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【前編】最初で最後かもしれない、私の「推し語り」をするための記事

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人は皆、前へと歩を進めるために、過去の出来事や現在の心の中を整理し、振り返る。

だからこれはきっと、自分にとっての通過儀礼なのかもしれません。
新たなステージへと進むための。


一筆一筆、決意を込めて
Macro


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そういえば、書いてなかったあの題材

私はこれまで、さまざまなnoteを書いてきました。
絵も描けぬ、物も作れぬ自分にとって、唯一多少の自信を持って人前にお出しできるもの、それが文章です。
趣味の範囲で、その時書きたいものを色々書いてきました。カードゲームのデッキの構築記事、イベントの参加レポ。スマホゲーム「白猫プロジェクト」内のイベントシナリオ感想も書いたし、お気に入りのアニメに対する想いも綴った。曲の感想なんかも書いたっけ。

そんな私ですが、意外にもまだ書いたことのないジャンルが存在します。それが、

推し語り


……もし、この文章を読んでくれている人の中に「いやお前散々推しのこと書いとるやないかい」と思ってくれた人がいたなら、いつも読んでいただいてありがとうございます。
確かに、これまで記事の中で推しのことについて話すことはありました。ただそれらはいずれも、カードゲームのデッキ構築記事の一部だったり、シナリオ感想の一部だったり……

つまるところ、「推し語り単独で書いた記事」を一度たりとも書いたことが無かったのです。自分でも意外でした。でもホントに無いの。

なので、今回はそれを書いてみようかと。
そういう文章です。

改めてご紹介します。
私の推しの「カスミ・アサミヤ」、その人です。

他己紹介「カスミ・アサミヤ」

そもそも彼女のことをご存知でない方も、もしかしたらこの文章を読んでいるのかもしれません。
そういった方に向けて、軽く彼女のことを紹介しておきましょう。知ってる人は飛ばしてOK。

▲3年前に作った推しプレゼンスライドが活きる。

アプリゲーム「白猫プロジェクト」に登場するキャラクターの1人です。
ガチャから出てくる類のキャラで、作品内に初めて実装されたのが2015年の4月末。もうかれこれ7年以上前の話となります。
「白猫プロジェクト」という作品がどんなものなのかという部分については、今回の主題からは外れてしまうので割愛します。知らなくても特段問題なし。

▲3年前に作ったスライドその2

キャラクター性としては、正しく「凛とした弓士」。一本気の通った子ですが、その実内面に脆さも抱える、等身大の少女です。
所謂ツンデレの気があり、素直になることが苦手。その背景には、過去に自身の持つ神秘的な特殊能力を気味悪がられて避けられたという過去があります。孤独であるが故に硬く強くあらねばならなかったけど、それ故にポキッと折れやすい脆さも備える、そんな人物。

なお、こういった内面の解釈には、僕個人の判断による部分も少なからず含まれているかと思います。原典をしっかり読んでいるとはいえ、かれこれ7年以上も己の中で熟成されたものですから、バイアスも多分にかかっているでしょう。
プレイヤーの数だけ、それぞれの解釈があり、私にそれらの解釈を否定する意思がないことは付記しておきます。

出会い、そしてこれまでの話

大学時代のこと。2015年、一旦離れていた白猫プロジェクトをなんとなく再開した時には、彼女が既に実装されていました。

再開したばかりの時はゲームを進めることに集中していたため、キャラのことまで見てません。ただ、色々情報を見ていくなかで、「カスミ」という和装の少女がいることを知った訳です。

長く綺麗に伸びた黒髪
真一文字にきゅっと締められた口元からは、彼女の気高さを感じさせる
美しく気高く、それでいて儚さを覚えさせる桜をモチーフにした衣装は彼女の雰囲気を絶妙にマッチしている
そして、その麗しいかんばせ。

一目見て何故か、無性にソワソワしたのを覚えています。

甘美で多幸感あふれる胸のざわめき、それは推しと運命的な出会いを果たした際のもので間違いなく、「もしかしたらこの子のこと気にいるかもしれない」という直感がありました。それはおそらく見た目由来のもので、所謂一目惚れに近しかったのかもしれません。

