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コロナ時代を生きぬくための聖書のことば(8)~天を仰いで生きる者

わたしの目には、あなたは高価で尊い。
わたしはあなたを愛している。
           イザヤ書43章4節(新改訳)

新共同訳では

  わたしの目にあなたは価高く、貴く
  わたしはあなたを愛し

となっていますが、ここでは、あえて神さまの真意をストレートに表現している新改訳を掲載しました。

もし、どこからともなく明瞭な声で「わたしの目にあなたという存在は高価で尊いのですよ」と語りかけられたら、私たちはおそらく戸惑ながらも、その声の主を探して辺りを見回すことでしょう。
そして、そのような言葉をかけてくださるお方は誰なのだろうと思いめぐらしながら、天上を見上げるに違いありません。
冒頭の聖句は神さまがイザヤに向かって語られた言葉ではありますが、実は今もなおイザヤをとおして今日の私たち一人ひとりに語りかけられている愛の言葉でもあることを理解しなければなりません。 
 
しかし、多くの人たちは神さまから愛されていることを知らないばかりか、神さまの存在すら認めないという生き方をしています。
そのせいでしょうか、ちょっとしたことでパニックになり、自信を失って立ち上がれなくなってしまう人たちが何と大勢いることでしょう。とくにその点は若者や子どもたちに顕著で、概して他人の目や評価をひどく気にしている傾向がみられます。

星野富弘さんの詩画集(「四季抄 風の旅より」)の中に

  花が上を向いて
  咲いている
  私は上を向いてねている
  あたりまえのことだけれど
  神様の深い愛を感じる

という素敵な詩がありますが、この作者は、あたりまえの日常生活の中で、咲いている花たちと一緒に、仰向けに寝ながら「神様の深い愛を感じ」ているというのです。
 
仰向けと言えば、聖書で用いられている「人間」という語源がどのような意味をもっているかご存じですか? 
ギリシャ語では人間を anthropos(アンスローポス)と書きますが、anは「上」、throposは「見る」という意味ですから、つまり「上を見る人」が人間なのです。「上」とはもちろん「天」を指しています。
神の視点に立った意味深い用語ですね。ちなみに英語では人間学のことをAnthropologyと書きます。
これは人間が本来「上を見て生きる存在」だという思想の表れであり、それはさらには、暗黙のうちに天の神さまを仰いで生きる者だという意味合いが込められていることは言うまでもありません。

こんな時代だからこそ、私たちは、いつも「天を仰いで生きる者」でありたいと思います。

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