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#07失恋する度にマイヘアが好きになる

好きな気持ちって偉大だ。
こんな気持ちにさせてくれてありがとう。
そんな人に出会った。
でも思いは叶わなかった。
沢山泣いて、沢山泣いた。

私は失恋する度に、マイヘアが好きになる。

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ブラジャーのホックを外す時だけ
心の中までわかった気がした


真赤。
16歳、学校の帰り道、夕暮れ。
はじめてマイヘアを聴いた私は、ピンと来なかった。マイヘアを教えてくれた狂ったバンド好きの友達は「彼らの音楽は昆布だ!!噛めば噛むほど味が出てくるんだ!!!」と掃除の時間に言ってたっけ、私はまだ味が分からないのか、と思った記憶がある。

狂ったように邦ロックを聴いた高校時代、
私の青春を彩ったバンド、My Hair is Badもそのうちのひとつだ。接吻とフレンド、元彼氏として、熱狂を追え、赤信号で止まること etc...
マイヘアの音楽が、メロディーが大好きだった。でも歌詞は微妙に共感しきれない。それが恋しか知らない17歳の私だった。

結婚したいなって思ってたんだ
でも思ってただけだったんだ
どういうことか分からなかった
合鍵で開けても君はいなかった

グッバイマイマリー。
2年半お付き合いした彼に振られ、人生ではじめて失恋をしたあの日。その後3ヶ月、狂ったように聴いてた思い出の曲。
「合鍵で開けても」を「大学を追いかけたのに」に読み替えて聴いてた。
こんなにマイヘアが染みたのは人生ではじめてだった。マイヘアの昆布が私の中で出汁をだしはじめた18歳の春。

君がいれば 何もいらない
君がいれば 僕は負けない


味方。
大切な人をもっと大切にしたくなった曲。
失恋ソングじゃないのに、愛しくて優しい気持ちの涙が溢れた。

何万回君が目を瞑って
僕に言わないでいてくれた言葉って
ずっと、そっとそばにいるということ
ずっと、ずっと「寂しかった」ということ
2人の映画に乾杯を


悪い癖。
2回目の失恋。自分の思いがキャパを超えて溢れてしまった22歳春。

喜んだ横顔を
もう忘れられなくて
きっと君より 他の誰よりも
なんでだろう
僕が嬉しかった

瞳にめざめて。
3回目の失恋をずっと引きずってた私に、もう忘れたいって思ってた自分に、大好きな気持ちをちゃんと抱きしめさせてくれた曲。だましだましじゃない、私は彼がやっぱり好きなんだってちゃんと向き合えた大切な曲。

そして気がつくと、
一緒によく行った本屋さんに彼といた。
一緒に本を眺めてたら私の方見て落ち着いた大好きな声で「もう好きじゃないよ」って言うの。悲しくて、悲しくて、だけど泣くの悔しいから気丈に振舞ったら、目を合わせて頭ぽんぽんしてくるの。「Emmaちゃんの気持ち、全部分かってるよ」ってやさしい顔で何も言わずに頭ぽんぽんするの、私が一番好きだった表情。

罪な人だった。だけどそんな所も大好きだったなあって思う。涙が溢れて彼がぼやけたところで目が覚めた。

たった30分の朝の二度寝。
泣きながら起きたのは人生で初めてだった。

鏡の前でボーッとしていて
昨日見た夢のことずっと思い出してる
あの日みたいに笑ってた
あの日みたいに話してた
でも最後には取り乱してしまった

こうして二人でいるとさ
時間が戻ってくみたいだね
「ねえ、もしもあなたが嫌じゃなきゃもう一度」
そう言うと 笑ってた ねえまさか 
また夢だ

幻。
これまで何回も何百回も聞いたことあるのに、初めて聞いた気持ちだった。私の気持ちを整理させてくれる曲だった。23歳の秋。

失恋を重ねる度にマイヘアは私の体の一部になる。情けなさも、切なさも言葉にできない本音も、全部、本当に全部言語化するマイヘアは、自分の人生の厚みが出れば出るほど本当の意味で共感出来るようになる。

1万回間違ったって 
恋や愛をやめられないさ
さよならだけを伝えるつもりが
ありがとうと言う
僕にとって 君のとって じゃなく
2人にとって 子供のままじゃダメなんだ
でも
大人ってなんだ

卒業。
だから私は失恋する度にMy Hair is Badがもっと好きになるんだ。



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