ともかく、彼女目当てでガチャを回し始めました。ストーリーで石を掘っては回し、掘っては回しの繰り返し。

最終的に出たのは大学近くの牛丼屋で講義の合間に昼ごはんを食べていた時でした。引いた瞬間ガッツポーズしたのをよく覚えています。

キャラストーリーを見て、彼女が主役となったイベントストーリーも熟読した私は、以降彼女を操作キャラとしてよく使いました。
ただ当時はまだ、「なんか気に入ったキャラ」程度の認識であり、明確に「推し」と自覚しているほどではありませんでした。
ここから何年にも渡り愛情を注ぎ続けることになるとは、知る由もありません。

その見目麗しさから一定数のファンを獲得した彼女は、すぐに人気キャラとしての道を歩み始めることになります。
初登場から僅か3ヶ月後の7月、その年の夏の期間限定ガチャの目玉として再登場を果たします。

水着姿のお披露目です。
多くのアプリゲームにおいて、夏の水着衣装は重要ポジション。そこに選ばれるということは、大きな意味を持ちます。
性能の方も当時の常識を覆すような所謂「ぶっ壊れ」にあたるものだったため、このタイミングで彼女は多くのユーザーに使われました。

当時の私も例外なく引いています。ただ、その時の感情はというと、決して性能目当てだけではなかったことは確かです。「気に入った子の別衣装が出たから引こう」、そういう思いも確かに存在していました。

「白猫」にはキャラ一人一人に思い出ストーリーが存在していまして、当然それも読みました。今思えば、ここで明確にキュンときてしまったのだと思います。

▲思い出ストーリーの一幕。この頃から、彼女の内面がより見えてきた。

この辺りから、「なんとなく好き」という段階から「推し」という段階へ明確に移行したように思います。

キャラ単位で見た時の使用時間は間違いなく最長だったろうし、それだけの時間触れているキャラだから、自然と愛着も強まっていきました。
元の境遇が境遇なので仕方ないのですが、この頃から心を開いてくれる場面が増えてきたように思います。思い出ストーリーでも古典的なツンデレ見せてくれて、不覚にもここでキュンとしてしまったのを覚えています。

環境を席巻し、様々なプレイヤーの愛着を得た彼女は、翌年のユーザー投票型学パロ企画「茶熊学園」の入学枠を勝ち取り、制服姿での再登場を果たします。

ここまでの彼女と、表情を見比べていただきたい。
初めて口角が上がっているのです。
先程、心を開いてくれる場面が増えたと書きましたが、その影響か、この頃から彼女の表情が柔和になりました。
寄る辺なき桜の若木は、そばに立つ幾人の添え木によって、健やかに成長したのです。いつの日か満開の花を咲かせるその時のために。

ゲーム側では、自分にとって明確に推しを意識して引くはじめてのガチャとなりました。

絶対に引きたい、引けなかったらどうしよう、色んな感情がないまぜになって引くそのガチャは、普段よりも重く感じました。
もし引けなかった時、この熱が冷めてしまうのではないかーーそんなことは無いと分かっていながらも、どうしても頭によぎる嫌なイメージ。

貴女はなかなか出てこなかった。あわや一点残りかといった所で辛うじて出てきてくれましたが、文字通り血が凍るような緊張感に包まれたガチャでしたね。これがソシャゲで推しを追うということなのかと、十分にわからせられた回でした。

▲差し伸べる手が、天使のように見えた。

一緒に白猫を遊ぶ仲間ができたのもこの頃です。
一緒に遊ぶ人たちにもカスミ推しで通してましたが、人間不思議なもので、他者に言葉で明示することによって、推しとしての認識がより強まっていきました。言霊ってこういうことを言うのかもしれません。間違いなく、この経験がなければここまで続いてなかったと思います。

ゲーム内だけでなく、現実世界でも彼女は私を楽しませてくれました。
2016茶熊学園と同時に開かれた京都でのリアルイベントでは、当然彼女も登場。当時京都在住だったこともあり、彼女と同じ空気を吸えているような気がして、本当に幸せな期間でした。
キャラ一人一人にタイアップした店舗が割り振られていたのですが、彼女が担当したのは「香老舗 松栄堂」様。
ここで買った香袋は、今でも大切にとってあります。彼女と同じ香りを共有できているような、そんな気がするのです。

