M-1グランプリ2023


2023年12月24日。世間はクリスマスイブの日曜日、大半の人が外に出かけているだろうその時に、私は永遠とテレビと睨めっこをしていた。何を隠そう、1年間待ちに待っていたM-1の決勝が行われる日だから。

今年は個人的にだいぶ最悪の年だったので、年末の最後の最後に笑って締めくくりたい、そんな思いもありながらまだかまだかと楽しみにその時を待っていた。ちなみに実は決勝観覧に応募していたが2年連続見事に落選。来年も懲りずに応募するつもりです。

今年は敗者復活からずーっと下北沢のライブハウス・mona recordsで観戦していました。スタッフのソネちゃん、決勝からは3年連続で一緒に観戦している友人のナガヤマ君と。毎度の如く誰からも求められていない自己満足の採点については下記エクセルにまとめました。本当に興味がある人は見てみてください。異論は認めますが温かい目でご覧ください。
(2021年と2022年もシート別で別れていますので、さらに興味がある人はぜひ)



さて、個人的な感想を今年も敗者復活から書き起こしてみようと思います。
果たして爆笑は爆発したのか。


敗者復活戦


今年は例年の寒空の下で行われる地獄のステージではなく、風を通さない屋内での開催。やってる側も見てる側も万々歳だろうけど、昔の絵面も正直嫌いではなかったかも…とはいえ、やるコンディションが万全なほうがそりゃいいので、運営の英断を称えましょう。

敗者復活の審査方法もガラッと変わった。3ブロックに分けられ、準決勝の順位が低い順からノックアウト方式?のような形で勝ち抜き制。各ブロックの勝者3組で芸人審査員の投票を経て敗者復活戦勝者が決まる。結論から言うと、今までに比べてとてもいい審査方法だったと思う。また、芸人審査員の顔ぶれも素敵で、錦鯉の渡辺さんがいるのはめちゃくちゃ良かった。あそこから決勝の審査員に繰り上がったりすることは今後あるのだろうか…。

ということで、全ての組を取り上げているとキリがないので、気になった組をささっと紹介していきます。

Aブロック

★華山
エンペラー時代からずっと応援してるけど、敗者復活で見るのは初めてだった。3回戦かなんかの「深かろうが浅かろうが無理だろうが」のツッコミは今大会でも随一のパンチラインだった気がする。
トップバッターじゃなければもうちょいはねてたかも?と思ったけど、まあ勝ち抜きまではいかないか…来年以降決勝にストレートで来てほしい。

★ママタルト
今までママタルトあんまり好きじゃなかったけど、ちゃんと心の底から爆笑した。さすまたのくだりで締めるところもとても良かった。ひわちゃんのツッコミが終始冴えわたっていて、これなら決勝に選ばれても良かったんじゃないかと思ってしまったコンビ。まーごめ。

★ヘンダーソン
気合が入りすぎたつかみがマジなのかと一瞬勘違いして冷や汗かいた。ラストイヤー組として素晴らしい漫才だったと思うし、間違いなくAブロックで一番面白いと思ったから勝ち抜けは順当(ママタルトのほうが、という人がいるのはわかるけど)。このままの勢いで勝ち抜けて、決勝で観たいな~と思ったけどまだAブロックか…と不安が残る。


Bブロック

★スタミナパン
ぶりぶり、ほ~んとにう…

★トム・ブラウン
もういくとこまでいってほしい。

★ナイチンゲールダンス
単純にネタの完成度がすごい。最近よくYoutubeショートで見かけるけど、色物では全くなく漫才が上手いコンビだなと再確認させられた。
これで決勝行ったら令和ロマンvsナイチンゲールダンスの首席対決が見られる…!?と思って胸熱展開を期待してしまう俺であった。来年はストレートで行ってくれ。

★オズワルド
連続決勝進出が途絶えた。それこそ和牛やかまいたちの「めちゃくちゃ重路白いのに優勝できないゾーン」に入り込んだと思われたが、昨年からは尻すぼみ感が拭えなくなってきてる。とはいえ、伊藤が敗退時に言っていた「世代交代」にはまだまだ抗ってほしい。ここから来年どんな漫才をこさえてくるのかという意味では期待が強い。


Cブロック

★シシガシラ
ここまでハゲネタだけで突き進むのは、本当に難しいはずなのに凄すぎる。一応歌ネタでもあるんだけど、もはや浜中さんの顔芸というか…カメラの画角、ずる過ぎるだろ!と思ってしまうほどに。まさか最後の最後まで勝ち抜くとは思わなかったけど、今見返しても納得のネタだったと思う。

