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住宅営業マン、5棟目は自然派工務店との競合物件

昨日でようやく長かった半期が終わりました。

今年はコロナの影響で4-6月は非常に悩んだ時期でしたが、蓋をあければその反動や、新しいご紹介のご縁で自己ベストを更新できました。

受注したすべての物件が2,3社での比較検討を勝ち抜いてのご用命でした。

今でこそ、お客様が比較検討するのは当たり前だと思えますが、二年目の私は他社の名前がお客様の口から聞こえる度に、不安定な気持ちになっていました。。。

「土地買ったから家を建てようと思ってね」と来場されたT様

展示場接客に慣れはじめた夏、開口一番でT様は土地購入済みで、建築会社を決めたいと説明されました。

貴重なチャンスに震える私。

早速、お客様のイメージを確認するために、つくったばかりのアプローチブックを取り出します。

作りたての20坪台から50坪近くまでのプランが入ったアプローチブックを小さい順に説明しました。

お客様が望まれていたのは40坪ほどの建物なので、かなり優しい目線で、私のつたない言葉と、希望と全然違うプランをご覧いただいていました。

ようやく、40坪程の建物のページになると、お客様からポロポロとプランのご要望が出てきました。

60代の二人暮らし、そんな大きな家は必要ないと思い込んでいた経験乏しい私は、「本当かなー?」と疑いながら、ヒアリングをしていました。

出てきたのは地元で有名な○○工務店の名前

間取りについてのお話が終わると、「でも、おたくに決めてる訳じゃないからね、○○工務店さんと比較検討させてもらうよ。」と言われました。

○○工務店は、柱だけでなく、建具にも無垢を使ったり、しっくい壁など自然素材をウリにした建築会社です。

沿ったり割れたりしやすい無垢と、割れたり崩れやすいしっくい壁は、安定した管理とクレーム防止を目指したいハウスメーカーにはなかなか難しいアイテムです。

これは保証体制の安心感VS自然素材の家の気持ち良さといったお客様の中の比較論でした。

競合があると知って動揺している私は、自分では何も商談が進まないと思ったので、すぐに先輩に同席してもらいました。

やっぱり先輩ってすごいよね

同席してくれた先輩は、ゆっくりとT様の要望を聞いていきます。

なぜ、その工務店に依頼したのか、無垢やしっくいに惹かれている要素は何なのか、どうして家を建てるのか。

部材、設備、スペックなどの単語に囚われず、その背景にあるお客様の要望を聞いていくと、お客様は「きちんと要望を形にしてくれること」「からだに悪い素材が使われていないこと」を期待していることがわかってきました。

そこが聞けてくると、必ずしも○○工務店の有利な土俵ではなく、我々もデザインに優れた提案ができて、健康に問題のない部材が説明できれば問題ないことがわかりました。

お客様にそのあたりをアピールして、展示場の初回接客は終了、次回以降で提案していくことになりました。

必ずしも相手に付き合う必要はなく、お客様を見る

先輩と設計とでミーティングをして、2つのことを決めました。

徹底的にお客様の要望に自社のレベルで応えていく。
・設計力なら大体の工務店に負けないので、間取りの満足度を高める。
・無垢やしっくいに囚われず、オリジナルの部材でも問題がないところを丁寧に説明する。

その上で、工務店にできない我々の強みを強調していく。
・工務店は社長が対応していて、打ち合わせを隔週程度に対して、こちらは時間に余裕のある私を中心に、週2でアプローチ。
・工務店の瑕疵担保責任・組織化されていないメンテ体制に対して、こちらは長期保証やメンテナンスプログラムをアピール。

T様のおうちに通って、都度プランや部材の要望を聞き取り、会社のアピールを繰り返しました。

結果として、間取りは当社、体への問題はどちらもなし、対応力は当社、メンテ・保証体制は当社という評価になりました。

金額は2割程離れていたものの、気持ちよく快諾をいただきました。

引き渡しから8年、独身だった息子さんに子供が生まれ、T様ご夫妻は孫を可愛がるおじいちゃんおばあちゃんになりました。

今でも年末にカレンダーを届けにいくと、必ず家にあげてくれる、大切なオーナー様です。


この1棟から学んだこと

1.初回接客は喋る前に聞く。

T様は私との会話を楽しんでくださる奇特な方でしたが、私は最初に大失態をしています。

それは、お客様の要望を聞く前に、一方的な説明をはじめてしまったことです。

みなさんもお買い物に行ったときに、興味のない営業トークを聞くときほど辛いことはないと思います。

ましてや2-3時間の打ち合わせが必要な住宅の打ち合わせではそのストレスは測りしれません。

お互いの時間を無駄にしないためにも、相手の関心事にフォーカスすべきだと学びました。

2.お客様のニーズの本質を掴む。

お客様は、いい家をつくろうと色々な情報収集をされてから展示場にお越しになることが多いです。

しかし、ネットで拾ったり、本で読んだ知識は、十分ではないことも多々あります。

そのため、少ない知識の引き出しから出てくるお客様の言葉を鵜呑みにしてしまうと、本質を見誤ってしまいます。

T様の場合、私一人で打ち合わせをしていたら、無垢やしっくいを提案し、大幅予算オーバーで受注にならなかったと思います。

なぜそれがほしいと思ったのか?今の生活で困ってることがあるから?新しい生活でやりたいことがあるから?

きちんと本質にお互いがたどり着くまで会話をするのが大切だと思いました。

3.他社に言及しない差別化がある。

先輩は決して、他社の建物がどうか、という話はしませんでした。

ただ、お客様に伝わりやすいように、「当社で建てるメリットはこれとこれです」と、さりげなく他社ではできない自社の強みをアピールしていきました。

また、若手で小回りがきく私と、訪問を喜んでくれるご夫妻だからこそ「とにかく通え」と指示を出してくれ、隔週で事務所にいかないと図面が見られない工務店との差別化を図れました。

他社を貶めるのではなく、自社が魅力的に突き抜ける営業は、やっていて気持ちいいなぁと思えた商談でした。

会社の特徴を語ることに若手のうちは目がいきがちですが、自分のもっている人柄や知識、展示場やショールームやオーナー宅などの武器など、総合的に自分がどう見えるかを客観的に捉えられると強みになりますね。

私は今、30代前半なので、「知識もついてきた働き盛り」「子育て世代」「既に家をたてている」と、自然とお客様も頼りやすい年代になりました。

その都度自分を鏡で見つめ直し、お客様に期待される営業マンになれているか?と問い続けたいですね。


↓競合メーカー対策がわからず、一人で商談してフルボッコになった話はこちら



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