「みかんとひよどり」を読んで


近藤史恵著「みかんとひよどり」を読みました。
手に取ったきっかけは、ジビエ料理をテーマとして扱っていることでした。
身近な人がジビエ料理が好きなのと、私自身お料理漫画とか小説が大好きなので。

話としては、フランスの料理学校を優秀な成績で卒業したものの、上手くいっていない料理人の潮田亮が、森で遭難しかけて、猟師の大高に助けられたことから始まる。
ひょっとしたことでつながりのできた二人の友情であったり、
潮田や大高の生きている世界、大事にしている価値観などが軽やかな文体で書かれていて非常に読みやすかった。
坂本司さんの解説を読んで、この読みやすい文体に隠れている対比されているメッセージがあると気付かされて文章に深みを感じた。

それこそ登場人物が大成功するような大きな成長があるわけではないけれど、たしかに変化している部分があってその自然さがとてもよいなと感じた。
成長というひと言に片づけるのはもったいないような、人から影響を受けて自分の価値観を変える柔軟さが登場人物にあるなあと思いました。
対比として自分の価値観に固執してしまった人の末路も描かれています。

さっくり読めるのであまり読書しない人にもオススメできそう。
ただ、テーマに好みが出そうな感じがします。

坂本司さんに同じく、続編希望!

この記事が参加している募集

#読書感想文

192,504件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?