![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45447775/rectangle_large_type_2_f6cc4842923471169036b5ba45c4513e.jpg?width=1200)
コロナ時代を生きぬくための聖書のことば(13)~天に召された中村哲医師のこと
🔹平和をつくり出した人
彼らは剣を打ち直して鋤とし
槍を打ち直して鎌とする。
イザヤ書2章4節
これはニューヨークの国連本部の壁に書かれた、よく知られた聖書の個所です。
「彼ら」とは、いったいどのような人を指すのでしょうか?
文字どおり戦争の武器を平和の道具に変えた人たちにほかなりません。そんな人たちが、いったいどこにおられるのでしょうか?
アフガニスタンで長らく人道支援に取り組んでこられた中村哲医師が、まさにその人でした。が、しかし中村医師は2019年12月4日、何者かの銃撃に遭って突如、死を遂げました。
彼こそ「戦争の武器を平和の道具に変えようとした」偉大な方でした。
亡くなられたことを知って私は、ただちに中村医師ご自身が執筆された何冊かの本を手にとりました。とくに『天、共に在り』(NHK出版)はご自身の回顧録で、胸を熱くしながら読みました。
1984年、中村医師が始めたことは、パキスタンに入って当時蔓延していたハンセン病の治療に当たることでした。その後、1991年にその範囲を広げてアフガニスタンに移りました。
ところが、温暖化の影響で国の大半が旱魃となり、病と飢餓に苦しみながら離散を余儀なくされた人々を目の当たりにして、彼は「100の診療所を開設するより、清潔ないのちの水」を人々に届けることこそ自分の使命ではないかと感じ、早速、飲料用水路などの建設に着手していったのでした。
🔹井戸よ、湧き上がれ!
民数記21章17節~18節に、こんな言葉があります。
井戸よ、湧き上がれ
井戸に向かって歌え。
笏と杖をもって
司たちが井戸を掘り
民の高貴な人がそれを深く掘った。
中村医師は、地元住民への陣頭指揮を取りながら、みずからも重機を操縦し、30年間にわたって1600本の井戸を掘り続け、延長25㎞にも及ぶ水路を開削していったのでした。
その間、中村医師の心境はたえず「井戸よ、湧き上がれ!」という思いでいっぱいだったのではないでしょうか。
その結果、アフガンの地にふたたび春が訪れました。砂漠地帯は今や木々が生い茂る緑豊かな土地となり、離散した人たちは喜びをもって戻ってきたのです。
なぜ、中村医師に、このような偉業を成し遂げられたのでしょうか? その秘訣は中学時代に遡ることができます。彼は内村鑑三の『後世への最大遺物』を読んで将来への使命感に燃え立ったと言います。
キリスト者としての彼には、「天」がいつも味方していたのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?