ヘンリー・チャールズ・ブコウスキー

「喧嘩で怖じ気づいたのを見たことあるのかよ?」
「何回か負けたとこは見たことあるわ」

これ、ブコウスキーの『ホームラン』という短編小説に出てくる会話。
はじめて入ったバーで釣り銭をごまかされた男が仕返しにいくため女の家へバット借りにいくっていう、まあ、ただそれだけの短編小説なんですけど、わたしこれ大好きなんです。

そういやむかしどうしても仲良くなりたい人がいて、その人が読書が好きだっていうから、ブコウスキーの『町で一番の美女』をあげたんですけど、あとで聞いたら「半分も読めなかった」ですって。まあ、そんなもんだよね。ブコウスキーなんて下品だしくだらないし。ろくなもんじゃない。
でもわたしは好きだな。一番影響を受けた気がする。

人の生き様に正しいとか間違ってるってのはなくて、よしんばあったにしてもそれを裁くのは神様や閻魔様であって、いや、まあ、法律で裁かれることはあるけど、それは法に触れたというだけのことで、もっと核の部分では、結局のところ、ない。そう、ないといえる。だから、びくびくしなさんな。間違った人生に思えても堂々と自信満々で踏み外せ。どうせ生まれてきた時点で手遅れなんだから。と、ブコウスキーは言ってる気がするんだな。

寒さのせいもあってこのところ心身ともに不調なんだけど、きのうの夜ふとブコウスキーのことを思い出して、そんなこと考えてた。
うん、おかげでなんとかなる気がするよ。
ありがとうね。

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