★ダイタク
今年のM-1PVで番号を呼ばれなかったダイタクの顔が一番胸にグサッときました。準決勝常連の彼らだけれど、来年がラストイヤー。双子ネタではなくお父さんにスポットを当てたネタだったけれど、爆発力不足…来年ラストイヤーとか信じたくない。

★ななまがり
一番笑ったけど一番ダメだろうなとも思った笑。ラストイヤーお疲れ様でした。

★フースーヤ
パフュームじゃないで~すのくだりが長いと感じた。実際中華コレクションとか3回戦のババアレンジチンとかはそう思わなかったから、自分の感覚を不思議に感じた。あの天丼がめちゃくちゃおもろいはずなのに…と、もしかして俺フースーヤちょっとずつ慣れ始めてる…?


そんなこんなでヘンダーソン、ナイチンゲールダンス、シシガシラで最終投票。勝者は4票でシシガシラ。当然敗者復活でのネタを決勝でやると思っていたが…
というわけで本戦に移行。


決勝 ファーストラウンド

敗者復活が終わってそのまま続けて決勝本戦がスタート。
ウエストランドが寒空の下でネタ、そのままステンドグラスに描かれる歴代優勝者とともに決勝がスタート。
煽りVは今年もやっぱり最高、まさかの最後はマユリカ阪本。さすがに予想外でめっちゃ笑ってしまった(失礼)。

審査員は去年から変化あり、志らくoutで海原ともこin。
史上初の女性審査員2人となったけれど、個人的には良い人選だなと思った。NGKの2枚看板がついに審査員席に揃い踏み。礼二も嬉しそうな感じしたなあ。

司会は例年通り今田耕司と上戸彩。この二人から変わるときが来たら、それこそM-1の新時代を感じるんだろうなあ。笑御籤を引くのはWBC関連から栗山監督と岡本選手。ここで岡本!?トークできるのか?!と思ったらやっぱりちゃんとトークできてなくて逆に好きになりました。栗山監督はサイコパスっぽくて良かった。

CMを挟んでついに1組目…ここからは出番順に感想を述べていきたいと思います。


1組目:令和ロマン(648点)

うわ~トップバッターか…というのが正直な感想。絶対最終決戦には残るだろうなと思っていたからこそ、去年のカベポのようにもったいないな…と感じていた。
しかし、以前読んだネットの記事で、くるまがトップバッター用のネタも用意していると言っていたのを思い出してその分わくわくすることが出来た。
転校生のネタで、なんとなくどこかで見たことがある気がしたけどもはや初見の気持ちで視聴。ネタの真ん中あたりでドカンとウケていて、これは…と思っていたら最後はほんの少し尻すぼみで終了。
とはいえ、トップバッターにしてはかなりウケてたし、でも去年のカベポみたいな点数もあり得る…と思っていたらかなりの高得点。この後出てくる面子を考えたら、トップ3にギリギリ残れるかどうかの当落線上だな~というイメージだった。

2組目:シシガシラ(627点)

今年から敗者復活組は放送前に決定していたので、そこのドキドキ感は無くするっとシシガシラが出てきた。敗者復活から見ていた勢としては、山崎まさよしと浜中さんのあの表情で会場をざわつかせてほしい…と思っていたところ、違うネタ…!?なんであれをやらないんだ!?となって混乱状態の俺。いつの間にかネタは終わってた。得点も低調なイメージ。後になってわかるが、どうやら他に歌ネタがあったこともありネタを変えたとの噂。いい人たちすぎない…?その優しさが命取りになった、というと性格悪すぎるかもしれないけど、また来年のM-1でストレートで返り咲いてほしい。

3組目:さや香(659点)

何とも言えない会場の雰囲気を一変させるパワーを持つさや香が次に笑御籤に選ばれる。去年の決勝はすさまじかった。だからこそハードルは誰から見ても上がっていた中で、去年と変わらないクオリティの漫才をまざまざと見せつけられた。間違いなくM-1を掌握するコンビだなと思った。だからこそ、昨年優勝してほしかった気持ちもありつつ、今年には大いに期待していた。そこでの松本人志の89点、もちろん最初は「えっ」となったが、よくよく考えてみれば納得できてしまう。令和ロマンを超えていない、確かにそうだ。それほどにトップバッターの令和ロマンは場を沸き立たせていた。実際去年を超えていたかと言われると、そうは思えなかった。さや香としてのブランディングはこの1年で素晴らしく出来上がっていたが、漫才そのものでしっかりと評価した松本人志。得点はかなり高かったが、どうもモヤモヤとした結果のように見えた。

