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占いサイトの信憑性:珍姓名の運勢

●珍しい姓名

姓名判断の占いサイトで遊んでいて、面白い発見がありました。

世の中には珍しい姓の方がいます。「一」という姓も、かなり珍しい部類ではないでしょうか。「はじめ」とか「いちもんじ」とか、読み方はいくつもあるようですが、姓名判断的な関心はその画数です。「一」さんは1画なので、これより画数の少ない姓はありません。

名前の「一」さんなら、どこかで見たことがあります。格別に珍しくはないかもしれませんが、まあ少ないほうでしょう。そこで、ふと思いつきました。仮に、姓も「一」、名も「一」という人がいたら、そうとう珍しい姓名ではないかと。

面白い発見というのは、こうなのです。ネット上には姓名判断の占いサイトがたくさんありますが、これを使って「一一」さんの名前を試してみたのです。すると、驚いたことに鑑定結果が出たのです!

●占いサイトが姓名判断した「一一」さんの運勢

なにが驚いたって、「一一」なんて姓名は、実在するかどうかもわからない、超激レアな名前のはずです。それなのに、この名前で運勢が占えたのです! しかも、十数ヶ所のサイトで試したのですが、ぜんぶ占えました。すごいと思いませんか?

参考として、人格と総格の解説を2例だけ引用・要約しますが、相当ひどい運勢です。ちなみに人格とは、「渡辺直美」さんを例にすると、辺と直の画数合計のことで、総格とは、渡、辺、直、美のすべての合計です。

<サイトA>
人格(2画):中途挫折しやすい。消極的で優柔不断な性格。いざという時、思うようにことが進まない。
総格(2画):中途挫折しやすい。地位、金銭、健康、人間関係に恵まれない。努力が報われにくく、晩年は孤独な生活を送る。

<サイトB>
人格(2画):心配性でネガティブ。中年期に低迷し、苦労の多い人生。忍耐力があり努力家、面倒見も良く包容力がある。家族との縁が薄い。孤独を感じやすく苦労が多い。
総格(2画):忍耐力がなく飽き性。後半生で苦労し、家族と縁が薄い。人間関係で不和が多く、孤立しやすい。積極性・行動力が欠如している。

●画数の吉凶や意味が「統計」ってホント?

人格が2画、総格が2画ということは、姓も名も1画でなくてはいけません。使える文字は、漢字で 、ひらがなで 、カタカナで くらいでしょう。これらの文字を使った一字姓一字名があるとしても、「一一」と同様、いずれも超激レアな名前です。

そこで不思議なことに気づきます。「2画の吉凶や運勢が微に入り細にわたって書いてあるが、いったい何人の名前を調べたのだろうか。そもそも、こんな名前は実在するだろうか。」ほらね、すごく不思議でしょう?

あまりに不思議だったので、今度は画数が最大の漢字で名前を作ってみました。姓が「」、名が「」です。

この漢字はユーウツの「鬱」ですが、見ているだけで気が滅入りそうな29画です。人格はの画数を足して58画です。これ以上の画数はありませんから、人格で最大の数ということになります。

●「鬱鬱 鬱鬱」さんの姓名判断

で、姓名判断の結果はどうなったと思います? なんと、これも占えたのです。面白いことに、これほど憂鬱な名前にしては、運勢が予想外に良いのです。天格、人格、地格、外格、総格がすべて「吉」ですから、笑っちゃいますね。

人格の58画は「晩年に大きな実をつける。たゆまぬ努力と向上心とで目標を達成する。若いうちは苦労があるが、それを糧に大きく飛躍し、30代中頃から運気が安定する・・・」という運勢らしいです。

しかし、人格が58画になるためには、姓の最後と名の最初の文字がどちらも「鬱」以外ではあり得ません。こんな姓名の人がいたとすれば、「一一」さん以上にウルトラ超激レアでしょう。それにも関わらず、運勢が分かってしまうところが、常軌を逸しているのです。

●姓名判断の吉数、凶数なんて超テキトー

実は、姓名判断の業界では、同じようなことが100年も前からありました。毒舌で知られた根本円通氏が、同業者のいい加減さに憤慨して、次のように批判しているのです。

佐々木泰幹氏の『姓名学大観』には「成功者と運画数」という項目があり、1千人の幸運者を調べたとのことだが、19画、24画、26画、34画のいずれも該当者は0人と記してある。

ところが「運数の解註」という項目には、19画 大凶、24画 大吉、26画 大凶、34画 大凶として、長々とその意味を述べている。

これらの画数は調査した姓名の中に無かったはずだが、どうやってその吉凶を知ったのか。私が「不合理でデタラメだ」というのは、こういうことを言っているのである。
※読みやすいように、文意を損ねない程度に書き換えた。

『姓名学真髄』(根本円通著)

この佐々木泰幹氏の『姓名学大観』は初版が大正2年刊〔1913年〕、根本円通氏の批判(『姓名学真髄』)は昭和4年刊〔1929年〕です。

『姓名学大観』(佐々木泰幹著)

世の中には「姓名判断は統計だ」などという都市伝説がありますが、この説を最初に言い出した人は、ぜったい素人です。なぜって、占い師がこんなことを言ったら、○○師になっちゃいますからね。

いかがでしたか?あなたもいろいろ試してみたら、もっと楽しい発見があるかもしれませんよ。

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