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カート・ヴォガネット先生に神のお恵みを・・

「初めに、言葉ありき。言葉は神と共にあり、言葉は神であった。言葉は神と共にあった・・」

遠い遠い昔、はるか彼方の銀河系で・・・
2人の男が映画を作っていた。

宇宙人の1人は、自動車事故にあったが、奇跡的に死を免れたため、いささかペシミスティックな感情になっていた。
宇宙人のもう1人は、完璧主義。巨額を投じて大戦争映画をつくり、宇宙人たちは、熱狂し、彼に賞を与えた。

ペシミスティックの方の映画は、興行的に大
失敗した。
「こんな稚拙な映画は、単細胞で知性のない野蛮な惑星でしか受け入れられないであろう。」レビューに叩かれた。

やけくそだった彼は、その映画を何万光年離れた「地球」で、上演することにした。
彼らの惑星の技術は高く、自分の星に居ながらにして、他の星で上演することができるのだ。
「地球」は、もちろん野蛮で未開の星だった。
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ここは、太陽系第3惑星、地球だ。
この地球という星は、野蛮で乱暴で、男は生殖、女は本能で子育て、あとは餌の奪い合いで争いという、知性のない猿のような人種が髪をぞろぞろ伸ばし、服も着ずにウロウロしていた。

ある日、ガラリヤ湖のほとりで、相手の蚤取りをしていた猿のようなオスが、ふと空に、連続上演されている映画に気づいた。
それは、ペシミスティック氏によって、すでに地球の空に上映されて、390万回目だった。

なんと奇跡が起こった!
あろうことか猿の脳に知性が宿った!!

猿は、空に浮かんだ「言葉」を、人類で初めて解読した。文盲の猿になんとしたことか!

それは、空一杯に、こう書いてあった。

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「Thank you for watching until the end...」
「拙作を、最後まで 見てくださってありがとうございます。」

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その瞬間、猿の背筋がピンと伸びた。
猿は、人間になった。
その人は、叫んで、駆け出した!!!「光あれ!!」「光あれ!!」

猿はもう猿ではなかった。着衣を着ることを始め、「文字」を発明し、自分の思考を書き表し写本をつくり、世界中の人々に伝導するようになった。

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そして、現在がある。


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もし、猿が叫び駆け出すことなく、映画を最後まで鑑賞していたとしたら・・・・。
(映画館で、映画が終わり照明が点灯するまで、自分の席でおとなしくしていたなら。)

空に上映された、こんな「言葉」も、しっかりと読む事ができただろう。

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   「終わり」     
   「The end」




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