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2020年の社会問題を、ハフポ エディターと振り返る! 2020/12/09 #テンカイズ

2020年、世界各国が対応を余儀なくされている新型コロナウイルス。

最も感染が拡大した国の一つはアメリカです。アメリカでは昨年コロナ禍での大統領選挙が行われ、コロナ対策のほか、経済復興や黒人差別問題など、様々な争点も浮き彫りになりました。
日本でも菅政権の誕生と同時に、コロナへの対応や経済活動の維持、来年の東京オリンピック・パラリンピックなど社会問題は山積みです。

私たち一人一人はこうした社会問題にどう向き合えば良いのでしょうか?
ハフポスト日本版ニュースエディターの南麻理江さんをゲストに迎え、聞きました。

PROFILE
南 麻理江(みなみ まりえ)ハフポスト日本版 エディター。ハフポスト日本版が企画・制作するネット番組「ハフライブ」のプロデューサーを務めています。ニュースやインタビュー記事の執筆もしています。連絡先⇒marie.minami@huffpost.jp

1. コロナで「ファクトを知りたい」読者。でもより一層伝えるべきなのは?

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宇賀:まず今年は、新型コロナウイルスですよね。南さんはどうご覧になっていましたか?

:大変だったし、私個人的にもすごくしんどかったです。
メディアに勤めていると、3〜6月ぐらいまでは毎日コロナのニュースがあって、全てをコロナに関連づけて報道していました。

三浦:どんなネタでも「コロナによって」って入れるだけで数字伸びるもんね。

:「ファクトを知りたい」っていう読者の気持ちが、すごく出ていましたね。もちろん日々の感染者数も追いかけるんですけど、それは民放さんやNHKさんにお任せしていました。
一方で私たちは、「こういう人たちの存在見えてる?」というのを、より一層ちゃんと伝えていかなきゃいけないなっていうことを感じました。
世界共通の有事みたいなものに直面した時に、最初にしんどくなっちゃう人、最初に暮らしが壊れちゃう人って、やっぱり平時から弱者の方なんですよね。初期はホームレスの方も話題になりましたけど、だんだん忘れられていますよね。でも自殺者とか、家庭内でのDVもすごく増えていることが世界中で報告されています。

三浦:感染者数とか数字が注目されがちですが、コロナによって経済が困りますよね。経済が困ると、家計が困る。家計が困ると、店が困る。店が困ると、お客さんが困る……と困る人が連鎖していく状況に光を当てることは、メディアの役割として重要だったよね。

:確かに。

三浦:ハフポスト的に「コロナのタイミングでこんな記事出したら、メディアとして違うよね」と、気をつけていたことありますか?

:日々の感染者数の推移、あと医療の専門的な知見がないと発信できないのはあります。読者の皆さんの「ファクトを知りたい、今何が起きているのか知りたい」とフラストレーションがかなり溜まっていた時期だったので、いつも以上にファクトチェックは意識していました。
あとは、あまりに人命の話に偏りすぎないこと。3月ぐらいには、経済の話をすると不謹慎じゃないかっていう空気もありました。でもハフポストでは、「人命か、経済か」っていう二項対立じゃないんじゃないか。経済で人は死ぬんだよっていうことを発信することは心がけていましたね。

2. 激変の米大統領選挙、アメリカの民主主義の強さ

宇賀:そんな中、アメリカでは大統領選挙が行われました。南さん、こちらはどうご覧になっていましたか?

:蓋を開けるまで、ずっとトランプさんの選挙でしたよね。トランプかバイデンかではなく、トランプさんか反トランプさんか。彼が4年間大統領であった期間に、アメリカでも、全世界でも、もともとあった分断が如実に可視化されたんだなっていうことを改めて感じて、結構悲しくなりました。
でも、良いこともありました。MeToo運動とか、Black Lives Matterとか、そういう抗議運動がリベラル側から起きてきたのは、アメリカの民主主義の強靭さを改めて世界に示したことだと思います。

三浦:アメリカで働いている昔の先輩に「大統領選、まじで面白いですね」って送ったら、ちょっと怒られました。こっちは命かかってんだよって。
政治を自分事化できるっていうのは、危険なんだけど、ある意味良いことなのかなと思います。

宇賀:ハフポストさんみたいな海外から入ってきているメディアで皆さん苦労されるのが、日本人って政治・経済のニュースを全然読んでくれないことですよね。スポーツとエンタメばっかりで。
アメリカだと政治が自分事というか。若い人も、一般的に低所得者層だと言われる人たちも、ちゃんと政治のニュースは読みますよね。

三浦:トランプ大統領が演説した時も、ヒスパニックとかアフリカ系アメリカ人の方々からの支持がないことを逆手に取り、その方々だけの演説をテレビに報道させたりしてましたね。メディアの使い方は上手いよね。コンテンツとしてのトランプ大統領はすごかった。

3. 日本で人種差別問題を考えるということ

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宇賀:先ほどBlack Lives Matterの話もありました。人種差別問題、日本ってどうしても意識が薄くなりますよね。

:自分事化するのがやっぱり難しいですね。
いきなり黒人の問題、歴史とか、自分からすごく遠いところを全部理解しようとしないで、ある界隈から始める、自分に置き換えることが大事だと思いました。

Black Lives Matterが出てきた時に、三浦大知さんとか星野源とかがInstagramで早々と発信されていて、私びっくりしたんです。普段、政治的な発言をされる印象がない著名人、芸能人の方も沢山発信されていたのでなんでだろうと。

でも彼らはグローバルに活動をしてるから、仲間がいるんですよね。「仲間がこんな怒ってる」「何かしなきゃ」とSNS発信に至った。

そうしたら、普段は人種差別問題を考えない星野さんのファンの方々も、「源ちゃんがなんか言ってる」ってなりますよね。SNSも使って、「あの界隈でなんか起きているな」っていう会話を広げて、リンクさせていくことは大事なのかなと思いました。

三浦:今年のBlack Lives Matterの人種差別問題とか、ジェンダーに関する炎上。この問題とコロナの問題で、1個向き合い方の共通点があると思うんです。
コロナが流行して、俺がGOの全員に言ったのが、

「君たちは、俺も含めて、全員感染者だと思って暮らしてください」

三浦:たまたま発症してないだけで、感染しているリスクを考えたら当然マスクもする。自分が体調悪くなることよりも、親しい人に移すことの方が嫌じゃないですか。だからソーシャルディスタンスも取る。

差別も、そこに近いところがあると思っていて。
自分はすでにどっかで差別をしてる可能性があるっていう前提で行動を見返してみると、ちょっと変わってくる。

女性に対してもそうだし、他の人種の方にもそうだし。僕も女性差別なんて全然してるつもりなかったんだけど、たまに失礼な事言ってたりするのを指摘されたりするんです。
自分はついつい差別的なことしてしまうっていうことを1回認識して動いてみるのは、いい向き合い方なのかなって思います。

:自分は当事者だと思うことはすごい大事ですよね。

宇賀:私たち日本人も、どこか違う国に行けば差別されることもあるし、日本にいながら差別していることもあるんですよね。

:世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数も、日本はG7で最下位です。

今三浦さんがおっしゃっていたように、みんなが当事者です。今日家庭に帰ってからの会話、この後ある会社での打ち合わせ。あらゆる場所でこの問題の当事者だと思って向き合ってみると、本当にちょっとのことで劇的に変わっていきます。そのためにできることを、ハフポストとして頑張りたいなと思います。

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