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忘れないアニメ。

なにしろ昭和40年代生まれ(後半ね、後半)なので、ファミコン以前にたしなんだものと言ったら、ぬりえ・ぬいぐるみ・着せ替え人形(2D&3D)・野球板みたいなプラスチックのゲームいろいろ・こえだちゃんのおうち系・キン消し・ドンジャラ系・ゲームウォッチなどなどだ。超合金もちょっとあったかな。リアルな牛のフィギュアに白く濁った液体(牛乳ではない)を与えて、乳しぼりができるというおもちゃを買ってもらったこともあった。

この時代におもちゃと同列に並べられるのは、やっぱりアニメ。我が家はあまりテレビを見せてくれる家ではなかったけれど、17:00からキャンディ・キャンディ、17:30からガンダムという放送時間は今でも記憶に刻まれている。今日もイライザにいじめられないかとハラハラしたあとは、シャアとセイラの再会にハラハラしたりしていたものだ。女子なので、戦いには興味なし。

見てきたアニメの中でもそのアニメの内容を今思い返すと、どうやって未来を予測することができたのか、と思えるほどほぼリアルなアニメが、『未来少年コナン』だ。

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宮崎駿の世界観の原点ともいうべき、穢れのない少年少女が不条理な世界に立ち向かって正を貫き、周囲をも変化させるというようなアニメ。子どもの頃は、ラナかわいそう!とか、またハラハラ系の観点で物語を捉えていたけれど、大人になってから改めて見ると、たくさんのシビアなメッセージが隠されていることに気づく。

以下ネタバレ含みます。

コナンの世界は西暦2028年ごろで、2008年に世界戦争が起こり、地球の地軸がねじ曲がってしまって地形も変わってしまったあとの、世界各地に生き残った人々を描いている。私にとって、とにかくインダストリアのコンセプトが強烈である。インダストリアというのは一つの都市なのだが、そこに住んでいる人々には等級が与えられていて、上級レベルは一等市民、中級レベルは二等市民、そのほかは地下住民となっていて、地下住民の人口が圧倒的多数。で、運転免許のように違反したりすると減点され、等級が下がっていくらしい。逆に密告なども全然アリで、善い行いをすればポイントが得られて等級が上がり、豊かな暮らしが約束される。インダストリアとは、完全にリアル共産国のカリカチュアなのだが、すべてが監視され、色味も人間味なく、ただただ無機質でオートマチックに描かれている。

その中でも特筆すべきことは、そこで作られるものすべての原材料がプラスチックであること。乗るものも、着るものも、食べるものも、パンですら。しかもそのプラスチックは、世界戦争以前に作られたプラスチックを各地からかき集めて再利用しているのだ。この『未来少年コナン』には、アメリカの作家アレクザンダー・ケイによって書かれた『残された人びと』という原作があるのだが、この原作が書かれたのは1970年。アメリカは第二次世界大戦後の経済成長が続いていたものの、終わらないベトナム戦争に人々が疲れてきた時でもあったような気がする。そんな閉塞感や、傲慢な人々から未来を予測してこの物語を書いたのではないかと想像するけれど、なぜこうも、今の世の中がほぼそのとおりの未来になっているのかが怖くもある。

さらには、人間らしく生きるために必要なのはインダストリアの『不自然さ』ではなく、唯一世界戦争での崩壊を免れ原型をとどめている自然豊かな場所:ハイハーバーの人々の素朴な暮らし、たとえば麦からパンを作る、魚を養殖する、豚を育てる、糸を紡いで織物を織るということだというポイントも、最近のグローバルなトレンドと共通している。

コナンを見て育った私が大人になって気づくのは、世の中がサステナブルという言葉で新しさをクリエイトしているように見えてはいても、人間の暮らしの原点を顧みれば、おのずとサステナブルなライフスタイルは見つけられるのだ。とはいえ昔に戻るのではない。そしてプラスチックが悪なのではない。地球に負担をかけないように、テクノロジーと自然をうまく共存していきましょうということを意識してみるのが、初めの一歩になるのかなと思う。『未来少年コナン』を見てみることで、あらゆる視点で多くの教訓を得られるはず。まだ見たことない方は、ぜひ。

さて、私たちテンネンのアパレルは、もちろんプラスチックを含みません。縫い糸や100%自然素材がウリです。今の時期にお勧めなのは、肌側にちくちくしないメリノウール、表側にメリノウールの耐久性を上げ透湿性もあるヘンプを使った『ホカホカメリノヘンプTee』です♪

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