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「どうせ…」から「どうしようもある」社会へ クワイエットアワーの取り組み

先日ニュースを見ていて、クワイエットアワーの取り組みを知りました。

感覚過敏(音や光などに敏感に反応してしまう)のある方たちが、快適に買い物ができるよう、光や音を最小限にとどめる時間をつくる取り組みだそうです。記事で紹介されているのは、ドラッグストアの取り組み。

きっかけは、1人の女性からの連絡だったそうですが、そのやり取りが印象的でした。

女性は「だめもと」で連絡したそうですが、早速クワイエットアワーの取り組みを実施していただいたことが嬉しく、感謝の電話もされたということです。

私の活動するピーペックでも、病気をもつ人が、病気による困りごとや希望が「どうしようもない」状態ではなく、「どうしようもある」状態を目指して活動しています。

まさに今回の例は、「どうせ対応してくれないだろうな…」という女性の思いを、どうしようもある状態に転換した例だと思います。

学習性無力感という言葉があります。これは、自分の起こした行動が何の結果も伴わないことを何度も何度も経験するうちに、自分の行動には価値がないと思い、最終的に行動することを止めてしまうという心理学の言葉です。

実際、病気をもって生活をしていると、あらゆるところで生きづらさや困難にぶつかりますが、そうしたこと一つ一つに意見を言っても、
「みんなこうしてもらってますから」
「前例がないので…」
「特別扱いはできない」
「急に設備を変えることはできないから…」ということで、文字通り「どうしようもない」状態に陥り、最終的には意見、こえをあげることもやめてしまいます。まさに学習性無力感の状態です。

クワイエットアワーの取り組みは、この負の連鎖を断ち切るものです。
女性の小さなこえを実際の取り組みにつなげることができ、結果的に多くの他の感覚過敏の方を救うことになりました。
こえが届かない状態を何度も経験している病気や生きづらさをもつ人に重要なのは、こうした自分の行動が結果を伴う経験だと思います。

現実的に、ひとりひとりのこえを拾って、すべてのニーズに応えるのは難しい側面もありますが、最初からできないのではなく、どうやったらできるようになるだろうか?と考えて、行動していくことが重要だと思わされる事例でした。

「今は世の中にこんなに音と光があふれていますが、こんなに刺激があるのは現代くらいじゃないでしょうか」といった視聴者の声も一緒にニュースで紹介されていました。
社会の在り方ひとつで生きづらさも変わりうるものなのです。

ネガティブになってしまうニュースが多いですが、これは明るいニュースでした。近隣の店舗で取り組みがあればぜひ訪ねてみたいと思います。


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