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その後

その後いかがですか?

「おかげさまで元気にやってます」

それはなによりです。接触はありませんよね?

「は...はい...」

タンタさん、正直に答えてください。

「実は一度だけ..LINEしてしまいました」

事後報告は困ります。プログラムの意味がなさなくなってしまいます。

「す、すみません...」

あの娘と別れて9ヶ月が経過しました。いまさら連絡しても、無視されるか、罵倒されるか、はたまたブロックされているか、悪い結果になるのが関の山です。一般的には...

「はい、僕もそう懸念してました」

では何故、連絡をしたんですか?

「だって僕ですよ?タンタ、タンタシオンですよ?」

そうでしたね、アナタを一般の男性の物差しで測ってはいけませんでしたね。で、どのような内容を送ったのですか。詳しく聞かせてください。

「はい。あの娘のバースデーに『おめでとう』とだけ送ったんです。去年までは深夜0時、日付が変わるタイミングで送ってました。でも今年はさんざん悩んだ挙句、誕生日が終わるギリギリで送りました」

なるほど。お祝いのメッセージなら許されるとでも?

「はい。そう言った打算はありました。もっと言えば、誕生日が終わるタイミングも見計らっていました。我ながらセコイ男です」

本心はそう思ってないでしょう?戦略的でよいのではないですか、結果、よい結末だったのでしょう?

「はい、彼女からの返信はすぐにありました。『ありがとう』と可愛い絵文字つきで」

それは判断が難しい返事ですね。喜んでいるのか、社交辞令のようなものか...

「はい、でも僕は満足しました。彼女の記憶の中に僕がいる事が知れたので」

抹消されてなかった事が嬉しい?

「はい、満足したのでLINEもそれっきりです」

それはよく我慢しましたね。以前のアナタなら『久しぶりだね、元気?』なんて話を続けたでしょう?

「そうですね、ただそれで話が盛り上がってしまうと、忘れていた感情が蘇ったり、また会いたいと願ってしまうのが嫌だったんです」

成長しましたね。

「はい。彼女がいなくても幸せな毎日を過ごせています。目の前の幸せを以前より深く味わう事ができています。今となっては今の人生が最良なんだって思えます。あの頃の自分はどうかしてたと...」

人生は選択の連続です。常に正しい選択ができるわけじゃない。大切なのは間違った選択を繰り返さない事です。

「ありがとうございます。僕はいまだにあの娘の事を思い出さない日はありません。ですがあの娘を想い胸を痛める事はなくなりました。あの娘の幸せを心から願っています。」


その言葉を忘れないように。では今日はここまで。次回ですが...もうタンタさんには必要ありませんね、これにてプログラムは終了とさせていただきます。

「卒業ですか?最後にひとつだけよろしいでしょうか?」

なんでしょう?


「あの娘のバースデーから1ヶ月後、今度は僕のバースデーにあの娘からLINEが来たんです」

ほほう、どんな内容でした?

「メッセージはなく写真が一枚送られてきました」

写真?

「はい。白い砂浜に大きな文字で『ハッピーバースデー、タンちゃん』って」

そ、それは...

「ね!?」

ええ...

「もう少し通っていいですか?」


そうですね、その方が良さそうですね。

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