こう見えて元タカラジェンヌです~遅れてきた社会人篇~
華麗なる宝塚歌劇団で「癖のあるおじさん役」を究めた天真みちる=「たそ」による大人気連載『こう見えて元タカラジェンヌです』に、待望の続編が爆誕! 退団後すぐに「サラリーマン」として企業に就職した「たそ」が、タカラジェンヌとして過ごした15年間と一般社会のギャップにおののきつつ、タンバリンと付け髭を手に第二の人生を突き進む! 知られざる「宝塚OG」のリアルライフを描く爆笑エッセイ。(連載元のcakesが2022年8月でサービス終了のため、バックナンバーを公開しています)
~プロローグ~
遡るところ3年前……
2018年10月14日深夜、帝国ホテルのある客室。
青春の全てを(不思議な角度で)懸けて過ごした宝塚歌劇団を卒業し、あしたのジョーの名場面のように、燃えつきた……真っ白な灰に……と、もぬけの殻になっていたタカラジェンヌ天真みちる。
「人生のグランドフィナーレを迎え、ここからは平穏に余生を送るか……」
そう思い、深い眠りについた。
2018年10月15日昼過ぎ、帝国ホテルのある客室。
公演中の緊張感から解き放たれ、久々の大寝坊をかました「元」タカラジェンヌ天真みちる。
ゆっくりと身体を起こし、伸びをする。その後立ち上がり、顔を洗う。マグカップに牛乳を注ぎ、レンジで温める。ほのかに暖かいホットミルクを飲み、朝ご飯(昼だけど)の準備をする……
「あゝなんてゆったりとした1日の始まり……(昼だけど)」
そう思い、スーッと深呼吸をした。
その後こう思った。
「……つーか、余生、長すぎじゃね?!」
この時、天真みちるは三十路に突入したばかり。
アサヒスーパードライと同い年の彼女には、余生と呼ぶには長すぎる人生が待ち受けていた……
そしてこの日『シン・こう見えて元タカラジェンヌです~遅れてきた社会人篇~』のスタートが切られたのであった……
そんなわけでcakesではお久しぶりです。たそです。
2019年10月14日から書き綴っていた『こう見えて元タカラジェンヌです』の最終回を迎えてから幾年……
おかげさまで1冊の本となり、皆様の元へも無事届けられたかなと思います。
現在は2021年。
右も左もわからなかった社会人生活も、ひとまず右と左はわかる位にはなりました。
ただ、だからと言って右と左のどちらに進めばいいかは、手探りなうですが……。
今回は、「三十路の新社会人になった元タカラジェンヌ」としての人生を、備忘がてら書き綴っていければと思っております。
それではまた、暫くお付き合いくださいませ……。
元タカラジェンヌのお引っ越し
タカラジェンヌは在団中、自身の技術向上の為、常に稽古に励む。歌って、踊って芝居して……タップダンス、タンゴ、スパニッシュ、はたまた日本舞踊など……いつどんなジャンルの公演が来ても対応できるよう、1日のほとんどの時間を様々なジャンルのレッスンに費やす。
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