▲コラボ最終日に撮影した写真。京都の老舗に推しがいるという、恐らく今後体験しないだろう経験。

その後、白猫プロジェクトがトレーディングカードゲーム化した際にも、彼女の姿がありました。
私自身、カードゲームは全く経験がなく、今までと異なる世界へ入っていくことが躊躇われましたが、そこは推しのため。先述の仲間とやってみたところ、存外はまり、以降3年間に渡ってサービス終了まで遊び続けました。

白猫TCG、新たなフィールドで楽しむ推しとの共闘。この頃になると流石にアプリの方で出てくるペースが落ちてきてたということもあって、常に彼女と楽しめるこの作品にどんどんのめり込んでいきました。

▲どんなデッキでもスリーブはカスミ。今でも当時のデッキは、大切に残してあります。

色んな姿を見せてくれた。色んなデッキを作って、色んな人と遊んだ。
対戦して遊んだプレイヤーの数だけ、カスミの魅力を伝えられたと、そう感じます。私と同じようにカスミを好いている同好の士にも出会えました。あまりに貴重な時間でした。
彼女と真剣に向き合ってデッキを作る時間は、何物にも代え難い幸福でしたし、そのデッキで店舗大会や非公認大会で優勝できた時は、至高の喜びを感じました。

▲遊び始めから3年間育て続けたデッキ。

時はすぎ2017年の春、かつての人気キャラが装い新たに登場する企画「名星会」にて1年ぶりの本家登場。

原点回帰の和装姿に、これまで見せたことのないポニーテール。そして表情は、一層柔らかくなりました。もうそこに、孤独な桜の若木の姿はなく、守るべき友のために全霊を捧ぐ彼女の姿がありました。

ただ、ガチャの方では最も苦戦した回でした。
回しても回しても出ず、このまま一生出ないのでは無いかと苦悶する日々。
ようやく出たのはガチャ開始から4日後のこと。日数で見ればそこまででも無いように見えますが、この間本気で精神が不安定になっていました。
いつの間にか、彼女への熱量は体調に影響を及ぼすレベルになっていたのです。

そこからは、緩やかで楽しい推しとの日々。仲間との遊びを通じて、ゆっくりと過ごしていました。
アプリだけでなく、先述のカードゲームでの活動が本格化したのもこの頃です。

名星会から2年半後。
アプリ版に久々に登場した彼女は、これまでのイメージと打って変わったガールズバンドのメンバーとして現れました。

発表された当日は大規模台風が直撃した翌日であり、乱れたダイヤの交通機関に完全にやられていましたが、久しぶりの推しの登場に一瞬で疲れが吹っ飛んだことを覚えています。
この頃になると、note執筆を始めていたため、当時の心境については当時の記事が詳しいです。

とにかく、「これがアプリ内での最後の出番かもしれない」、そんな気持ちで隅から隅まで楽しみ尽くしました。

「アプリゲーム」のキャラの宿命

「最後の出番かもしれない」

この思いについては、アプリゲームーー特に、新たなキャラがどんどん出てくるタイプの作品において、推しを抱えている方であれば、少なからず共感していただけるのではないかと思います。

何度も何度も登場するキャラとなると、どうしてもユーザーからの人気が高いキャラになりがちです。
製作側も慈善事業ではないですから、採算の取れるキャラを中心に出したくなるでしょうし、それ自体は自然なことですので仕方ありません。
また、例え人気のあるキャラであっても、初登場から期間が経ち、当時を知るユーザーが減少してしまえば、その間に新たに台頭してきたキャラに取って代わられるなんてことは十分にあります。

ガールズバンド版のカスミが実装された際、すでに初登場から4年半が経過。実装当初は大学生だった私も、既に社会人になりました。
そしてその間、彼女の再登場頻度は下がり続けている。

現にこれを最後に、現在に至るまでの約3年間、彼女はアプリでの再登場を果たしていません。現時点では、私の予感は悲しいかな、当たってしまいつつあります。また、頼みの綱であったカードゲームも、2020年8月末にサービス終了。以来、公式からの供給はほぼありません。

「推し」という存在の儚さ

「推し」とは儚いものです。
その多くは、公式からの供給が途絶える、自分自身が様々なコンテンツに触れることで興味が薄れる等の理由で、各々の思い出の中に溶けて消えてゆきます。