4組目:カベポスター(635点)

昨年トップバッターで邦ちゃんの84点の洗礼を受けたカベポ。今年は4番手と中々の場所で登場。さや香の後で場も温まっているかと思いきや、つかみ若干ウケきらずの印象…やはり先述の松ちゃんの発言も一つの要因なのか?
ゼリーとドロドロという絶妙なコンビネーションを見せたり、「ずっゼリ」というキラーワードを生み出したりと安定した漫才を見せていたが、やはり印象に残ったのは最後の浜田の「どろろr…」だろうか。申し訳ないが爆笑してしまった。点数は伸び切らなかった印象。いくつかのメディアでは優勝候補という取り上げられ方をされていただけに、少し残念な結果。とはいえ、今後も常連組としてM-1で見るコンビなのは確実だろう。

5組目:マユリカ(645点)

なんと言っても、今年決勝に行ったコンビで一番嬉しかったのはマユリカだった。思えばだいぶ前の敗者復活で観たドライブデートネタでハマり、そこからうなげろりんなどラジオを追うようになった。好きな芸人は?と聞かれて真っ先に思いつくコンビである。
出番タイミングも1番いいところで来てくれて、ファンとしてはホクホクで見ていた。夫婦の倦怠期をテーマにしたネタだったが、その前に登場シーンで阪本の小走りを見て結構満足していた節があった。あそこちゃんとカメラで映っててかなり嬉しかった。
阪本がノーシンピュアを持っている違和感以外はすべておもろかった。
点数はあともうひと伸びあればな…と思う感じだったけど、どうやら審査員からは好評のよう。今年は顔見せ、来年は優勝に向けて仕上げてくること期待しているよ、キモダチ。

6組目:ヤーレンズ(656点)

個人的には、なんで今まで決勝どころか準決勝にもなかなか顔を出さなかったのかと思う実力者、ヤーレンズ。その昔、パープーズだった時にTHE MANZAIの認定漫才師で観た気がしていたが、それと一致するまでにはかなり時間がかかった。マユリカからの流れでコント漫才は受け入れやすい場が出来上がっていたのもあってか、かなり爆笑をかっさらっていた。ボケの手数が多すぎて、ノンスタやインディアンスぽさがあるように思えたが、やはり楢原のキャラが独特過ぎてそれだけで場を持って行っていた感もある。もちろんワードセンスも素晴らしかった(でも個人的に一番好きだったのは「しゃがんで立つ!」)し、さや香に追随する得点を獲得したのも頷ける。この時点でさや香は最終決戦当確かな…?と思い始める。下馬評的にはモグライダーと真空が残っているのであと2つは何とも…と思っていた。しかし心の中では真空は…と思いつつそれはまた次で書くことにする。

7組目:真空ジェシカ(643点)

令和ロマンを見たとき、私だけかもしれないが少しだけ真空ジェシカのことが頭をよぎった。ワードセンスだったり、漫才のスタンスのような部分にに通う部分を感じた。ただ、真空ジェシカのほうがよりニッチで深く、令和ロマンは大衆性を孕んでいる。と、思ったとき、果たして今回真空ジェシカの漫才はどう映るんだろう?と考えた。
令和ロマンの登場からだいぶ経って、真空ジェシカが出てきた。映画館→Z画館と時折今年話題になった作品などを挙げながらネタは進んでいく。面白い、面白いんだけど妙に先述のことが気になってしまう。松ちゃんが言っていた通り、昨年よりも大衆に寄り添った漫才な気はしたが…。
彼らは尖りともとらえられるようなその独特の個性を武器にしているように感じていたが、今回それがあまり良くない意味でむき出しになっているイメージがあった。点数は伸びたが、マユリカには届かず。果たしてここから来年以降真空ジェシカはどうなるんだろう、このまま突き通すのか、それとも。ラストイヤーまで、M-1に出続けるんだろうか、ひょんなことを心配してしまった。

8組目:ダンビラムーチョ(631点)

去年の敗者復活で見せた森山直太朗で、歌ネタのクオリティが世間にバレたダンビラ。決勝進出発表の次の日に子供に野球を教えてたのおもろすぎる。
今年はどんなネタで来るのか期待感もありつつ、やはり歌ネタだと思ったら
バンプの天体観測。これ、ほんとに人によると思うんですけど、俺はやっぱりバンプの部分長いかもなと思いました。なんか途中でフニャオが歌わなくなるとかそういう変化もなかったので力技だったわけで、客のウケもイマイチだったような気もする。ボケの手数で言えば少ないし、結局賞レース向けではないのかなと改めて思ってしまった。というか、森山直太朗ネタでダンビラのネタバレがない状態でこういうのを初見で見てたらどうなってたのかなと思う…何とも切ない。

