ハイパーカジュアル収支モデリング

ハイパーカジュアルゲームは2018年の最も重要なトレンドとして挙げられており、2019年になった今でもストアのランキングを見ているとグローバルで新規参入がまだまだ見受けられている状態です。広告主の立場としてこの市場に参入するかしないかを検討するに当たり、事前に数字によるシミュレーションをしてみるのは価値があることかと思います。

(注意:下記モデルは決してハイパーカジュアルが儲かります、ということを言いたいわけではなく、もしゼロからハイパーカジュアルをやるとしたらまずは数値に基づいて客観的に判断をするべき、との思想から完全オリジナルで作成したものです。また入力値に使用した値は仮で入力したもので実際のデータに基づいたものではありません。)

シミュレーションにあたり、どのパラメータを入力値にするのか、どのパラメータを変数とするのか、を下記のように決めました。また収益はすべて広告経由から(アプリ内課金は考えない)、としました。

1) 入力値
月間出稿額
本シミュレーションの基本となる数値。ゴールはプロフィットを最大化する出稿額を見つけること。

一日あたりオーガニックインストール
出稿額にかかわらず、一定数のオーガニックインストール(1000)が流入すると仮定

広告経由インストールに起因するオーガニックインストールの割合
この変数が一番悩ましいのですが、広告を打つとランキングが上がり、それに伴ってオーガニックの流入も上がるので広告経由インストールに対する係数を経験則を基に25%-150%で割り振りました。

- 25% : 月間出稿額 ≤ $10,000
- 50% : 月間出稿額 ≤ $50,000
- 75% : 月間出稿額 ≤ $100,000
- 100% : 月間出稿額 ≤ $200,000
- 125% : 月間出稿額 ≤ $500,000
- 150% : 月間出稿額 ≤ $1,000,000

CPI
こちらのレポートを参考に、$0.3と仮定。

eCPM
1000アドインプレションあたりの単価。使うアドネットワーク、アドフォーマットにも依存しますが、いったん$5と仮定。

一日あたり/1DAUあたり平均インプレッション数
1ユーザが一日あたり何回広告を見るか、の数値。いったん10と仮定。

継続率
1 Day: 40%, 7 Day: 10%, 30 Day: 5%, 60 Day: 1%と仮定。 それ以外の日は内挿/外挿して算出。

2) 出力値
月間広告経由インストール
= 月間出稿額/CPI

平均DAU
= 新規インストールと過去日付からの継続ユーザの総和。スプレッドシートの計算式参照。

月間売上
= (平均DAU x 一日あたり/1DAUあたり平均インプレッション数 x eCPM x 30) / 1000

月間利益
= 月間売上 - 月間出稿額

マージン
= (月間売上 - 出稿額)/出稿額

エクセルスプレッドシートで計算式を組み、上記の変数値を突っ込んで計算させると、結果は下記のようになります。

- 結論
出稿額に応じてマージンは大きく変わることがわかりますが、これはやはりいちばん大きな変数が「広告経由インストールに起因するオーガニックインストールの割合」であることを意味しています。(この値はかなり雑な仮定を置いています) 広告出稿はアプリをストアの上位に押し上げる手段であると考えると、ある程度のマージンを狙おうとすると、やはりある程度のまとまった額の出稿が必要です。これにはリスクがつきものですが、そこで思い切ってアクセルを踏めるか踏めないか、が肝だと思います。

また、「eCPM」、「一日あたり/1DAUあたり平均インプレッション数」、継続率」はアプリによっても異なりますし、この値をいじると結果も当然変わってくるので、結果から逆算して逆にこれくらいのマージンが欲しければアプリのKPIをこれくらいにするべき、といった分析も可能となります。

最後に今回作成したモデリングシートを共有しますので、コピーして自由に変数値を変えてお使いください。またモデリングの改善案などありましたらご意見いただければ幸いです。

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