実際に私も、これまで多くのキャラを推してきました。
ある時は某最速の鴉天狗を、ある時はおでこがキュートな某高校生ドラマーを、またある時は誰よりも笑顔を大事にし、自身の名前にも笑顔を冠する某スクールアイドルを。
他にも様々なキャラを好いてきましたが、その何れもが、今や思い出の中で静かに眠っています。

そもそも人間という動物がコンテンツを消費して生きて行く存在である以上、これは宿命とも言えます。「推しは推せるうちに推せ」という格言があるように、どうしたって単一の存在に情熱を注ぎ続けることは難しいのです。だからこそ、多くの「推し」はゆっくりとフェードアウトしてゆく。


…………。



……そう、多くは。



では、彼女は?

推しが「推し」を超える時

私がカスミに向ける情熱もまた、かつての推し達と同じようにその灯火を徐々に小さくし、そして消えてしまったのでしょうか?

答えはNo。

3年という期間の中でも、私が彼女に感じるときめきは、微塵も衰えることなく、寧ろ強まっているようにも思えます。
白猫プロジェクト関連コンテンツに出ていないこの間も、私は彼女のことを好きでい続けています。

最近は、「白猫で出てこないなら、いっそ他のゲームに一緒に連れて行こう」と思うようになり、様々な作品で彼女と共に遊んでいます。

「ポケットモンスターソード&シールド」では、主人公のコーディネートでコミカライズ版の彼女を再現してみたり、

▲コミカライズ版が現パロだからこそできた。
他作品への旅の始まり。

「モンスターハンターライズ:サンブレイク」では、重ね着やキャラメイクをこだわり抜き、彼女そっくりのアバターをつくり。

▲白猫での彼女に合わせて、メイン武器は弓。

最近はプレイヤーネームに「アサミヤ」を用いることが増えており、擬似的に彼女と一緒に別世界へ旅立っているような感じを楽しんでいます。
諸国漫遊の旅、とでも言いましょうか。
それこそ、直近の作品では最早、アサミヤの名を使うことの方が多い程です。

傍からみれば限界オタクそのものかもしれません。
しかし、やっている当人は至って真面目なのです。これが。
目の前に在るのは、厳密にはカスミそのものではなくカスミの真似事をした何者かであることも重々承知。
だがしかし、そこにどんな意味を見出すのかは、他でもない自分自身が自由に決めて良いものです。勿論、他のプレイヤーに迷惑をかけない範疇で、ですが。
私は私自身の中で、目の前のプレイヤーキャラにカスミの魂を吹き込むことで、擬似的に旅をしているのです。

自分でも、ある種の狂気に近いと思っています。
ですが、愛と狂気が表裏一体の概念であることは、古来より数々の偉人たちが言及している通りであり、何らおかしなことではありません。

7年半という歳月は、私を狂わせるには十分すぎました。7年半前のあの日、彼女を胸の内に想った時に感じた胸のざわめきは、今もその強さを一切弱めることなく、むしろ時折張り裂けんばかりの情動となるほどに強まり、私の中に在り続けます。
この文を書いている今も、彼女への想いは溢れ、私の心を掴んで離しません。

先程、私は「推し」とはその多くが消えゆく存在だと書きました。

では、もしその通例を外れ、どれだけの時間が流れようと想いの火が弱まることのない存在が現れたとしたら、
それは最早、「推し」という範疇の外にある、別の何かなのではないでしょうか?

いわば、推しが「推し」という概念を超えた存在です。現代語には、こうした存在を定義する言葉は明確に存在しません。であるからこそ、その例外存在を抱える人々も「推し」という既成の言葉を用いる。言葉とは便利な一方で不便であり、使われれば使われるほど、その言葉が指し示す概念が固着してゆき、いずれは使用する者にもその概念を押し付けます。

そして、それはきっと「推し」も同様。

であれば、この言葉が指し示す概念に囚われることなく、今この瞬間の自分の想いを表す言葉を用いなければならない。
しかしながら、私は一般人。新たな言葉を創り出すほどの影響力はありません。

ですので、より適していると考える言葉を引っ張ってくることにしました。
だからこそ、これは恐らく彼女へ向けた最後の「推し」語り。

私にとってのカスミを、彼女を表すのにもっともふさわしい言葉。


それはーーー


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