機動戦士ガンダムSEEDの外伝、ASTRAYのススメ

ASTRAY 作品数多い問題

2024年1月、長年ファンが待ち続けた劇場アニメ「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」が公開された。その内容に、多くのファンが満足し、何度も劇場に足を運んでいる姿は、SNS上でも確認できる。

その流れなのか、SEED公式外伝シリーズの「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY」の存在を知ったり、思い出したりする方、はたまた、ゲーム(主にスーパーロボット大戦シリーズやSDガンダム ジージェネレーションなど)から登場MSやキャラクターを知ったり、ガンプラから知ったりといった姿を見ることができて、外伝ファンとしては非常にうれしく思っている。

が、しかし!
「タイトル数が多すぎる&名称が似ている作品が多くて、なにから読めばいいのかわからない」のだ!!

そんな方のため、2020年に突如本編SEEDを見ることなく2作目のXアストレイからハマった私の独断と偏見によるおすすめ購読順をご紹介しようと思った。(一応弁解すると、Xアストレイ読了後に本編2作とスターゲイザーを視聴したので許して)
基本的に最初のアストレイシリーズは4作品。

・ガンダムエース掲載の漫画(ときた版)
・ザ・スニーカー掲載の小説(ザスニ千葉版)
・月刊少年エース掲載の漫画(戸田版)
・電撃ホビーマガジン掲載のフォトストーリー(仮称として電ホビ千葉版)

※フォトストーリー……模型を使用したジオラマ写真に小説を組み合わせたもの

と、4媒体で同時間軸別視点の話を掲載していた関係がある。
なので、漫画で出てきたあのキャラは、小説でこんなエピソード(イライジャとヴェイアの関係性)があるだの、小説で出てきたこのキャラは、漫画でこんな話に関わっていただの(Xアストレイのプレアと風花)、ということが多発している。
いわゆる「ノベライズ」「コミカライズ」ではないため、別々のストーリーが楽しめるので、できれば全部読んでほしい! というのがファンの願いである。
今回は電子版配信をしている(公式に入手可能)の3作品(ときた版・ザスニ千葉版・戸田版)を中心に紹介する。
が、一応大きな声では言えないものの電撃ホビー版の「ASTRAY B」は古書で入手が可能なので、今回紹介する3作品を電子版で楽しんだあと、自己責任で手に入れていただいても良いかもしれない。大きな声で言えないので取り消し線を引いているよ。なるべく公式にお金落としてほしいんだ。よろしく。

※ご紹介時敬称略しております

まずは「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY Re: Master Edition 全6巻 (角川コミックス・エース)」を読もう

ピッコマなら中盤までは「待てば無料」で読めるので、お試し読みや第2作「X ASTRAY」から読みたい人などはこちらから探すのも良いだろう。


漫画:ときた洸一
シナリオ:千葉智宏(スタジオオルフェ)

通称「ときた版」。一番メディア露出も多く、アストレイ入門としてとっつきやすい漫画である。これのみ、無印アストレイと2作目である「X ASTRAY」が全6巻で繋がっている。
これ以降の新装版やコミックスには、随所に別媒体で出てきたエピソードの解説も掲載されているため、時間がなければときた版コミックスを読めばだいたいアストレイの流れは理解できる。

コズミック・イラの世界でモビルスーツなどを解体・修理して生きるジャンク屋のロウ・ギュールたちが、オーブが秘匿していた新型MS「アストレイ」を発見するところから始まる。まさにアニメ第1話、ヘリオポリスをアスランたちが襲撃した後から始まるのだ。

定期的に話題になる「本編主人公であるキラ・ヤマトが、アスラン・ザラとの対決のあとどうやって地球からプラントに移動したのか?」という疑問にまず答えてくれるのはこのシリーズだ。

アニメ放送時の連載シリーズとあって、アニメで出てきた場所(要塞アルテミスやオーブのモルゲンレーテなど)に外伝主人公であるロウ・ギュールたちジャンク屋が現れたり、アニメ本編のサブキャラクターたちとの話があったりする。


注目すべきは、本編でも度々書かれた「ナチュラルとコーディネイター」の関係性や、エヴィデンス01などの、どちらかといえばSF要素の強いエピソードがモビルスーツ戦のダイナミックさと共に描かれる点だと思う。
キャラクターの死も少なく、この連載に至るまでにコミックボンボンでガンダム漫画を多数描いてきた、ときた先生の派手で外連味のある漫画のコマ割り、千葉先生の書かれるガンダムSEEDの世界観を生かした人間ドラマとモビルスーツ戦のアイディアは見物なので、ぜひ駆け抜けてほしい。

