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【日本の冠婚葬祭~通過儀礼⑤初節句~】

 このブログでは、日本の儀式を見直し、少しでも後世に継承していきたいという想いで様々な行事や儀式をご紹介しています。前回は『お宮参り』についての回でしたので、今回は『初節句』について書いてみようと思います。

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 『初節句』というのは字の通り、赤ちゃんが生まれてから初めて迎える節句のことを言います。実は、節句というものは全部で5つありますが、一般的に『初節句』の対象になっているのは、3月3日の『上巳の節句』と5月5日の『端午の節句』です。

 『端午の節句』は、耳にしたことがある方も多いと思いますが、『上巳の節句』は少し耳なじみがないかもしれません。どちらかといえば『桃の節句』と言われた方が分かりやすく、『ひな祭り』といえばもっとわかりやすいと思います。正式には異なるもので、上巳の節句の時にするお祝いが『ひな祭り』ということですが、今回、その辺は深く触れずに書いていきたいと思います。

 男の子が迎える初節句は5月で、女の子が迎える初節句は3月となりますので、初節句のタイミングは、男女で異なります。つまり、二卵性双生児の男女の赤ちゃんの場合は、それぞれの初節句を迎えるタイミングは本来異なるということになります。

 また初節句と言っても、生まれて1週間後に節句の日を迎えたような場合は、その時には行わず翌年の節句でお祝いをします。やはり、お宮参りにて神様に氏子としてのご挨拶が済んでからということになりますね。

 初節句の際、女の子は雛人形を飾り、男の子は五月人形を飾り、鯉のぼりを立てて家族や親族で祝います。このような特別な行事を「ハレ」と呼びますが、昔からハレは「厄払い」としての役割を担ってきました。雛人形は元々、飾り雛になる前は流し雛が一般的であり、その人形に子供の厄を移し流したことが始まりです。端午の節句も邪気払いの宮中行事から由来して男の子の邪気払いの行事となりました。現代のような節句の飾りの様式になったのは、それぞれ江戸時代からと言われていますが、身分によっても異なっていたようですので、江戸時代から明治にかけて変化したと捉えておいた方が良いでしょう。

 自宅に床の間があった時代には、床の間いっぱいに雛人形や五月人形を飾ってお祝いをしていましたが、現代では床の間そのものがある住宅も少なくなりました。また、庭付きの住宅ではないお住まいの方も多くなりましたので、飾り人形や鯉のぼりはコンパクト化が進んできました。しかし本来、お子さんの厄払いと健やかな成長を祝うことが重要なのですから、必ずしも大きなものが必要とはかぎりません。玄関や飾り棚などの上にも飾れるような小さなものでも、素敵な人形が多く出ていますので、居住空間に合ったものをお選びになると良いでしょう。

 飾りの特徴や、お祝いの時に食べるものには関東と関西で少し違いが見られます。また、地域による特徴や風習などが残っているところもありますので、興味のある方はお調べになってみることをお勧めします。


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