9組目:くらげ(620点)

間違いなく、今大会のダークホース。その昔、女心のネタでくらげがマイブームになってた時期があったので、純粋にここまで勝ち上がったのはすげーわくわくした。とはいえ、他のネタまでそこまで詳しく知らないから、どんな感じになるんだろうな、と思っていたら何とも不思議なネタだった。
何でお前がそれ詳しいんだよ、というようなジャンルのものを渡辺が羅列していく。それはそれでめちゃくちゃ見てておもろいけど、掛け合いとかがあんまりなくて、杉のポジションの個性が感じられにくいかもな…と個人的には感じた。あと、思い出せないっていうだけでミルクボーイが連想されてしまうの、かなりの功罪。やっぱりあの角刈りとマッチョはやばすぎた。
とにかく、今後も色んなフォーマットを試してまた決勝に上がってきてほしいな、わかんねえけど。

10組目:モグライダー(632点)

今ではゴールデンのレギュラーも掴んだ、言わずと知れた人気者。そこまでの地位をもって、M-1に挑みそして決勝に返り咲くのは生半可なことではない。諸刃の剣ともいえるともしげのアドリブを見事乗りこなす芝、まさに紙一重で爆笑を取り続けるのは前回のさそり座の女ネタでも明らかだった。
前回と真逆で今回はトリを務めるモグライダー。下馬評は上々だったので、期待を抱きつつネタを見ていた…が、盛り上がりは少し欠けていた。
敗退時だったり、反省会でも言われていたけれど、ともしげが練習をちゃんとしていたんだろうなとやっぱり感じてしまったのが敗因の一つかもしれない。彼は本当にアドリブで大事故も大成功も起こす人間なのだ。かつてゆにばーすではらちゃんの演技が上手くなり過ぎていたということもあった。結局は磨くべきところと磨かずそのままでいるべきところがあるんだなと再認識。しかし、重ねてだがやはりモグライダーが決勝まで来たのは本当に凄い。


決勝 最終決戦

最初に言わせてほしいのは、さや香って本当に凄いんだなということ。
出番順としては最後だったので、本来は令和ロマンのことから書くべきなんでしょうけど、ちょっとさや香について先に話したい。
見せ算、見たときには完全に面食らった。これを最終決戦でやる度胸っていったい…、結果的に1票も入らなかったけれど、確実に視聴者の脳裏にこべりついたはず。それこそ、いつぞやの敗者復活「からあげ4」もそうだけど、彼らには彼らなりのプライドがあるからこそ、こういうぶっ飛んだネタが出来るんだろうなあと思った。素直にかっこよかった。
評価基準は「最も面白い」という事で言うと、確かに笑いが多かったのは前2組だったに違いない。
またもトップバッターで場を掌握した令和ロマン、ボケの手数はファーストラウンドと変わらず、俺の知っていた麺ジャミン・バトンネタをブラッシュアップしてきたヤーレンズ。僅差で個人的な好みも相まって令和ロマンだなと思っていて、3票vs4票に割れたのは納得だった。
令和ロマンの優勝はおそらくニューレコード尽くしだったと思う。最年少記録とかトップバッター優勝は中川家以来とか。てか、最終決戦に残っただけでも2005年の笑い飯以来。マリリンモンロー思い出した。後で見返そう。
ヤーレンズはこれからマスメディアに引っ張りだこなのでは?そして来年のM-1に堂々と戻ってきて、優勝候補として横綱相撲をしてほしい。
さや香は、果たして来年M-1にエントリーするのだろうか?するならば、頑張ってほしいけれど、しなかったとしてもなんか納得してしまうような、最終決戦ネタだった。それくらいに清々しかった。


最後に

毎年こんな量の文章を書いてでもなお、話が尽きないM-1。これで私の2023年は終わりました。令和ロマン、本当におめでとうございます。くるまって俺の1個上なんだ。こわ!!!!!

来年ラストイヤー組、結構また分厚いのでもう来年に向けてワクワクしております。来年こそは決勝観覧当たってほしい、いや当たれ頼む。
そして来年は今年よりいい年になってほしい。人生変えなきゃな!日食なつこ「ログマロープ」聴き直します。



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