楽しかったら「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY R(全4巻)」も読もう

こちらもピッコマで中盤までなら「待てば無料」である。
戸田版は「スクライド」「ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日」や漫画作画最新作「アラフォーになった最強の英雄たち、再び戦場で無双する!!」などで絵柄や作風が好きだったらこっちから読んでも良い。

漫画:戸田泰成
シナリオ:千葉智宏(スタジオオルフェ)

通称「戸田版」
時系列と主人公はときた版と同じロウ・ギュールとジャンク屋だが、ときた版では語られなかった話を展開する。
特に有名なのは、ロウの愛機レッドフレームが使う刀「ガーベラ・ストレート」の誕生エピソードだ。
今やアストレイと言えばレッドフレーム、レッドフレームと言えばガーベラ・ストレートとなったくらいに定番の装備だが、ここでその誕生といきさつが読める。
あとはネットミームとして愛される叢雲劾の「クルクルシュピン」の元ネタもこちら。

戸田先生の迸るような筆の力、大胆な画面構成は漫画を読むだけでも非常に楽しい時間になると思われる。
現在配信中の電子版では、C.E.最強の傭兵・叢雲劾率いるサーペントテールのエピソード(元々は別媒体の本に収録されていたが、当該本が絶版かつ電子化されていないため、長い間読めなかった)も収録されているので、ぜひそちらも楽しんでほしい。

最強の傭兵・叢雲劾の活躍なら「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 全2巻」

千葉智宏(スタジオオルフェ)・著

タイトルはときた版と一緒だが、これは「角川スニーカー文庫」から出ている小説作品。
C.E.最強の傭兵コーディネイター・叢雲劾率いる傭兵集団「サーペントテール」のエピソード中心の小説作品。
傭兵という職業柄、こちらはモビルスーツ戦の要素も強く、また時として命を奪うこともいとわない職のため、本編とはまた違う湿度のシリアスさが楽しめる。アニメ連動エピソードは少なめだが、コズミック・イラの世界観説明から親切に始めてくれるため、これだけ読んでも十分「ガンダムの小説」として楽しめる。

連合に密かに生み出されたコーディネイター故に、戦闘にはめっぽう強くクール、しかし人間くさい一面を持つ劾と、美形であること以外突起した才能の無い元ザフト脱走兵コーディネイター、イライジャ・キールとの男同士の絆や、女性傭兵ロレッタ・アジャーの娘である弱冠6歳の少女、風花・アジャーの視点で語られるコズミック・イラの世界の描写も、アニメや漫画版アストレイとは違った感触が得られること間違いなしだ。
こちらでは、ときた版で描かれた外宇宙移民船「リティリア」でのエピソードで出てくるグゥド・ヴェイアの過去やイライジャとの友情も詳しく描写されるため、キャラクターを楽しむなら断然小説版も読んでいただきたい。

オマケ:電撃ホビー版「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY B」

https://www.gundam-seed.net/top/astray/astray_b/index.html

こちらは電子書籍配信がなく、事実上の絶版状態のため、生き残っている公式サイトのページをリンクさせてもらった。
こちらは模型写真と短い小説が一緒になった、模型誌掲載の作品。
叢雲劾が操るブルーフレームが中心のエピソードが多数存在する。
「遠い未来に叢雲劾が太陽砲台を破壊する」のはこの本に載っているので、ファンの与太話ではないです。
キャラクターデザイン担当である植田洋一先生が表紙や挿絵など担当されていて、アニメセル調のカッコイイ叢雲劾&ブルーフレームの絵をたくさん見ることができる。

アストレイは続くよどこまでも

この後も、本編続編である「Destiny」の時系列である「機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY」などが展開され、映画公開までの間にも「Δアストレイ」「VS ASRTRAY」「FRAME ASTRAYS」「天空の皇女」など、多数の作品が発表されている。
長年のファンが作った作品一覧表があるので、気になる方はこちらを参考にどんどんシリーズを読み進めていってほしい。

今回は一旦ここで締めようと思う。アストレイの物語世界に飛び込むきっかけになっていただければ幸いだ。

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