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宇宙をビジネスに。宇宙商社「Space BD」に迫る! 2021/01/06 #テンカイズ

去年の11月16日、アメリカの民間企業「スペース X」 の宇宙船クルードラゴン1号機が、日本人宇宙飛行士の野口聡一さんを含む宇宙飛行士4人を乗せて打ち上げられました。その後、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに成功し、半年に及ぶ宇宙生活を送っている最中です。

各国政府による宇宙開発競争や、数々のベンチャー企業による産業としての宇宙の利用。2021年、宇宙という市場は一体どんな局面を見せるのでしょうか?

ということで、今夜のゲストをご紹介します。Space BD 株式会社・代表取締役社長の永崎将利さんです。

永崎 将利(ながさき まさとし)Space BD株式会社・代表取締役社長、共同創業者。1980年生、福岡県北九州市出身。早稲田大学教育学部卒業後、三井物産株式会社で人事部(採用・研修)、鉄鋼貿易、鉄鉱石資源開発に従事、2013年に独立。1年間の無職期間を経て2014年ナガサキ・アンド・カンパニー株式会社設立、主に教育事業を手掛けたのち、2017年9月Space BD株式会社設立。日本初の「宇宙商社®」として、設立9か月でJAXA初の国際宇宙ステーション民間開放案件「超小型衛星放出事業」の事業者に選定されるなど、宇宙商業利用のリーディングカンパニーとして宇宙の基幹産業化に挑んでいる。著書「小さな宇宙ベンチャーが起こしたキセキ」(アスコム)。

1. 宇宙をビジネスにするための宇宙商社

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宇賀:Space BDがどんな会社なのかを教えていただけますか?

永崎:私達は「宇宙商社」を掲げています。今までビジネスとして捉えられていなかった宇宙を、ビジネスとして捉えていこうということが最初のステップです。
最終的な夢は、日本の宇宙産業がもう一度世界で活躍できる産業にすること。そのためにやれることは、何でもやる。そんな会社です。

野村:宇宙をビジネスにするって、どういうことでしょうか?

永崎:宇宙を使って何ができるんだろうっていう開発を、今までは一部の限られた専門家や、あるいは国家がやってきました。それをより多くの民間の人が、「宇宙を利用したら、こんなに便利なことができるんだ」と思ってくれたり、「じゃあお金を払って使ってみよう」と投資してくれたり。こういった循環が回っていくことですね。

野村:民間の人が宇宙サービスにお金を払って、一方でそれをやる企業があるっていうのがなかなかイメージできないんですが、どういった可能性があるんでしょうか?

永崎:例えば一般の方の宇宙に行きたいという思いを叶えるために、バーチャルのプラットフォームを作ることになったとします。ただそれを作るプロセスで、ものすごく難しい専門用語を浴びせられてしまう。だからこれまでは、宇宙のプロじゃないとできなかったんです。

しかし我々のような商社が入ることで、JAXAなどの宇宙のプロとの間に入って、ユーザーや民間企業は宇宙のプロじゃなくても大丈夫な状態を作る。これがファーストステップとして捉えているのが、我々の考え方なんです。

2. 「何か突き抜けたい」というエネルギーで走り続けた

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野村:元々、永崎さんは宇宙の知識ゼロだったんですよね?

宇賀:宇宙が好きだったとか?

永崎:全くです。スターウォーズも見たことなかったです!

宇賀:そもそも文系だったんですよね。

永崎:はい、教育学部卒です。
Space BDを作ったのは3年前なんですが、その前の今から7年前に独立していて、教育事業をやっていました。その時に、ある恩人に出会いました。これが、紳士服の青木の青木会長です。
当時、青木財団さんの仕事をさせてもらっていて、小中学生を対象に「チャレンジをするとはどういうことだろう」というのを伝える事業をしていました。ただ、大人がもっとチャレンジをしなければいけないのに、子どもたちにチャレンジしろって言うことに違和感を感じていました。
そんな時に青木会長から「あなたが次世代のチャレンジする人になることの方が先だ。日本を代表する経営者になりなさい」と、発破をかけてもらったんです。

ところが、どこのジャンルに行けば日本を代表する経営者になる道が開けるのか、本当にアイデアが浮かばなくて。いろんな人に話を聞きに行っていたら、我々の大事な投資家でいらっしゃる赤浦徹さんという投資家の方に出会って「永崎さんは宇宙じゃないか」っていうヒントをいただいたんです。

そんな不思議な縁の中で、奇跡的に出来作らせてもらった会社なんです。

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野村:起業家の方って、自分の経験に即した何かがあった方が先に進んでいくじゃないですか。他の人から勧められて始めた中で、永崎さんが宇宙ビジネスを自分ごと化するのに、もう一段階必要だったんじゃないでしょうか?

永崎:おっしゃる通りです。
あの日、投資家の方に言われて「やりましょう!」って言ったけど、その帰り道で「言っちゃった、どうしよう…」って感じでした。

ただ、どうして「やりましょう」って言ってしまったかというと、当時、独立してから約2年間、何もできていなかったんですよ。会社を作ったけど、売り上げもなく、迷走を続けるんです。そういうマグマが溜まっていた中で、「何か突き抜けたい」っていうマグマが噴火したような瞬間だったような気がします。あの時、自分が突き抜けたくてしょうがない、自分の人生どうなっちゃうんだろうって考えていた中で、「何か突き抜けるんだ」っていうエネルギーで走れたってのは、野村さんがおっしゃったワンクッションだったと思います。

3. 相談所のような存在になりたい

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宇賀:今年は宇宙ビジネスにおいてどんな年になりそうですか?

永崎加速の年だと思います。
昨年、民間の会社が作ったロケットに、政府の宇宙飛行士が乗って宇宙に行った。そんなこと、昔じゃとても考えられないわけですよ。今年はきっとその勢いもあって、もっと民間が活躍しなくてはならないと加速するんじゃないでしょうか。

野村:宇宙ビジネスの市場に対する期待感というのも高まっているんですか?

永崎:そうでしょうね。
可能性は無限大です。だからこそ、宇宙を全く考えたことないような、宇宙のプロでもなく業界と関係ない人にも、このフィールドに来てもらえるような動きにしていかないといけない。そこのハードルを徹底的に下げるのが、我々宇宙商社の役割だと考えています。

野村:確かに、宇宙ビジネスをやろうと言っても、基本的に遠いんですよね。興味はあっても、二の足を踏んでしまう企業とか起業家って、結構いらっしゃるんじゃないかと思います。
そこで永崎さんみたいに「まずここに相談すればいい」っていうところがあると、第一歩を踏み出しやすくなるかもしれないですよね。

宇賀:最後に永崎さんの今後の展開を教えてください。

永崎:私たちは3年少しが過ぎまして、いよいよ攻めるところだろうと思っています。
宇宙を産業化するために、今私たちがやっている衛星打ち上げサービスから派生して、もっともっとたくさんのことをやっていかなければいけない。戦線拡大することを、恐れずにやっていきたいです。

どうやったら宇宙が産業化するのか。そのためにできることは何でもやる!という想いに、真っすぐやっていきたいです。

宇賀:ということで、今夜のゲストは、Space BD株式会社・代表取締役社長の永崎将利さんでした!ありがとうございました。


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