紙のザラザラを活かした上から薄く塗っていて、淡い黒の感じとか…
ここからは野暮を承知で、挿絵を描いているルース・クリスマン・ガネットの作風について、思ったことを書いてみると…
まず小さい頃には気付かなかったこととしては、絵柄としてはもろにアンリ・ルソーの影響受けているなあと…
特に植物の表現は直接アンリ・ルソーから持ってきているなあと…
そのルソー的な背景表現に、当時のマンガ『タンタン』のようなキャラクター表現を持って来たり、ポップな色使いのドラゴンを持って来ることで、ポップでモダンな表現を実現しているのだなあと感じました。
また、絵としては人物や動物の構造については弱いところあり、そこら辺のこともあって、漫画的な表現やアンリ・ルソー的な表現にすることで、その弱さを魅力に変えているのだなあとも感じました。
しかし、詳細知らずこの挿絵のフランスぽい色使いとかから、フランスとかヨーロッパのイラストレーター出身の繊細な男性が描いたものだと勝手に想像していたのですが…
アメリカの女性が描いていて、しかも話自体は義理の娘がスキー場アルバイトしながら書いた物語だとか…
土曜日にいったこともあり、親子連れそれもかなり小さい子供も沢山いましてが、こうした展覧会にはありがちな、子どもの泣き叫ぶこえや、つまらなそうにしている子など、あまり見かけなかったので、作品展示の狙いとしては、それなりに成功しているのかも知れないなあと感じました。
繊細な階調の原画なので、派手な照明などをつけている展示ブースでは、原画が見にくいところなどもありましたが、まあ仕方ないのかなあと思ったりしました。
とはいえ、展示会場は、play!museumだけあって、子供も楽しめるように色々と趣向を凝らしていました。
会場は、場所によって暗くしたり明るくしたり、扇風機で風を起したり…
また、嵐や雷、動物の鳴き声が響き渡っていたり…
プロジェクターでいろんな光景を映し出したり…
これはこれで楽しめた展示でした。
https://play2020.jp/article/elmer/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?